インターネットーサイト上に無数の画像が氾濫している最中、名門撮影機材メーカーオリンパスがカメラ事業から撤退するという話が6月にあった。原因はスマホカメラに市場を奪われたことだが、画像の需要が過大であるなかで企業が撮影機材開発から撤退するという構図は、興味深い現象だ。そこでこれまでの虫干しシリーズとして取り上げてみた。
Wikの解説(注)によれば、1999年にDDIポケット(現・ワイモバイル)が最初に携帯電話にカメラを組み込んだとあった。2007年1月、Appleがマルチタッチディスプレイを用いたカメラ内蔵のiPhoneを発売した。それは以後のスマホのプラットフォームになっていった。
私のような撮影機材マニアの足下をさらってゆくような出来事だが、実は私自身もiPhoneのカメラが便利であり多様している。
ニコンやキャノン、そしてオリンパスのサイトをみると、プロ、ハイアマチュア、ビギナーといった言葉が目立つ時期があった。それは撮影能力のヒエラルキーでアリ、実際製品開発も能力別仕様でパラメータが設定されていたのだろう。つまりプロユースからビギナーユースに至るヒエラルキー構造というそんな20世紀的市場意識を引きずって製品開発されてきたわけだ。そのあたりが撮影機材企業の古くささだ。例外的なのはSONYのサイトだけが仕様別になっている点である。
今でも価格.comの撮影機材の口コミサイトをみると、撮影機材に関する多くの質問が寄せられ、そして撮影機材マニアと称する人達が回答するコーナーがある。そして質問者は、「もう少し勉強します」、といって引き下がるわけだが、こうしたところにもプロ〜ビギナーに至るヒエラルキーの構造がみてとれる。それはPCのQ&Aとは少し空気が違うようだ。
はて!、勉強しないと撮影できないのか?。つまり機材の操作が複雑すぎるので撮りながら撮影方法を理解し覚えてゆく必要があることは私も理解しているが、それってすべて方法上の問題であり、スマホカメラはそうした面倒な方法を全部はしょったからプロもアマも関係なくなってしまった。それまで難しそうだった画像が簡単に撮れるではないか。そこには撮影テクニックの問題ではなく、現実を記録するということの方がはるかに重要で大切なんだという撮影本来の目的に人々が気がつきだしたからだろう。そこから画像撮影者がグンと広がってきた。
スマホカメラは、機材の仕様なんかよりも、撮っておくべき必要がある出来事の時にいつも側にあったり、ポケットのなかに入っていて、すぐに取り出して撮影できることの方が重要ではないですか、とする考え方は当を得ている。
そうなると、もう、もっと勉強しますなんていわなくてよい。やっとプロ〜アマの能力別ヒエラルキーから解放されたわけだ。だからスマホカメラがグングンと支持者をひろげてゆく。
そうか科学の一般化という考え方が敷衍してきたのだと思われた。そんなわけでiPhonで撮影した画像だから、容赦なくphotoshopで修正を重ねる。そうすると見られる画像になりそうだ。
いいじゃん、これで。私は、最近そう思うけどね。
(注)https://ja.wikipedia.org/wiki/IPhone_(初代)
iPhone7
1)ポルトガル、ギマランイス
ISO20,焦点距離3.99mm,露出補正0,f/1.8,1/4367
2)フィリピン、ビガン
ISO160,焦点距離3.99mm,露出補正0,f/1.8,1/120
3)フィリピン、ピットピタン
ISO26,焦点距離3.99mm,露出補正0,f/1.8,1/120
4)ポルトガル、ポルト市、サン・ベント駅
ISO100,焦点距離3.99mm,露出補正0,f/1.8,1/13
5)沖縄県那覇市
ISO20,焦点距離3.99mm,露出補正0,f/1.8,1/285