◎カサンドラ・クロス(1976年 西ドイツ、イタリア、イギリス 129分)
原題 The Cassandra Crossing
監督 ジョージ・パン・コスマトス
出演 エヴァ・ガードナー、アリダ・ヴァリ、イングリッド・チューリン、マーティン・シーン
◎カサンドラ大鉄橋
この映画は、個人的な思い入れが強くて困る。
ジュネーブ発パリ・アムステルダム経由ストックホルム行きの大陸横断鉄道なんて聞いただけで、当時のぼくはもう気がそのままヨーロッパに飛んじゃってた。田舎の高校生だった僕は、ちょっとしたことからヨーロッパと縁ができて、この映画の冒頭で銃撃戦が行われるジュネーブの国際保健機構にも行った。で、それから4か月後に日本でこの作品が公開された。もう大宣伝が展開されて、応募した人の中から抽選で20名だったかをヨーロッパの横断鉄道にご招待とかいうチョー太っ腹な催事まであった。応募したさ、もちろん。応募する場合はひとりにつき往復ハガキ一枚を厳守のこと、とかいう条件なんざまるきり眼中にないまま、200枚の葉書を出した。結局、抽選からは洩れた。行きたかったな~。誰が招待されたんだろう?その人、どこかにいないかな?ぜひとも会いたいな。
てなことだから、もう年末の封切りが待ち切れなくて、ともかく観に行った。おもしろかった。いまさら内容について書きとめる気にもならないけど、でも、当時のぼくはあまりにも舞い上がってた。だから、そのときはリチャード・ハリス、ソフィア・ローレン、バート・ランカスターの3人にしか目がいかなくて、列車をニュルンベルクに誘導して、そこから医療チームを乗車させてポーランドの隔離施設で乗客に精密検査を受けさせるなんて場面が展開していったにもかかわらず、まるでナチスの亡霊について想像もおよばなかったし、乗客の中にいるユダヤ人リー・ストラスバーグの思い出しくない思い出を思い出してしまう場面がいまひとつ胸にこたえなかった。情けない話だ。