先日、あるバス停に“耳栓男その1”が立っていた。私は「耳をふさいでいる奴に、何を言えというのだ」と思いながらも、扉を開けて「お待たせしました」と条件反射のように言った。
すると、その男性は“耳栓を外してから”乗ってきてカードを通したのである。特に何も言わなかったけれど… その時の私の「ありがとうございます」は、いつもより少しだけ力が入ってしまった。そして、彼は再び耳栓をして着席したのであった…
また、あるバス停からは“耳栓男その2”が乗ってきた。そして、そのまま黙って運賃箱の上に千円札と百円玉を「ポンッ」と投げ出したのである(あれは「置いた」とは言わない)。
カードが欲しいのは分かるが、私には種類が分からず… 二人の間に沈黙が流れた。すると男は「○○カード…」と言った。私も機械のように「アリガトウゴザイマス…」と言いながらカードを取り出したのであった…