グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

磯の貝達10

2009年09月09日 | 海の生物
 今回ご紹介する貝は正確に「磯」に生息している貝とは言えないかも知れません。
夏になる前、磯をウロウロしていると、死んで転がっているイモガイを発見しました。
この貝の表面に付いていたのが、今回のネタ「シマメノウフネガイ」です。
カリバカサガイ科という科に属し、その名の通り
他の貝を「借り場」にします。
普通では、水深3mより浅い場所では見た事がないので
潮下帯に生息する貝という事になるでしょう。
しかし、借り場にしている貝が死んでしまえば、今回の様に磯に打ち上げられてきます。

この貝実は、純日本産の貝ではありません。
原産はなんと北アメリカです。
外来種の貝と言えば、ムラサキイガイやミドリイガイ等が有名です。
船のバラストや船底に付着し、日本に持ち込まれた物と考えられます。
因みに、ミドリイガイは外来生物法で指定されている生物です。

1968年に初めて三浦半島で確認されて以来、日本中にその分布を広げています。
そんな北アメリカの貝が大島にも来ているのです。
通常、貝類の表面に付着し、貝の排泄物を食べます。
それだけなら何の問題も無く、純日本産にもそんな生態を持つ貝は多く生息します。
しかし、このシマメノウは付着した貝の成長を遅らせてしまうらしく、アワビやサザエに付いた場合、それを生活の糧にしている方々には大問題です。

故意にしろ偶然にしろ人間が自分達の責任で勝手に分布を広げてしまった生物は他にも多くいます。
大島ではキョンやタイワンリス等がそれにあたります。
確かに純日本産の生態系に大きな影響を与えているのは問題ですが
果たして、それは一体誰が悪いのでしょうか??
実に考えさせられてしまいますね。
コメント
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