Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

番外編601. 大仰なインスタグラム

2023年05月24日 | field work

 フィリピンのNIKKAから調理中の画像が送られてきた。ライスペーパーラッパーだそうだ。レタス、マンゴー、キュウリ、カニをライスペーパーの皮を使ってくるんでスパイスソースでもつけて食べるのだろう。食べかけの蜜柑が添えられているところが笑えるが。ともかくそんな仕組みが解ればフィリピンのよくある夕飯だった。
 これをWEBサイトで検索するとフィリピン風春巻きとあり、食材や調味料や調理方法が次第に手が込んできて・・・大仰な話となり、近所のスーパーで手に入らない調味料が増え、結局そんな手間がかかるレシピを探るのはやめた。つまりレシピ通りにつくっても面倒くさいし美味しいとは限らないことに気がついたからだ。
 というのもこうした大仰な設えの典型がインスタグラムだ。『料理の写真を撮ります。ではライティング、トレペで光を散らそうか、カメラは高解像度のマクロレンズで・・・・』といった大仰な話になる。そうでなくてもカメラマニア達が、肉眼では確認出来ないレンズの解像力に蘊蓄を傾けたYouTubeを多数アップさせているぐらいだから。
 インスタグラムをみるとそうした構えて設えられた画像が圧倒的に多い。つまりプロカメラマンが撮影した画像である。今時静止画のプロっているのだろうかと疑問に思うのだが・・・。そして大仰に構えた結果、何が違ってきたのだろうか?。
 人にメディアを通じて情報を伝えるためには、虚構の大仰な構築が必要だが、そんな意識に大仰に反応する。もちろん撮影された画像は料理でも若い女の子の髪型でも綺麗ですが・・・、西麻布あたりのライフスタイルでもイメージしているのだろうか。そして画像には生活感が全く感じられない。
 レシピ通りにつくった料理が美味しいとは限らないし、綺麗な髪型の若い女の子が私のデッサンの裸婦モデルをしてくれるわけではない。神楽坂で育ち、西麻布で仕事をし、今は京都暮らしをしている私の意識でみれば、虚構の構築的世界への関心は希薄だ。
 そんなことよりは、私達の生活の中でライスペーパーラッパーをつくって食べる人間達のコミュニティが存在していることの方が重要だ。
 物事を大仰に構え虚構の世界を構築し頂点を目指そうとする姿勢は競争の原理が作用する。そんなつまんないライフスタイルよりは、多くの人間達がいるコミュニティのsuitability(適切さ)の方に意味があると私は思うけどな。
コメント
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