浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

玉川しんめい『エコール・ド・パリの日本人野郎』(朝日新聞社)

2011-07-25 11:35:49 | 日記
 1989年刊行である。書棚の奥にあったものを取り出した。この秋から歴史講座を担当することになり、大正期の雰囲気を例示する材料として、本書の主人公である松尾邦之助をとりあげるためだ。

 松尾は引佐町金指(現在は浜松市)出身。金指の呉服屋の次男、中学校を出て現在の東京外大仏語科へ進み、その後長期間フランスに滞在し、フランスにいた多くの文化人(たとえば藤田嗣治ら)と交流したことなどを記したものだ。

 戦後松尾は、読売新聞の論説委員などになる。

 松尾のように、大正期に青春時代を過ごした人間が、いかに自由に生きていたか。そういう自由人はたくさんいたのだが、この地域出身の松尾や宝塚歌劇団の生みの親である白井鐵造などの生き方は、大正期を象徴的に表す。

 本書は、松尾が滞仏中に交遊した様々な人物の姿が、生前松尾と交流していた玉川の眼から活写されている。この頃の日本人は、フランス語もできないままにフランスに行き、そこで自由に、また貧しさに悩みながら生きた。その度胸に感服する。

 松尾には『無頼記者、戦後日本を撃つ』(社会評論社)がある。これもとても面白い。
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河田宏『内なる祖国 ある朝鮮人学徒兵の死』(原書房)

2011-07-25 11:15:58 | 日記
 盧龍愚(ノヨンウ)、創氏改名により河田清治少尉は、1945年5月29日、大井川の上流川根本町上空で、横浜空襲のために飛来したB-29に体当たりを行った朝鮮半島出身の軍人である。

 このことについては、以前書いたことがある。『本川根町史』に書いたものであるが、全文下記にアップしてある。

http://comrade.at.webry.info/200505/article_12.html

 この本は、盧についていろいろ記しているが、どこまでが史実に忠実であるのかよくわからない。盧と友人らとの会話もあったり、著者の想像で書かれているところも相当あると思われる。また盧の南次郎宛の手紙も引用されているが、その史料の出所についても記されていないので、後追いができない。巻末に参考資料・参考文献が掲載されているが、記述のもととなった資料の提示がないので、史実としてどれほど信用できるのか不明である。

 この本は歴史書とも言えないし、小説とも言えないきわめて中途半端な内容である。盧の体当たり事件を主題とした歴史随想とでもいえようか。

 この本は図書館で借りたが、参考文献としては掲げられるが、歴史を叙述する資料としてはつかえない。
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想定された通りの事故だった

2011-07-25 08:57:45 | 日記

 「ヤメ蚊」さんのブログに貼り付けられていたyou tubeのビデオ。原子力安全整備機構が、福島原発事故と同じような事故を想定していた。


http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&;v=wwYk62WpV_s#at=45
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