グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

伊豆大島でフユシャク探し

2010年02月02日 | 
 昨日の雨もあがった伊豆大島です。今朝は東京23区でも積雪があったそうですね。伊豆大島も低地は雨でしたが三原山は雪化粧していました。

 三原山に雪が積もると厳冬期がやってきたなぁと思うのですが、こんな時期に限って発生する昆虫も居ます。

 「フユシャク」と呼ばれる蛾の仲間をご存知ですか?一般には、あまり知られていない虫達だと思います。(^▽^;)「フユシャク」とは「冬のシャクガ」の意味で、シャクガというのは幼虫時代にシャクトリムシと呼ばれる蛾の仲間です。 
 
 フユシャクの仲間は、気温の低い冬から早春にかけてしか成虫が現れない小型の蛾で、日本には35種類が分布するとされています。成虫になってからは繁殖に徹し、餌を摂りません。ただし寒さにも限界はあって、-7,8度より気温が下がると活動できなくなるようです。

 フユシャクが他の虫と違って冬に現れる理由は、天敵からの回避だと言う説が有力です。鳥に食べられないように、と書かれている文献もありますが、鳥は冬でもガンガン虫を食べるので、個人的にはクモやカマキリなどの肉食昆虫から逃れているのでは?と勝手に考えております。(^▽^;)

そんなフユシャクの不思議ポイントは形態にもあります。なんと、蛾のくせに雌には翅がないのです。(まぁ、カイコの雌なんかも翅があっても飛べませんが…。)なので、雌が枝先でフェロモンを出して雄が飛んでくるのを待ちます。

雌の羽が退化して飛べなくなった理由は、寒さへの対応(大きな羽を持っていると体の面積が大きくなって体温が奪われる)や、天敵の少ない冬に飛んで逃げる必要がなくなったことと、産卵を行なう重たい雌は飛ぶのを止めて動かずにフェロモンで雄を呼ぶことに徹したなどといろいろ考えられています。

 とても興味深い生き物だと思いませんか?

 先日、虫に詳しい人から、「フユシャクを見たことがあるか?」と聞かれました。なんでも伊豆諸島にしかいないフユシャクが居ると言うのです。その名は「アカウスバフユシャク」。乗せられやすい私は早速探してみることにしました。ところがフユシャク初心者の私にはなかなか見つかりません。

ようやっと、建物の明かりに来ていた一頭のフユシャクを発見しました。
それがこちらです。



しかし、アカウスバフユシャクは検索してもその写真が見つからなかったので、その道のプロの方に画像を送って教えていただいたところ、このフユシャクは、アカウスバと同じInurois属に属するクロテンフユシャクという種類だとわかりました。
このクロテンフユシャクは、全国的な普通種で、北海道,本州,四国,九州,対馬に生息し、平地では12月下旬から3月上旬まで長く見られ、サクラ、カエデ、ツツジなどを食樹としています。

どうもアカウスバフユシャクの発生時期はもうちょっと早いそうです。

 その数日後、自宅アパートの2階の窓にちょっと大きめのフユシャクがへばりついているのを発見し、撮影しました。しかし窓が開かない構造なので裏面のみしか撮影できませんでした(T_T)



 それでも一応画像を送ると、これはシロオビフユシャクであると同定して頂けました。

 シロオビフユシャクは、クロテンなどとは違うAlsophila属で、北海道,本州,四国,九州,屋久島に分布する、これも全国的な普通種だそうです。バラ科、マメ科、ヤナギ科、ブナ科、ニレ科、カエデ科など広食性で、12月下旬から2月上旬に出現するとのこと。

 フユシャクは夜行性なので本来は夜に探さないといけないんですが、まだ夜に探しには行っていません。しかし注意していると意外と道路を車で走っていてもちらちらと飛ぶ姿を見かけるようになりました。意識すれば見えてくるもんですね~。

 シロオビフユシャクなど数種類は都市部にも生息していて、公園などでも見つけられるそうです。ちょっと意識を向けてやれば、あなたのおうちのお庭にもフユシャクは暮らしているかもしれません。

 今度は翅のない雌を発見できるようにまた森に行ってみます(^-^)

(あまの)

コメント
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