1989年刊行である。書棚の奥にあったものを取り出した。この秋から歴史講座を担当することになり、大正期の雰囲気を例示する材料として、本書の主人公である松尾邦之助をとりあげるためだ。
松尾は引佐町金指(現在は浜松市)出身。金指の呉服屋の次男、中学校を出て現在の東京外大仏語科へ進み、その後長期間フランスに滞在し、フランスにいた多くの文化人(たとえば藤田嗣治ら)と交流したことなどを記したものだ。
戦後松尾は、読売新聞の論説委員などになる。
松尾のように、大正期に青春時代を過ごした人間が、いかに自由に生きていたか。そういう自由人はたくさんいたのだが、この地域出身の松尾や宝塚歌劇団の生みの親である白井鐵造などの生き方は、大正期を象徴的に表す。
本書は、松尾が滞仏中に交遊した様々な人物の姿が、生前松尾と交流していた玉川の眼から活写されている。この頃の日本人は、フランス語もできないままにフランスに行き、そこで自由に、また貧しさに悩みながら生きた。その度胸に感服する。
松尾には『無頼記者、戦後日本を撃つ』(社会評論社)がある。これもとても面白い。
松尾は引佐町金指(現在は浜松市)出身。金指の呉服屋の次男、中学校を出て現在の東京外大仏語科へ進み、その後長期間フランスに滞在し、フランスにいた多くの文化人(たとえば藤田嗣治ら)と交流したことなどを記したものだ。
戦後松尾は、読売新聞の論説委員などになる。
松尾のように、大正期に青春時代を過ごした人間が、いかに自由に生きていたか。そういう自由人はたくさんいたのだが、この地域出身の松尾や宝塚歌劇団の生みの親である白井鐵造などの生き方は、大正期を象徴的に表す。
本書は、松尾が滞仏中に交遊した様々な人物の姿が、生前松尾と交流していた玉川の眼から活写されている。この頃の日本人は、フランス語もできないままにフランスに行き、そこで自由に、また貧しさに悩みながら生きた。その度胸に感服する。
松尾には『無頼記者、戦後日本を撃つ』(社会評論社)がある。これもとても面白い。