nikkurei社長のひとこと**ケアマネは希望の星だ**

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ケアマネ太郎日記

2011-11-12 17:26:26 | ケアマネ太郎日記
飛田さんは退院を迫られている、病院からはあさってと言われている。
MSWもあてにできない。
とりあえず飛田さんの家族に話を聞く。印象はきついが喋る内容は頼りない加藤も一緒だ。
いま、その加藤が飛田さんの家族を病室に呼びに行っている間、手持ち無沙汰で待っていると、家族と加藤が部屋に入ってきた。とたんに部屋が狭く感じる。飛田さんの家族は奥さんと娘さんだった。4人ではこの部屋は狭い。
「病院からはなんといわれてんですか」と聞くと、加藤は嫌な顔をしたが、私は知らんぷりをした。
「あっさってには退院しろと」
「それだけ」
「はい、ね。お母さん」
と言うのに奥さんは頷く。案の定、加藤は何に仕事もしていない。これじゃ退院後の生活支援は大変だ。こちらですべてやらなければならないかと覚悟を決めた。
「ご本人はなんて言ってますか」
「やはり家に帰ると」
「ご家族はどう思いますか」
「無理ですよ、いまのままじゃ。リハビりだって途中みたいだし」
「先生もリハビリは続けたほうがいいっていてました」と加藤が付け加えた。
そんならあんたが転院を調整しろよという高ぶりを抑えて
「あと食事とか、おトイレとかはどうですか、いまは自分でなんとかできてますか」
「食事の方は、いまはなんとか出来ているみたいですけど、トイレがね」
「いまどうしているですか」と加藤に聞くと
「トイレまで車椅子、それと紙おむつですね。尿意や便意はあるみたいで」
「そうすると自宅に戻るとなると、そのことをどうすかですね」
「私じゃむり、よ」
「お母さんがやったらお母さんが今度は入院しなけれなならなくなるかもしれないから、どうしようかって」
「では、退院をどうするかを先に考えましょうか。飛田さんは自宅がいいっていってるんですね」
「そうです」
「で、病院に移るというのはどうですか」
「私たちはそのほうがいいだけど」
「これから先の病院がない、と、いうわけですか」
「どうでしょう、金子さんの方でお付き合いのある先生とかは」
「それも考えておきましょう、いままでかかっていた坂東診療所の坂東先生ですね」
「あと、どうしても自宅に戻ったときですけど、いくつか問題があると思うのですが」
「やはり、トイレ」「それとお風呂だわね」
私は話の途中からあの家のトイレを思い浮かべていた。たいがい、このした病気の後遺症で自宅に戻ると食事、排泄、入浴が家族にとって気がかりになる。それをどうするかは自宅の状態と同居家族、本人の考えそして経済力によって同じ解決法はない。1つ1つ、その家族の状態に応じて考えなければならないので、いま、それを思い浮かべていた。
あの家ではトイレの改造が必要だろう、電動で動くというのは寝ている部分が上下して、さらに頭の方の部分も上下するという介護用のベッドが既に家のなかにあるが、今回の病気で本人の状態が変わるだろうから、やはり排泄を行うための対策を講じなければならない。食事は何とかできるみたいだし、むしろなにもしないほうがより自分で食事ができる気がする。あとはお風呂か、それも浴室の改造でできるようになるか、それもと介添えがいるのか、いまのところは分からない。
「食事は何とかいままで通り奥様に調理をしていただいて、食べることはご本人に頑張ってもらいましょうか」
「そうね」と奥さんはやはり不安な様子が拭えない。
「そうしたら慣れるまでヘルパーさんに入ってもらいます、か」と聞いて見る。ま、初め自宅療養に慣れるまでヘルパー利用もあるか。
どうしても無理なのはトイレ。
「あっさての退院は伸ばせないんですか」と加藤に念を押す。
「そうですね」と頼りない返事。
「トイレがどうしても無理ですね、いまの奥様の状態じゃ、無理でしょ。かといってトイレの改造もすぐにはね、それにどうするか、までも考えないと、加藤さん、在宅での療養って病院みたいにスタッフが整っていて、設備も整っていて、て訳にいかないんですよ。それにヘルパーっていいますけど、これもヘルパーさんの都合もあるし、聞かないと揃わないんですよ、わかります」
「だいたい退院数日前に私に連絡なんていくらなんでも準備ができないです。入院したときにせめて病状と退院の見込みを私に教えてくれたら、もう少し準備ができて、加藤さんのいう退院ができたと思うんです」やはり私の心のなかでは相当、今回の病院の対応に不満が募っていたらしい。思わず本音を言ってしまった。
「そうですね、だったら先生にどれくらいなら伸ばせるか聞いてきますか」
なんとも、初めからそういえばいいんだよと、思わず言葉になりそうなところを押さえ込んだ。
コメント
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