Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

ドローイング212. 小説:小樽の翆143. お盆の祝宴

2020年08月15日 | Sensual novel

 

 ツカモッチャン・ファミリーがやってきた。玲香さんは、先日生まれたジュニアを抱えている。

 お盆、小樽の感染は一定数で止まっている。感染が抑えられているのだろう。それに屋外の方が三密にはならないので心地よい。人寄せは小樽人達の生活習慣でもある。

子供達は、ひとしきりつまみ食いすると、マサヒロ君が「よし、あの草むらで、幕末の戦いをするぞ・・といって子供達をひきつれていった」

玲香さんの出産の時は、子供達のパワーをみせつけられたねぇー。

ツカモッチャン「まさか、ああなるとは予想もしなかったけど、でも子供達には、すごくいい教育になったんじゃないかなぁー」

・・・・

ツカモッチャンの奥さんは、高校の英語の先生だ。

なれそめは?

奥さん「教員同士の会合とか研修会がよくあるの。そこで。旦那が、めんこいケツづら、子供たくさん産めそう、なんていわれて口説かれたわ、たくさん産んだけど・・・」

めんこいで、7人?

ツカモッチャン「日本は少子化だから、うちが大量に作っても影響ないなとおもってさ(笑)」

奥さん「大変だったのは最初だけ。二人目からは、要領覚えて次第に楽。学校は代用教員がいるから出産休暇をとりやすいのよ。わたしなんか出産休暇続きなんてこともあったわ。あとは成り行き」

 次第に大きくなってくると、上の子が下の子の面倒をみたりするから、次第に私の手間がへっていったね。一番上の玲香が小学校に入る頃には、もう、しめたものよ。」

ツカモッチャン「なにしろ頭数が多いから、3人目から児童手当がでるんだけど全部食事代に消えたかな。だから世間並みに玩具を与えたり、家族でキャンプなんてのは無理なのよ。そこでいつも子供同士で遊ばせていた。時々玩具をつくったりして」

奥さん「そうよ、家の中に大きなジャングルジムをつくるんだもの」

ツカモッチャン「子供毎にプレゼントしていたら、あっちがいいとか、そんな話になるじゃん。それで一度にバンと大きく。そうすると子供達同士で遊ぶから、これだなって思ったよ」

奥さん「小学校にはいったらしめたものよ。ツカモッチャンところだから、美術室でお絵かきや工作なのよ。だからうちの子供達は、みんな絵がかけるのよ。それで足りないときは音楽の先生のところにしけこんだり、校庭でスポーツに興じたり・・・」

ツカモッチャン「最初は、子供達の放課後の面倒をみるつもりだったんだけど、次第に児童達が集まって、今では放課後の部活みたいになってるよ。そしたら、子供同士でコミュニケーションするから、いろんなことをドンドン覚えてゆくわけ。それって教育効果が高いよ」

奥さん「子供達の数が多いから世間並みの贅沢はできなかったけど、そのかわり学校が子供達の環境を提供してくれたの。だから校舎の閉門時間まで、子供達はみんな学校でくらしていたわ。そしてみんな一緒に帰ってくるわけ。そうすると一番上の玲香が食事の支度を始めるの。ご飯と味噌汁ぐらいつくるから。その頃私も食材・・・9人分よ、それを抱えて帰るわけ。そんな毎日だったな」

なんか教育方針でもあったの?

ツカモッチャン「なんも教育しないよ。ただ学校で遊ばせていただけ。子供達は、みんないろんなことを自分達で覚えていったよ。だから上の子から下の子へ教育が伝わるんだよ。それが塾のかわりかな。それに教えると、教えている自分も理解が深まるんだよ。だから知識は、人並み以上にあるよ」

だって、小春さんが、いきなりチョムスキーの話をしてきたもんね。将来はどうするの?

ツカモッチャン「子供達に共通しているのは、大学に進学するという興味がないことかな。それよか彼氏、彼女を作ることの方がいいなというのが子供達の気分だよ。だから年頃になると、みんな彼氏・彼女がいるし、多分みんな早婚だとおもうよ。お姉ちゃんの姿をみているからね。そのためにしょうがないから、専門学校で技術を覚えるぐらいのことは考えているみたい。今でも絵は描けるし、当然コンピュータは手慣れているし、なかには分解して治すのもいて、そこまでできれば社会的には十分かなと思っているわけ」

じゃあ、大学受験のために彼氏彼女をたって、部屋にこもって勉強するなんてのは・・・?

ツカモッチャン「あっ、うちの子達には、それ無理、無理!(笑)、そんなことするぐらいならデートにいっちゃうよ」

そうねぇ、大学ってのは禁欲家集団だと思う。あれ身体にいいとは思えんなぁー(大笑)」

・・・・

それをジッと聞いていた翆のパパが・・・・

パパ「マサヒロには、あと4人つくれといっておこう。今の教育は、一人っ子が多いから親が何かと愛玩物のように執拗に面倒をみたがる。その結果大学の卒業式に親がついてくる。どう考えたってあれは間違っているよ。子育ては親があれこれ教えるものではない。子供達から子供達へと伝播して教育なんだよ」

まあね、だって今でも親が子供の時に聞いた古い童謡、春の小川なんかを歌って聞かせたりしているのをみていると、あれ違うんでないの?、思うよ。

ツカモッチャン「うち小さいときから、ローリングストーンズがかかっていました。だからみんなダンスは得意なの」

そこだよね。今時の子供達は、親の勘違いで育てられているわけだ。

パパ「みんな勘違いの子育てか・・・、それはアカンだろう」

ツカモッチャン「最近じゃRIAAのサウンドが子供達の一番人気かな・・・」

パパ「そこだよ、子供達が踊れる曲を自分達で選ぶといった自主性が必要なんだよ。のびのびと育てるというのは、そういうことだろう」

・・・・

宴会は盛り上がっている。

草むらでは、マサヒロ君達が大型のナイフを使って小枝で木刀をこしらえている。何すんの??。

・・・・・

コメント
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