コタツ評論

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沖縄はゆすりの名人

2011-03-10 01:41:00 | ノンジャンル


ケビン・メア米国務省日本部長(前在沖米総領事)が、昨年12月、10人ほどの大学生を前に講義したなかで、「沖縄はゆすりの名人」などの発言内容が問題になっている。以下は、琉球新報に掲載された講義を記録したメモの全文。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-174366-storytopic-3.html

まず、前提として、いくつか不明な点。

①10人ほどの大学生とは誰か?
②講義を記録したメモとは、10人の大学生の誰かが書いたのものか?
③なぜ、3か月後の今になってメモが出てきたのか?


また、事後処理がなかなか日本通であること。

①キャンベル次官補が急遽来日して公式謝罪

メア講義メモにも、日本人の本音と建て前の使い分けが指摘されていたが、問題が起きたとき、まず上司が謝るのも日本的な対処。アメリカなら、発言の当事者が説明するか謝るもので、上司は部下を批判する以外には出てこないのでは。

メア日本部長は、ANNニュースの取材に対し、「私は今コメントできません。コメントを頼んでいるなら、プレスオフィスにして下さい。すみません」と答えているのも、「ノーコメント。広報を通してください」とおなじみのやつ。

さて、問題の発言内容について。
その前に、このメア発言は、先月の鳩山発言と対であることを確認しておきたい。この部分である。

>合衆国は二つの理由で沖縄の基地を必要としている。基地が既に沖縄にあるという点と、地理的にも重要な点である。

>抑止力の重要性を挙げたのは、方便だった。

鳩山「方便」発言は、「失言」として報道批判されたが、メア発言(?)が事実とすれば、明らかに、「基地が既に沖縄にある」という「方便」を裏づけている。

さて、全体として、メア発言(?)はたいへん率直であり、なるほどなと思えた。日本にも同様の部署があるかどうかわからないが、日本外務省や防衛庁のアメリカ部長がいたとして、同様に率直に語ることは想像できない。もちろん、「守ってやっている」と「守ってもらっている」では立場がまったく違うから、日本側は率直ではあり得ず、言葉づかいも違うだろうが、現状認識はさほど食い違いはないはず。しかし、マスコミと本土日本人は、「沖縄県民の心を深く傷つけた」以外の現状認識については争う気はない。

今後の予測

①どこまでも失言問題でいくだろう

鳩山「方便」発言のときと同様に、メア「ゆすり」発言は、「沖縄県民の心を深く傷つけた」「失言問題」として、何日かメディアを騒がせて終息するだろう。

②「沖縄はゆすりの名人」が一人歩きするだろう

ネットでは、戦後の沖縄支援について、同様な誹謗中傷は食傷気味なほど目新しくない。メア発言(?)以降は、本土日本人にとってもある程度、一般常識化するだろう。そのことによって、沖縄県民の本土への不信はさらに深まるだろう。

③田母神とメアの合同講演会が人気を博すだろう

航空幕僚長をクビになった田母神俊雄と国務省日本部長をクビになったケビン・メアが、合同講演会を日本各地で催し、多数の聴衆を集めるだろう。「朝まで生テレビ」も二人を迎えて、久しぶりの「激論」に沸くだろう。田原総一郎は、入れ歯を飛ばすだろう。

④ゆすりたかりも芸のうち

「沖縄はゆすりの名人」が一人歩きするにしたがい、米帝とその属国日本に挟撃された沖縄にとって、「ゆすりたかりも芸のうち」であり、むしろ沖縄の「したたかさ」に学ぶべきだという擁護論が出るだろう。

いわずもがなの感想

日米安保というのは、何か重苦しい無力感をともなう暑く高い壁のように思ってきたが、この程度のことなんだ、これくらいの人物が仕切っているに過ぎないんだ、過大な期待や挫折感は独り善がりだったんだと納得した。ありのまままの日本の姿を教えてくれた、メア日本部長に勇気と元気をもらいました!

(敬称略)

予測のおまけ

懐かしい冷戦時代の日米安保の歌として、篠原涼子の「恋しさと せつなさと 心強さ」がリバイバルヒットするだろう。



コメント
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