グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

雪の三原山ツアー

2010年02月18日 | ツアー
昨日と今日の2日間、松本市からいらっしゃった熟年体育大学のお客様を、他ショップと合同でご案内しました。

昨日、私のチームは三原山頂口からお鉢を回り、温泉ホテルへ降りる8kmちょっとのコースを歩きました。

山は雨が止み視界は確保できていましたが、雪が積もり、舗装された坂はツルツル滑ります。
でも雪国で暮らしていらっしゃる方達だけあって、雪道を歩くのがすごくお上手で、
運動靴の方も転ばずに、凍った斜面を歩いて行かれるのには感心しました。

山頂は北風がビュービュー吹きつけ、半端ではない寒さでした。

雪は膝まで吹き溜まり、その新雪をかき分けながら進みました。
水蒸気は寒いためかいつもに増してモクモクと立ち上り、白い世界に不思議な迫力を付け加えていました。


氷の芸術“エビの尻尾”越しに三原山の火口を覗いたのも、初めての経験でした!

雪国の方は“エビの尻尾”を見慣れているのかと思ったら、松本市はこれほど強い風は吹かないので、見たことがないとのことでした。
ということはこの写真は他ではなかなか見ることができない貴重な写真ですね。
もっと真剣に撮れば良かったです…。

皆さんからは「大島に来て雪の中を歩くとは思わなかった。」という声が沢山聞かれました。
まったくそうですよね。雪国から春の大島へ来たはずが、雪の三原山を歩くとは…。

でも風の当たらない水蒸気が上がる場所を見つけて暖をとったり、雪の少ない場所を見つけて、
本当に上手に歩いていらっしゃいました。


さて、一番見たいという希望が多かった黒一色の裏砂漠ですが…眼下に広がっていたのは白い砂漠でした!

外輪山の外側は少し黒いのではないか、と思って寄り道してみたのですが、黒い砂漠はわずかな範囲…。
ほんの少しの黒いスコリアが、何だかとても貴重なもののように思えました(笑)。

そして2日目の今日、山の上は朝から昨日よりも雪が積もり、一面銀世界だったようです。

でも山を降りてからは順調で、泉津遊歩道、筆島、波浮、トウシキキャンプ場、薬師堂、火山博物館と快適なウォーキングを楽しみました。
山に囲まれた松本市に暮らす方達には、太陽の光で輝く海の景色が大人気でした。


2日間、本当によく歩きました。そして皆さん、とても素敵な笑顔でした!
ご自分の足で頑張って歩ききり、火山や森や海を体感された皆さんは、ただの観光でいらっしゃる方の何倍も
大島を肌で感じてくださったのではないでしょうか?

大島はこれから様々な花が咲き始めます。
いつ来ていただいても、その時期なりの見どころがありますので是非またお出かけくださいね。

皆さんの集合写真、掲示板に貼っておきます。
掲示板はこちらのアドレスをご覧ください。
http://9214.teacup.com/gscriku1966/bbs

個人メールへの添付を希望される方は、下記へメールをいただければお送りします。
gscrikuguide@amail.plala.or.jp

では、松本市熟年体育大学の皆さん、本当にありがとうございました!
これからも元気に歩いてくださいね。
私も皆さんに負けないように、頑張って歩きたいと思います。

(カナ)

PS.熟年体育大学は“熟年世代の健康づくりを学術面や人材育成などで支援する機関で、 
 「信州大学」、「松本市」、「民間企業」そして「市民」が協力してスタートした共同プロジェクト”です(HPより抜粋)。
 興味のある方はこちらのHPをご覧ください。
 http://www.jtrc.or.jp/jtrc_katsudo/index.html
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磯の貝類21

2010年02月17日 | 海の生物
下がりに下がっていた水温も何だか最近急に上がってきました。
通常2月の水温と言えば13~14℃位なのですが
ここ数年は、そこまで下がっても続く事無く、すぐに15~16℃まで回復します。
自然のサイクルを考えると一抹の不安を感じずにはいられません。

水温が下がらなければ、海藻が育たず
その海藻を餌とする貝も育たない事になります。
後は、食物連鎖の頂点まで繋がるだけの事です。
これは、地球にとって大問題です。
ま~ 人間のせいと言われればしょうがない話のですが・・・
しかし、ここまで身近に自然の変化を感じると、もう対岸の火事ではすみません。
実に問題ですね~ 
と言っても毎日、海に入る我々にしてみれば、有難い事です。

