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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

2017年11月15日 00時57分15秒 | 洋画2017年

 ◎IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年 アメリカ 135分)

 原題 IT(IT:chapter one)

 監督 アンディ・ムスキエティ

 出演 ジェイデン・リーバハー、ジェレミー・レイ・テイラー、フィン・ウルフハード、ワイアット・オレフ

 

 ◎LOSERからLOVERへ

 いじめっ子の女に書かれたギブスの文字はLOSERつまり「いじめられっ子」だ。でもかれらはやがてLOVERつまり「愛し愛される者」へと成長を遂げる。けれど、かれらはかれらのちからで「いらない子」でも「いなくなる子」でもなくなる。それが人生でいちばん大切な戦いなのだということをこの映画はいおうとしている。いいね。好きだな、こういう映画。

 でも、そうか、前のテレビ映画『スティーブン・キングの イット』を観たのは1990年だったんだね。あれから27年。デリーで子供たちが犠牲になって27年経つとふたたび恐怖を食い物にしている「IT」が目覚めて、また子供を襲う年回りが27年。そうか、そうなのか。もしかしたら、まじに27年、映画にするときを待ってたってことか。すごいな。すごい執念だ。

 けど、ふしぎなもので、ぼくは何度も引っ越してるけど、そのあるとき、大量に揃えていたスティーブン・キングの本をすべて処分した。もう読まないだろうなっておもったからだし、もう荷物は増やしたくないっておもったからだけれど、でも「IT」だけはどうしても処分できなくて分厚い上下巻ともいまだに本棚に入ってる。まあそれもあって、今回観たんだけどね。だから、ある意味「IT」は忘れがたい物語でもあるんだな。

 ところで、撮影は『お嬢さん』のカメラマンのチョン・ジョンフンらしいがなかなか好いし、音楽のベンジャミン・ウォールフィッシュは『ドリーム』『ブレードランナー2049』とたてつづけに凄い。そういうことからいえば、この映画はもはや古典になりそうな気配すらある原作をみずみずしい若手が撮り上げたってことになる。うん、悪くないな。

 それにしても、ビル・スカルスガルドのピエロ=ペニーワイズも好かったが、ソフィア・リリスがなんとまあシルビア・クリステルに似てることか。ていうか、なんとなくアメリカって気がしないんだよね。なんだか別な国って印象があるんだけど、なんでなんだろう?

 あ、ところで、ギプスのジャック・ディラン・グレイザーがいつも口にくわえてプシュッとやるのはメジヘラーだ。ぼくは小児喘息だったからあれが必需品だった。どこに行くにも持っていってた。メジヘラーはお守りみたいなもので、小学校の1年生から大学を卒業するまで、僕には欠かせない携帯品だった。ジャック・ディラン・グレイザーは井戸館へ乗り込んで決戦におよばんとするときメジヘラーを放り捨てて、決然たる別れをする。ガキからの卒業なんだよね。僕にはこれがなかった。だから、あかんかったんだろうね。

 で、二度、見てしまった。二度目の方がいろんな部分を落ち着いて鑑賞できる。音楽はやっぱりけっこう好みだったんだな~って再認識できた。ほんと、初回だけってのはなかなか音楽まで気にしていられないもんね。

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