浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

石橋克彦編『原発を終わらせる』(岩波新書)

2011-07-28 06:45:20 | 日記
 フクシマの原発事故はいつ収拾するかまったく不明である。現在は放射能の放出も少なくなっているが、何らかの事情で再び高濃度の放射性物質を放出する可能性がないわけではない。

 またすでに放出された放射性物質は、何をどうしようと放射線を出し続ける。放射性セシウムは半減期が30年とはいっても、30年で半分しか減らないのだから、30年経っても放射線は放射され続ける。本書によると、放射能の影響がなくなるのは、半減期の20倍になるそうだ。そうすると600年ということになる。

 我々はどうあがこうとも、東電など原子力マフィアが金儲けを求めて「安全」を軽視することにより起こした事故のために、放射能汚染に苦しむこととなる。なぜ東電などから何の利益も得ていない我々が汚染されなければならないのか。あまりに理不尽だ。福島県でも原発からのマネーをもらっていなかった飯舘村の人々は、相対的に大きな都市と合併もせず、自力で生きていこうとした矢先にこの事故だ。ひどいのは高濃度汚染のために村を離れなければならなくなったことだ。そして福島市や郡山市、その他の地域は、高濃度の汚染があっても何の避難対策もなされていない。自分の土地に、長期間戻れないのだ。

 こういう事態になっているとき、もう我々の選択は、一つである。脱原発、これしかない。もう一カ所、同じような事故が起きたら、我が日本は終わりだ。他の原発大国、たとえばアメリカは地震が起きるところには原発はないし、フランスは地震のない国だ。地震列島である日本は、国土が狭く、逃げるところがない。電力会社など原子力マフィアなど一部の者のために、我々は自らに降りかかってくる不利益を甘受するのか。ノーだ。

 現実をしっかと見据えようとする時、脱原発に向かってどういう認識を持つべきか。本書はそれを示す。そう「原発を終わらせる」、そのために今知っておかなければならないこと、それが書かれている。

 本書はまず最初に福島原発事故について、現状分析を含めて記す、そして二つの側面から、一つは科学・技術的側面から、もうひとつは社会的側面から原発のもつ問題性を浮かび上がらせる、そして最後に「原発をどう終わらせるか」を記す。


 これから長期間、日本に住む者たちは、放射能汚染されたものを食べたりするのだ。「直ちに影響はでない」かもしれないが、後になって影響、それも悪い影響だ、それがでてくる。東京付近に住んでいる者から、食料はどうしたらよいかと問い合わせがあった。外食したりするとき、どこの野菜や牛肉がつかわれているかわからない、外食はできるだけしないことだ。これから長期間放射能とつきあっていかなければならない、だからできるかぎり体内に放射能を取り込まないことだ。ここを見よ。

http://nerima-kosodate.net/07oyakudachi/housyanou.html

 原発事故に遭遇した我々は、何としてでも脱原発を実現し、後に続く日本列島に住む人々に安心、安全を創出しなければならない。

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