水中をよく見ると、海岸に打ち上げられているよりも遥かに多くの貝殻を目にします。
中には、綺麗な物も少なくありません。
やはり人気は、このブログでも度々登場するタカラガイ系です。
打ち上げは大抵傷が付き、表面が磨耗していますが
水中で見ると、まるでニスでも塗ったかの様にピカピカ輝いています。

そんな中には、貝殻は見るんだけど生態を見た事な~い
という貝が少なくありません。
今回、お届けする貝はそんな貝です。
名前は、「シラタマガイ」といいます。
貝殻には、無数の細かい筋が入り、その細かさに自然の造形の凄さを感じずにはいられません。
この貝もタカラガイみたいに貝殻を外套膜という軟体部に覆われます
一体、どんな外套膜をしているのか、いつか見たいと思っていました。。。

ある日、水深の浅い所で石を捲ると見慣れない貝を付いていました。
写真を撮ると透けた外套膜の奥に多数の溝が見えていました。
とうとう、出会ったシラタマガイです。

出会いたいと思っている生き物に広い海で出会った時
大袈裟かもしれませんが、運命を感じます。
そんな、素敵な出会いが毎日海に入る原動力になるのです。
なので、明日も海に行きます(笑)
次は、どんな生き物に出会えるでしょう
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もしかして初めてのお客さん?

2010年02月16日 | 
 今日はとても寒い一日でした。午前中に裏砂漠に行ってみたら吹雪で、死んでしまいそうになって途中で引き返してきました。(^▽^;)帰り道ではルリビタキの雌がなぐさめてくれました…。

 さて、今日の画像ですが、おとといの事です。この日記のネタになるような鳥を探してあちこち回り、夕方に空港の脇を走っていたら、目に飛び込んできたのがこの鳥でした。

この鳥の名前は「ケリ」。
ハトみたいな大きさと体型をしていますが脚はスラリと長い(草に隠れて写っていませんが(T_T))チドリの仲間。
 空港の敷地内にいたのでフェンスが思いっきり写っています(-_-;)

 空港は敷地が広く、外からは見えない部分が多いので、いつから居たのか分かりませんが、なんとなく疲れた顔をしていたので伊豆大島に着いたばかりだったのかもしれません。

 私はケリは関西の鳥だと思っていたのですが、調べてみると、昔は東北地方を中心に生息していたそうです。その後どんどん西日本に分布を広げてきて、今や京都や兵庫、大阪ではごく普通に見られる鳥です。私は京都で生まれ育ちましたが、電車の中からでも田んぼにいるケリをしょっちゅう見たものです。

 居るところにはたくさん居るのですが、全国的に見ると生息地は局所的で、地域によっては観察機会は少ないと思います。南西諸島などでもどっちかというと珍しい鳥ですね。
とは言っても静岡県などでは普通に見られる鳥なので、このケリさんは静岡から飛んできたのかもしれませんね。近いし。

 これまでの伊豆大島の鳥の記録を調べてみましたが、ケリの記録はありませんでした。もしかしたら伊豆大島初記録かもしれません。

 その翌日からは天気が崩れているので、まだ居るかな?と思って今日も探しましたが見つかりません。どこへ行ってしまったのでしょうか(^▽^;)

 もう一度出会いたいものです。

(あまの)

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古民家の薪

2010年02月15日 | 歴史・文化
大島郷土資料館内にある(別棟)古民家は2年前傷んでいた屋根をカヤで屋根を葺き替えました。そこで“火もし”をしています。

古民家の外にある薪(薪の乾燥及び風除けの意味合いもあるようです)ですが、何年もそのままに積んであるので夏には羽ありが集団で飛び立つのを目撃、他にも沢山の生き物が生息していそうな環境で限りなく土に近い存在になって久しい状況でした。↓
                         
                        こんなに崩れています
                         
                        シダや明日葉も生えています
  

=今回薪の交換にあたりマムシが冬眠している可能性もあるから気をつけてねと声をかけてくれた方も居ました。ネイチャーガイドとしては見たかったけれど今回は居ませんでした。新しくなってこれなら夏も涼しいから中に居る可能性もありますね=




すっかりきれいになりました。10年はこのままで大丈夫!


