翆が看護師仲間の晃子さんと、お休みの日程を合わせてくれた。
翆「アチキ、今日は晃子さんちに行こうよ」
二人してデートに出かけるなんて久しぶりだな。
といって同じ小樽市内にあるから、少し長い距離を歩いて行くだけなんだけど。
それでも、心がウキウキするというのは、やはりデート気分だ。
夏の陽射しが少し痛い。といっても小樽は最高気温25°だ。
本州のような猛暑でないのが北海道だ。
幾つかある丘の一角に晃子さんの家がある。
近寄ってみると、小さく古いけど洋館風の建物ではないか。
翆「お爺ちゃん達の家だって」
どこか日本人離れした、空気が漂う。
晃子さんは、ロシア人とのクォーターだったな。
マンサードの屋根が次第に大きくなってくる。
門をくぐり玄関の呼び鈴を押すと、晃子さんが出てきた。
晃子「やあ、待っていたヨーーん」