グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

翼の生えた旅人たち

2009年09月15日 | 
 もう秋です。誰がなんと言おうと秋です。すごく秋です。

と、まあすっかり秋なわけですが、まだ陽射しも強烈な8月も終わりの頃から今ぐらいの時期にかけて、伊豆大島に毎年「翼の生えた旅人」がやってきます。

 シギやチドリの仲間です。いろいろな渡り鳥がこの島にはやってきますが、中でもシギやチドリの仲間は移動距離がハンパではありません。

 これらの鳥さんたちは渡りの途中、干潟や湿地に降り立って水生昆虫やミミズなどの小動物を食べて体力を回復し、再び飛び立って行くという長い旅を春と秋に必ず行うのですが、伊豆大島には干潟も湿地もありません。
 この島に降り立ったシギ、チドリたちは磯で小さな甲殻類やゴカイなどを食べて過ごします。

 それでもやはり好適な環境が無いためか、あまり数は多くはありません。
 そんな中でも毎年必ず来てくれるのが今日写真をご紹介するムナグロ(チドリ科)です。荒波をバックに磯で眠そうにしていました。

 この鳥は夏と冬で全然違う姿に換羽しますが、写真の子たちは、「胸が黒い」美しい夏羽から地味な冬羽に生え変わっている途中です。良く見るとお腹の方に黒い夏羽がちょっと残っていますね。

 大きさはハトよりちょっと小さいくらいの鳥ですが、なんと、ユーラシア大陸のツンドラ地帯で繁殖し、日本まで飛んでくるのです。ちょっと羽を休めた後、さらに飛んで東南アジアで越冬します。一番遠くはオーストラリアやニュージーランドまで行くものも居ます。そして春になると再び日本を通って生まれ故郷のツンドラへ帰るのです。

 ですから、これらのシギ、チドリたちが元気で暮せるためには、繁殖地と越冬地、それと日本のような渡りの中継地の環境が守られていなくてはなりません。
どれかが一つ欠けたらこの素晴らしい「旅人」たちに会えなくなってしまうでしょう。鳥や野生動物に国境なんて関係ないですからね。

(あまの)

 

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