町役場・資料館の方々もご存知の様子でしたがなかなか予算・労力と人手も割けないようでした。
幸い道路拡張工事によって切り倒された木材が無料で手に入ったので新しい物と交換がかないました。でも、そのためには軽トラックを借りたり薪の長さに切ったり運んだりと多くの方が協力してくださいました。皆さんありがとうございます。特に中心になって行動してくださったTさん本当にお疲れ様でした。

以前、義母が『木を拾って薪に造りそれが沢山積まれているとうれしい』と言っていました。日常使用する燃料を集め作ることは大変で沢山あるということは暫くその作業をしなくても良い!と言う事で心にゆとりが出来るのかなと思いました。
今は水でも同様だが煮炊き、暖房、風呂と何でも苦労無くスイッチひとつで出来てしまう便利な世の中になって幸せです。


次回 20日(土)10時ごろより2時ごろに炎と煙を出して“火もし”をしたいと思います。お点前は無いですが“おうす”と汁物も予定しています。(出来ればお椀とお箸をご持参ください)
その他何か焼くものを考えています。何を焼きましょうか…
あ!それから、家の月桂樹(ローリエ)を剪定するので月桂樹の香りを聞こうかと思っています。
火付けのベテランの方、火を付けてみたい方大歓迎です。早めにおいでください
          
ゆらめく炎を見ながら おしゃべりされる方も大歓迎ですのでご参加ください。
                          (しま)
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寒さの恩恵

2010年02月14日 | ツアー
最近2度のガイドのお話をします。

一度目は定年後ぐらいのご夫妻の案内でした。
気温が一気にあがった日なのですが、とてもとても風の強い日でご夫妻は「やめたほうが良いかしら」と心配されていたそうですが、風のあたらないコースに変更出来る事を知り、安心して参加してくださいました。

山頂口から歩き始め、三原山の麓あたりへ。
そこで溶岩流の上に立って噴火のすごさを実感してもらい、あとは風をよけながら樹海のコースを行きました。

樹海までたどり着く道もそうですが、樹海も、とてもとてもお客様だけで通り抜けることは出来ないだろうなぁ、という程に心細い道しるべがある程度です。
お客様にはちょっとした探検気分を味わってもらえますね^^

そして、樹海の風のなさにとても感動していただけました。
樹海って本当に貴重な場所ですね。
風の日も、霧の日も、多少の雨の日でもかなり快適に、視界を確保しながら歩けます!
それでも、樹海の中を歩いている間、お客様が「どっちがどっちだか方角がわからない」とおっしゃっていました。
まさにコンパスのきかないエリアの体験ですね。
Oさん、最後まで元気に参加してくださってありがとうございました!!

二度目のガイドは寒い寒い三原山登山ですっ。
この冬一番の寒さなのでは?という気温。そして、山を見上げると真っ白で何も見えません。
雨も降っているし、風もあるし、これは難を避けて樹海コースだなぁ・・
なんて思ってコース説明を進めていると、お客様が「で、三原山はいつ登りますか^^?」
との質問。
「えっ、真っ白で何も見えませんよ、登りますか?」と確認すると
「山頂まで登ってくるって友達に宣言してきたから、絶対登りたいんです!」とっ。。

「わぁ、そうですか。それだけ覚悟が出来ていらっしゃるなら、お供しましょう!」
という事で、完全武装をして登頂に挑みました。

頑張って歩かないと凍死しそう(おおげさ^^;)なので、植物の説明も短めに、せっせと進みました。
それでも見た事の無い景色の連続で、何度も足をとめては感動をわかちあいましたけど♪

その中でも最も感動が大きかったのが、こちらのシーン。

なんと、樹氷です!!
ここ数日霧が山にずっとあったのでしょうね、それらが結晶になり風によって木に吹きつけられ、張り付いて神秘的な光景を作り上げていました。

樹氷というと山形のほうの、木がまるごとダルマのように白く固まっているイメージを持たれるかもしれません。
あれも含め、霧氷という言い方をするそうです。
他に荒い結晶がつくと粗氷、ただ霜が張り付いたような物を樹霜と呼ぶそうです。
この質感・出来方だと樹氷と言えそうです。

それにしてもまさかこの大島でこんな雪国のような景色に出会えるとは思ってもいませんでした!
例によってまた私が一番はしゃぐ・・・^^;


同行した方が「エビの尻尾だ!」と言っていました。
おぉ、なるほどエビの尻尾のように木の枝から風上に向かってギザギザの氷柱が成長しています。
実際、この現象の事をエビの尻尾と呼ぶそうで、また一つ勉強になりました^^
Sファミリーさん、本当に、あの気候でも登頂を希望してくださってありがとうございました!!

