おぢのニセコ山暮らし

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NHKスペシャルで分かった「キチガイに刃物、東電に原発」

2013年03月11日 | Weblog

 

きのうの「NHKスペシャル メルトダウン」観ました? 

福島第一原発の事故に関するスクープでござる。しかも、東電という会社、そしてニッポンの電力会社が、いかに原発について理解していないのか、よ~くわかりました。

番組では、まず福島第一原発1号機のメルトダウンの実態に迫っておる。

イソコンと呼ばれる原発の非常用復水機がなぜ働かなかったのかをしっかり調査報道しておったです。

イソコンとは、ISO CONDENSERを略しておるそうな。ようは、原子炉内の蒸気を、貯蔵している水で冷却する単純な装置。

しかも全電源喪失の事態でも動くという、緊急時にはまことに頼もしい存在。ところが、これが動いていないにもかかわらず、現場は動いておると長い時間勘違いをしておった。

緊急事態で、4基ある原発の3つが危ういという、とんでもない状況ですからこうした感違いはあるかもしらん。

で、そう勘違いした理由の一つが「豚の鼻」と呼ばれるイソコンの排気口から「モヤモヤしたものが出ている」との報告だった。

この「モヤモヤしたもの」が出ているから、イソコンは稼働していると思ったのだそうな。

事故後の検証でも、東電幹部、たぶん東大卒かなんかの理工系エリートでしょうけど、このモヤモヤしたものが、なんなのか、まるでわかっていない。

でNHKスペシャルは、アメリカの原発を取材。そこでは、イソコンが稼働すると「轟音と共に蒸気が出る」と現場の作業員レベルが知っておるのだ。

で、「モヤモヤしたもの」がでるときは、イソコンが止まっているとき現れる現象だそうな。

つまり米国の原発作業員は、非常事態にどうするかを、しっかり訓練しておるってことだ。イソコンはどう稼働させるか、稼働するとどうなるのか、しっかり知っておるのだ。

今回のフクシマの事故では、この大事なイソコンが働いているかどうかという基本的なことさえ、東電は誰一人知らなかった。

ところが、これまで国や東電などは原発訴訟で「イソコンが不具合になる確率は100万分の1以下と主張し、反原発訴訟に勝訴してきた」というのだから恐れ入る。

東電エリートの皆さんは、実際にイソコンを動かしたことなどまったくないのに、よくそんなこと言ったもんだよなぁ。呆れましたね。

原発についてイソコン含め「基本的な動作確認」など、まるでしていないのですよ東電は。

「キチガイに刃物、東電に原発」と言い切って、反論できないレベルなのじゃ。

そして福島第一原発2号機への注水でござる。これにも呆れました。

原子炉の水が無くなり、メルトダウンが近づいたため、消防車による注水を行うのですが、さっぱり原子炉に水が入ってなかったことが、のちに明らかになる。

これも、一度も訓練したことがないのだそうな。実態はどうだったか。注水した55%が原子炉には入らず、別のところに満タンに溜まっておったのです。

 「世界の東電」と呼ばれ、ニッポン最高峰の原発技術を持つとされた東電ですら、このレベル。あとの地方電力会社などおして知るべし、ってことでござる。

 いま、ご当地泊原発でも、消防車を導入したとか、その消防車のホースを原発施設のどこぞにつなぐ風の訓練をしておる。

しかし、実際につないで注水したことがないもんだから、ちゃんと原子炉に入るもんかどうか、いまも分かんないはず。机上だけの判断だもねぇ。

ニッポン中の原発、こんなもんなのでしょう、酷いなぁ。

アメリカのある原発では、すでに「フクシマプロジェクト」が始動しておるそうな。そこでは、原子炉に直接水を注入できるような配管や備えもしておるそうな。

単純、かつシンプルに原子炉に直接水を注入する配管です。

一方、抜本的な改革もせず、ちゃんと注水できるかどうかも分かんないまま「消防車を装備して終わり」というニッポンの電力会社が、まともに原発を動かすことができるとは到底思えませぬ。

北海道出身で、日本総合研究所理事長の寺島実郎さんは、「原発の技術を継承するためにも原発は必要だ」という論理だけれど、そもそも、その技術が怪しいって話なのじゃ。

今回のNHKスペシャルのスクープに敬意を表すとともに、ニッポンのクソタレ・エリート集団が、机上であれこれシュミレーションして「安全です」「万全です」と言っても、いささかも説得力がないことが明らかになったのです。

「キチガイに刃物、東電に原発」、彼らに絶対原発なんぞ持たせてはいけませんと、申しておきましょう。