☆怪物はささやく(2016年 スペイン、アメリカ 108分)
原題/A Monster Calls
監督/フアン・アントニオ・バヨナ 音楽/フェルナンド・ベラスケス
出演/シガニー・ウィーバー フェリシティ・ジョーンズ ジェラルディン・チャップリン トビー・ケベル
☆怪物はリーアム・ニーソン
見えざるものを見ることのできるちからというのは、この映画のナレーションになるように子供でも大人でもなく、その中間にあるとき、得られる。ただし、誰でも得られるものではなく、どんな加減が作用するのかわからないけれども、ともかく、ごくたまにそういう人間がいる。かくいう僕の身近にもいた。霊感が強かったり、超能力と当時いわれた指先のちからを持っていたり、それはさまざまだったけど、ぼくの場合、そういうちからは宿らなかった。
このルイス・マクドゥーガル演じる少年の場合、怪物が見える。で、亡くなってしまう母親にも怪物は見えたらしい。それは母親の遺してくれたスケッチブックを手にしたときにわかるだけど、この絵を描く能力もまた少年に受け継がれた。だからきわめて美しいタイトルバックが水彩画の描き方になってる。
この描き方が素敵で、息をふっと吹きかけて水彩をひきのばしていくんだけれど、その描き方がそのまま怪物の造形にもつながってる。枯れ枝が延びていって怪物の髪の毛とかが出来上がってる。つまり、怪物はこの少年と母親の創造によるものだという暗示にもなってる。このあたり、すごいな。きわめて論理的だ。
悪夢で観る怪物、それはつまり自分の抱えている恐怖や不安なわけだけれども、母親と訣別しなければならない運命を受け入れることができないかぎり、この怪物は消えてくれない。そうしてみると、きわめて筋立ては単純にして明解なんだけど、これを上手に脚本にしているのは、やっぱり物語を骨の髄まで理解している原作者パトリック・ネスだからなんだろね。