寒いなら寒いなりの、素敵なご褒美があるものなのですね~!!!

それにしても、次回お友達といらっしゃる時は晴れていると良いですね^^!

(友)

P.s. このツアーの後日、スタッフ西谷が早速登頂して、さらに発達した樹氷の撮影に成功しています^^
掲示板に載せてくれるので、ぜひ迫力の氷の芸術をご覧ください!!

http://9214.teacup.com/gscriku1966/bbs
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トラツグミ

2010年02月13日 | 
なんとかもっといい写真で紹介したかったのですが、イマイチどころかイマサンぐらいの写真ですね(汗)
でも落ちたヤブツバキが大島感を出していると思いませんか?

名前の通りツグミの仲間で全国的に分布し、伊豆大島には冬になるとやって来ます。
高地や北の地方にいる個体が越冬に来ているのでしょう。
ツグミやシロハラよりも大きいので存在感があります。
出会うとうれしくなる鳥ですね。

冬の間中しばしば見かけ、そんなに珍しい鳥ではありませんがなかなか写真に撮ることのできない鳥のひとつです(・・・私が ですけど)
この写真は一昨日の撮影です。
霧雨の降るどんよりとした朝でした。

車の中から狙っていましたがどんどん坂を登って離れていってしまいます。
後姿ばかりでした(涙)



ステキな黒と黄色と白の配色はタイガースファンにはきっとたまらないでしょう。
(・・・そ、そうかな・・・?)
こうして地面に降りて落ち葉を引っくり返したり土をほじくり返したりして食べ物を探しています。
図鑑などには地鳴き(さえずりに対しての鳴き声のこと)は「ガッ」とありますが私は聴いた記憶がありません。
飛び立つときもたいてい無言です。
飛んで行った先で「ビュルルル・・・」というような声を出しているのは何回か聴いています。

何年か前の春の終わり、夜明けにトラツグミのさえずりを聴いたことがあります。
「ヒョーーー」とか「フィーーー」という金属的な、ちょっと鳥とは思えないような声でした。
知らなければ恐怖におののいていたことでしょう。
実際「UFOの音では!?」と騒ぎになったこともあるそうです。

またトラツグミと聞いて鵺(ヌエ)を想像する人も多いかもしれません。
ヌエはトラツグミの昔の呼び方です。
ヌエといったら平家物語に出てくる怪物ですよね?
私はあのいろんな動物が混ざり合った怪物の名前がヌエだと思っていました。
しかし調べてみるとその怪物はヌエではないんだそうです。
『頭はサル、体はタヌキ、尾はヘビ、手足はトラのような怪物でその声はヌエのようだった』
とありました。
声がヌエのようだった というだけのことなのです。
怪物の名前は特に記されていないのです。

「へぇ~」でした。





飛び去る一瞬前、こちらを向いてくれました。



明るい所で撮影できたらいいなぁ~と思いますがトラツグミにはこんな天気が似合っているような気がします。

でもみなさんにもっとはっきりと凛々しい姿をお見せしたいですね。
きっといつかチャンスがあると思います。




     がんま
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早春の彩り

2010年02月12日 | 植物
オオシマカンスゲ(カヤツリグサ科)
 Carex oshimensis
 (スゲ属)  (大島の)

 島の林の中でも林の縁でも、いろいろなところで目に付きますが、大部分の人が見栄えのしないこの植物に関心を示さないようです。
 
 今、このオオシマカンスゲの花・・・稈(カン:イネ科植物に見られるような、節と節の間が中空の茎)の先の雄花の黄色い房(おしべの葯の集まり)が、美しく咲いています。特に林縁の日の当たる所に、この黄色の大房が輝いていると、その美しさに見とれてしまいます。ちょっと手を触れると、黄色の花粉が煙のように散ります。

 オオシマカンスゲは、伊豆諸島の環境の中で分化(分かれて進化する)した島の固有種です。伊豆諸島のほかは、伊豆半島の一部、初島などに生育しているようです。近縁種は日本全土に分布するヒメカンスゲC.conicaと考えられています。

