正面玄関と裏口

面接のために病院へ行った時は、当然のことながら正面玄関から入った。そこには警備員が立っていて、体温計測機の前で手指消毒をするように促され、大きな画面に私の赤外線映像が表示されていた。が、会社からＩＣカードを渡されてからは、警備員も計測も消毒もない“関係者専用の裏口”から出入りできるようになった。私は、その時の気分によって通勤経路を変えているので、病院の正面から入ることもあれば裏から入ることもある。

先週だったか、雨の日に傘を差して出勤した時に「傘袋って、裏口にも用意されているのかなぁ？」と不安になった私は正面から入って、傘を傘袋に入れて職場へ持ち込んだ。その日、先輩に聞いたら「裏口にもあるよ」と教えてくれたので、「この次は雨の日も裏口から入ろう」と思った。仕事を終えて、病院内の薄暗い通路を歩いて裏口へ…　その時、「あっ、職場に傘を忘れてきた！」と思い出し、急いで戻ったのだった…

昨日、雨の中を出勤…　予定通り裏口へ行ってみたところ、ちゃんと傘袋が置いてあったのだが、「傘袋に入れて職場へ持ち込むと、先週のようなことがあるんだよなぁ～」と不安になった。その時、裏口を入ったところに傘立てがあることに気が付いて「おぉ、これでいいじゃん。某倉庫時代から使っているビニール傘だから、盗まれたってダメージはないんだし…（帰る時に雨が降っていることを想定していない）」と思って、傘を傘立てに置いて職場へ向かった。

そうそう、出入口が二つあると言えば…　手術室も同じで、病棟などへ繋がっている廊下側と、反対側にもう一つ同じような出入口があるのだ。だから、手術室の壁面の拭き掃除をしている時、扉のところまで進んできて「あれ？　拭き掃除を開始したのは、この扉からだったっけ？　反対側の扉からだったっけ？」となってしまうことが何度かあった。ある時、本当にどっちからか思い出せず、そのことを先輩に話したら「みんな、あるあるだよ」と教えてくれた。結局、私は「無駄かもしれない」と思いながら、そこからもう半周したのだった…（一日も早く、そういう無駄な時間をなくさなきゃな！）