『オリンピックの身代金』は、ところどころで、日本の歴史や現状に対する鋭い指摘を行っている。
「この国のプロレタリアートは、歴史上ずっと支配層に楯突くということをしてこなかった。我慢することに慣れきっているので、人権という概念すら持っていない。無理をしてでも先進国を装いたい国側にとっては、願ってもない羊たちだろう」(230頁)
村上作品に羊はよく出てくるが、こういう含意はないだろう。
安倍政権の経済政策は、浜田宏一という人物が指南役となっているが、これがとんでもないことを言っている。しかしまあ、そういう政策が行われることは当然わかっていた。それでも日本の選挙民は、自民党を勝たせたのだ。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/713825b042ffbcb5747ef9ff49800512
「わずか19年前(つまり戦時中ー引用者注)、人の命の値段は石炭や鉄よりも安かった」(235頁)
まさにタダだった。徴兵の令書を発行すれば、役場の兵事係が本人に渡してくれた。
「(天皇制について)完全なる公人が頂点にいるおかげで、この国の支配層はいつでも奉公人の立場に逃げられた。民主主義の過酷さと向き合わずに済んできた。天皇制は、日本人の永遠のモラトリアムなのだ」(238頁)
責任逃れ、これは丸山真男が指摘したことでもある。無責任体系、これが日本の宿痾だ。原発事故についても、誰も責任をとっていない。それどころか、当時の官僚たちは次々と天下りして大金を食んでいる。
いつも責任をとらないのは、支配層の人間である。しかし追及が激しくなると、被支配層のなかから人身御供にだされる者がある。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-03/2013020315_01_1.html
「この国のプロレタリアートは、歴史上ずっと支配層に楯突くということをしてこなかった。我慢することに慣れきっているので、人権という概念すら持っていない。無理をしてでも先進国を装いたい国側にとっては、願ってもない羊たちだろう」(230頁)
村上作品に羊はよく出てくるが、こういう含意はないだろう。
安倍政権の経済政策は、浜田宏一という人物が指南役となっているが、これがとんでもないことを言っている。しかしまあ、そういう政策が行われることは当然わかっていた。それでも日本の選挙民は、自民党を勝たせたのだ。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/713825b042ffbcb5747ef9ff49800512
「わずか19年前(つまり戦時中ー引用者注)、人の命の値段は石炭や鉄よりも安かった」(235頁)
まさにタダだった。徴兵の令書を発行すれば、役場の兵事係が本人に渡してくれた。
「(天皇制について)完全なる公人が頂点にいるおかげで、この国の支配層はいつでも奉公人の立場に逃げられた。民主主義の過酷さと向き合わずに済んできた。天皇制は、日本人の永遠のモラトリアムなのだ」(238頁)
責任逃れ、これは丸山真男が指摘したことでもある。無責任体系、これが日本の宿痾だ。原発事故についても、誰も責任をとっていない。それどころか、当時の官僚たちは次々と天下りして大金を食んでいる。
いつも責任をとらないのは、支配層の人間である。しかし追及が激しくなると、被支配層のなかから人身御供にだされる者がある。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-03/2013020315_01_1.html