 スゲ属の花のつくりは、オオシマカンスゲと似たりよったりです。三陵形の稈の頂上に雄花があり、下の方に雌花があります。雌花のすぐ上に雄花があるものもあります。風が吹くとスゲ属の植物は上の方の雄花のおしべの花粉が散り、めしべに受粉します。風媒花なので、虫を呼ぶ花びらも蜜腺もありません。受粉して出来た種子(果実)は果胞(かほう)に包まれています。果胞は3mm前後の倒卵形ですが、その形、毛の有無など、種類を決めるカギになります。

 葉は、密に叢生(そうせい:むらがり生える)し、濃緑色で3mmから6mmの細い葉がたくさん着きます。



 むかし、大島はスダジイの原生林におおわれていたと想像できますが、原生林の構成種のヤブツバキ、シロダモ、ヤブニッケイ、などや林床のヤブコウジ、テイカカズラ、ベニシダ等に混ざり、このオオシマカンスゲがいつでも代表的な下草でした。だから伊豆諸島を特徴づける原生林群落をオオシマカンスゲ-スダジイ群落といいます。

 オオシマカンスゲを大島では、単に「スゲ」と言っているようです。スゲは、清浄(スガ)の転音であるとか、巣(ス)の様に見える葉を毛(ケ)にたとえたこととか、住宅の敷物をスガタタミといい、これに使用する材料からスガ→スゲと言ったとか色々の語源があります。

 カンスゲとは、冬でも葉が青々としているので「寒さに強いスゲ」という意味です。一見、無用に見える菅(スゲ)も、昔は刈りとって葉の広いものは菅笠(スゲカサ)に、葉の狭いものは蓑(ミノ)にしたそうです。

 島の古い文章にも「菅(スゲ)、諸島産せざるなし、葉を縄綯(なわな)い、又 草席蓬(クサムシロ、ヨモギ)等となす。」と書かれています。家畜の飼料にもしたということです。

 オオシマカンスゲに近い種に、カンスゲC.morrowiiと、ハチジョウカンスゲC.hachijoensisがあります。どちらも「大島植物目録」に記載されています。カンスゲは茨城県以西の太平洋沿岸地方、四国、九州に分布しています。以前、大島の植物調査に来島された緑星研究所の小崎昭則氏が「カンスゲが見つかりませんね。」と言ったことがあります。また、島の固有種であるハチジョウカンスゲは、八丈島と御蔵島だけに分布していることが定説です。

 大島のスゲ属の中に、この2種があるかどうか。又どの位あるのか。今後の調査課題の1つです。(吉田)


 …と以上、『大島自然愛好会会報№145』(1995年3月10日発行)に故吉田三喜男先生が、「島の植物(12)」としてオオシマカンスゲについて書いています。丸写しはズルイ~ッ!!と、他のスタッフから言われるだろうなあ(汗)
 来週の16日は吉田先生の七回忌。先生を偲んで紹介させて頂きました。吉田先生は、1984年から2003年まで、ほぼ毎月、手書きの会報を発行し続けて、主に大島の植物と自然について分かりやすく解説して下さいました。この会報のバックナンバーは、昨日の日記「クズ百面相」(byカナ)の文中に登場している藤井工房でも、町立図書館でもご覧頂けます。
 ハンドブック『伊豆大島の植物』を他の島に先駆けて中心になって作成するなど、いま私たちが大島の自然について学ぶ時の基礎になっています。 

 林床のオオシマカンスゲのような存在と先生をたとえたら、怒られるかな? 

(なるせ) 
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クズ百面相

2010年02月11日 | 植物
寒い冬の間、葉を落とした落葉樹たちはひっそりと眠っているかのようです。
でも…実はしっかりと、春に向けての準備を整えているのです。
その姿が冬芽です。

「今年は冬芽観察するぞー。」と思っていたのに、延び延びになっていました。

そんな折、森林インストラクター間のメールで、冬芽観察会の報告が流れてきました。
メールに触発されてネット検索してみたら、世の中には“冬芽ファン”が沢山いることがわかりました。
しかも人気投票なるものが行われていて、なんとクズがダントツ一位に輝いているではありませんか!

「クズの冬芽ってそんなに可愛かったっけ?」
さっそく近くのクズを調べてみることにしました。

近くの沢でクズの枝をたどってみたら…。
あれれ?こ、これがダントツ一位の可愛い冬芽?

何だか眉間にしわが寄って、超不機嫌な怖い顔に見えるのですけど…。

あきらめず別の枝を探してみました。
そうしたら案外簡単に可愛い顔が見つかりました。

「ママお腹すいた~。」


「イヤ~ン。」


ウインク!!

