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大震災にロシア大攻勢

2011-03-18 22:17:00 | 3・11大震災


この一週間のロシア関係の記事の一部でる。あきらかに、メドベージェフ大統領が北方領土を訪問した頃とは、ロシアの対日姿勢に大きな変化が起きていることがわかる。3・11大震災を契機に、ロシアが日本にどのようなシグナルを発しているか。

3月12日
「隣国・日本」ロシアが最大級の支援へ

http://mainichi.jp/select/world/news/20110314k0000m030076000c.html

3月12日
ロシア救助隊が日本へ出発 75人規模「日ロ間で初」

http://www.asahi.com/international/update/0314/TKY201103140078.html

3・11日の地震当日に、すでに救助隊を編成し、翌日には派遣している。そのために、プーチン首相は、緊急会議まで招集しているわけだ。

3月16日
ロシア、日本と領土問題協議を行なう用意を表明

http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=17113:2011-03-16-13-50-46&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116

ロシアの意図はわからないが、昨年11月、メドベージェフ大統領がソ連時代を含めて、同国元首として初めて国後島を訪問したときは、「ロ日間に領土問題はない」という立場だったはず。「日本が第2次大戦の結果を認める以外に道はない」とロシアの領土を主張していたラブロフ外相が、「ロシアは日本と領土問題協議をしたい」と申し入れていることになる。

3月17日
日本に原発消火支援の用意 露外務省局長

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110317/erp11031722320009-n1.htm

チェルノブイリ原発事故の経験を持つロシアは、原発消火の技術も装備も備えて、日本側に支援を申し入れていたことがうかがえる。

3月17日
プーチン首相、サハリンで支援協議へ

http://www.mbs.jp/news/jnn_4676866_zen.shtml
プーチン首相が19日サハリンへ
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/international/279074.html

福島第1原発がメルトダウンして爆発すれば、サハリンも被災する可能性があるため、日本支援協議の場として選び、併せて現地の動揺を抑えるために、プーチン首相がサハリンを訪問すると読める。いうまでもなく、サハリン州の州都ユジノサハリンスクは、クリル諸島(北方領土)の入口である。北方領土問題について協議する用意がある、というプーチン首相のアピールではないか。

3月14日
<福島原発>東電全面退去打診 首相が拒否…水素爆発2日後

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110318-00000015-mai-soci

ロシアの日本外交大転換をうかがわせる大攻勢のさなか、日本政府は何をやっていたかといえば、何をやっていたのだろう? 内閣のNO.2、日本の政治外交の司令塔、大被災の救援司令官のはずである枝野官房長官は、内閣の広報官か、東電の広報マンのように、100時間寝ずに繰り返し記者会見を開いては、弁護士出身らしく歯切れよい口調で、「安全」「安心」と曖昧な内容を繰り返す一方、日本のリーダー菅首相は、反原発市民運動団体代表のように、東電本店に乗り込み、3時間にわたって、不在の社長に代わって、職員たちを怒鳴りあげていた。

東電関係者は「『撤退は許さない』というのは『被ばくして死ぬまでやれ』と言っているようなもの」と漏らした。

東電幹部の話 (必要最低限の作業員を残し、あとは退去する)部分的な撤退を検討したのは事実だが、全員撤退を検討した事実は絶対にない。


東電の責任は、もちろんきわめて重大だが、首相自身が出向いて怒鳴ることじゃないだろう。首相が出向いて怒鳴らなければ、撤退を翻意させられないというそれ自体が、司令塔も陣頭指揮も不在な証拠であると思えてしまう。

しかし、この「東電関係者」と「東電幹部」の談話にも呆れた。この記事が事実とすれば、「東電幹部と正社員は逃げ出すが、必要最低限の作業員を残して、『被ばくして死ぬまでやれ』と言っているようなもの」としか読めない。


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