だんだん調子に乗ってきました(笑)。

細い枝にも顔があるのでしょうか?

細い枝には赤ちゃんっぽい(というか何となく猿っぽい…?)顔が付いていました!


この顔に見える部分は葉痕と言って葉っぱ散った痕で、その上に冬芽が付いています。
目や口に見える部分は水や養分を運んでいた管の痕だそうです。

大島ではどこにでも見つかるクズのツルに、実はこんなに様々な表情が隠れていたのですね。

ところでクズの葉痕を見ているうちに、何となく“こけしの顔”に似ているように思えてきました。

「藤井工房(http://www.island-net.or.jp/~ankosan/sub3.html)に行けば、同じ顔をした“こけし”が見つかるかも…。」
そんな期待を胸に、工房を訪ねてみました。

思った通りのイメージのものが見つかりました。
ヤブツバキの木に彫りこまれた、この人形の顔ですが…

どことなくこちらと似ていると思うのですがいかがでしょうか?

ノミとカナヅチを手に60年間、大島の木を使った人形を掘り続けたという藤井重治氏の作品。
その人形にそっくりの顔が、私たちの身近な自然の中に隠れているかも知れないのです。

そんなふうに思ったら、冬のヤブも宝の山に思えてきました(笑)。
これからしばらくは虫メガネ片手に、道端の樹木に張り付くことになりそうです。

さて最後に問題です。

昨日見つけたこの動物顔は誰でしょう?

梅雨時に咲く、準固有種の植物です。
島内在住の方、身近にありますから是非探してみてくださいね~。

(カナ)

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週末の過ごし方

2010年02月10日 | 植物
椿まつり期間中、大島公園内に椿プラザという会場が作られます。

そこでは毎日あんこさんの手踊りが披露されたり、
時には御神火太鼓の演奏など、郷土芸能を楽しむことが出来ます。

数軒の売店も店を出し、椿油などの大島土産を買うことも出来ます。
私が好きなのはあしたば粉入り今川焼き。
しっとりやわらかくておいしいです。
あとはたこ焼き。特に大島名産ではないのですが、
外がかりっとしていておいしくて好きです。

そんなちょっとしたお祭り気分が味わえるのが楽しくて、
この時期は天気のいい週末は大島公園まで足を運びます。

無料で入れる動物園で遊び、芝の広場でお弁当を食べ、
芝滑りを楽しみ、そしてプラザで買い食いが私のフルコースです。

写真の桜は先週末のフルコース中に見つけました。
だいぶ咲いて来ましたね。
オオシマザクラは花が咲き出すとすぐに葉が出て来ます。
メジロも数匹寄ってきて蜜を吸っていました。

椿の赤と対照的に白でこれからの大島を彩ります。

(のり)
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藍染

2010年02月10日 | 歴史・文化
“そうめん絞り”の藍染めに挑戦しています。
4年目を迎えた藤井工房のそうめん絞り復活プロジェクトは生藍染めに挑戦すべく、去年は畑に藍の葉を植え現在このようになっています。



新しい畳の様な匂がします。お茶にして飲んだらおいしそう  か?
今年の藍植え付けに向けて種も採って置きました





小さな種です。  この種で、藍を育ててくださる方募集(ボランティア)


しかし今回は



この薬品を使います。インド藍K・ハイドロコンクです



インド藍Kは形状がスコリヤのようで裏砂漠に行ったら集めてこられそうですが、これを溶かして藍液を作ります。(インド藍から抽質したものか、化学合成されたものか分かりません)



表面の泡を漉くって藍建て完了。



表面は青色なのですが生地を入れると緑色がかっています。生地を浸すこと5分

液から出すとやはり緑色っぽいですが、空気に触れると酸化されて青くなります。
重ならないように大島の大気に触れさせます



長~いけれど“ふんどし”ではありません。5本分の生地です

30分以上おいて1工程終了。これを5回繰り返します。どんどん藍が濃くなってきます

次に、温水で洗浄。酢酸液にて中和し又洗浄、乾燥
今日中には乾かないので次の作業は来週に!


藍染の作業の前に“そうめん絞り”のそうめん由縁の作業があります。
点を打ってある生地を丁寧に串縫い



縦・横をそろえて縫わなくてはいけないのですが、これは根気がいる作業でなかなかはかどらないのです。(眼はしょぼしょぼ、肩ガチガチでも頑張りま~す)       (しま)


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