浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

めがね雲

2013-02-16 21:05:50 | 日記
 今日静岡へ行った。ボクは静岡へ行く時、新幹線には乗らない。約1時間をかけて静岡に行く。本を読み、時に窓から空を見た。焼津辺だったか、空に「めがね雲」があった。「めがね雲」という名の雲があるかどうかは知らない。でも、顔のかたちの雲に、黒いレンズのような丸が二つ並んでいた。雲はぽっかりと浮かび、ユーモラスな表情を浮かべていた。

 さて、村上の『ねじまき鳥クロニクル』を読み始めた。読めば読むほど、村上の作品は「遊び」だなと思う。ボクらが生きる現実とはクロスしない。ちょうど中空に浮かぶキャンバスに、抽象画というほどのものではないが、一部具象的、一部抽象的な絵画が描かれているという感じなのだ。

 ボクはやはり村上の作品は、「浅い」と思う。ことばが伝えるだけのことがことばで綴られている(ただし、あたかもそうではないような、つまりことば以上のものを語っているかのような記述がなされる「思わせぶり」なところもある)。よくドストエフスキーの名が、村上作品にでてくるが、ドストエフスキーの作品は重厚だ。使われていることばの背後に、ものすごい重厚な思考が隠されている。だからそれぞれの「場面」に、作者のどのような意図があるのかを深く考えようとする。次々と繰り出されることば、ことばを、ボクたちはなおざりにはできないのだ。

 そしてドストエフスキーの作品のストーリーの展開は、ある意味で「必然的」なのだ。

 しかし、村上のそれは必然性の展開になっていない。たとえば、主人公クミコの兄、綿谷ノボルの著書に「性的経済と排泄的経済」ということばがつかわれているとされ、そしてこれが「その年の流行語になった」とされるのだ。このことばは、ストーリーの展開の必然性の中にあるのか。ひょっとしてこれが後の話の展開に重要なこととして出てくるのかもしれないが、しかしこのダーティなことば。ボクは、村上の品性を疑うのだ。

 また主人公が夢を見る。その夢は、「加納クレタ」というアホみたいな名の女性とのオーラルセックスなのだ。そして主人公は「夢精」する。これがストーリーの展開の中で、必要な物語なのか。

 その「加納クレタ」は「娼婦」であったことも記されている。

 村上は、セックスがとても好きだ。実際のセックスではない。物語の中に、頻繁にセックスに関する物語を入れてくる。ただその記述には、いやらしさはまったくない。その点ではこれ(いやらしさを感じさせない性描写)も一つの才能だろうと思う。 

 ボクは、ふと思うのだ。村上作品の読者は、セックスにはあまり縁のない人なのではないか。村上作品はある種のカタルシス?

 ボクはYさんが良いという『ねじまき鳥クロニクル』を読み続けるが、しかし村上作品より、奥田英朗の作品のほうが良いとボクは思う。

 村上作品は、現実との葛藤を避けているために高評価なのだろうと思う。
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「独裁者」は許される?

2013-02-16 10:18:59 | 日記
 大阪橋下市長については、ここに書くのもいやなのだが、今回は記しておこう。マスメディアは、橋下に迎合的なことばかり報道してきた。たとえば大阪府知事時代、府の財政を好転させたかのような報道がなされたが、実際は赤字を増やしていた。マスメディアが好意的な報道を繰り返す中で、橋下も浮かび上がっていったのであって、橋下なる人物はマスメディアがつくりあげた虚像だとも言える。

 その橋下がでたらめのことをしている。府や市の職員の給与削減に邁進している一方で、身内にはきわめて甘い措置をしている。その端的な例が、めずらしく報道された次の記事だ。


「橋下市長が公務専念せず」、給与返還求め提訴

. 橋下徹大阪市長が日本維新の会代表代行への就任後約1か月間、公務に専念せずに衆院選関連の政治活動をしたのは、市長や職員の政治的中立性確保を求めた市条例に違反するとして、市民グループ「見張り番」のメンバーらが15日、この間の給与82万円を返還するよう橋下市長に求める住民訴訟を大阪地裁に起こした。


 訴状によると、橋下市長は昨年11月17日の代表代行就任から衆院選投票翌日の同12月17日までの31日間のうち26日間、公務日程がなく、全国で遊説などをしていた。原告側は、この間の給与支払いが違法な公金支出にあたるとしている。

 市監査委員は先月、「条例は市長選時の行為を対象としている」として原告側の住民監査請求を却下した。市は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

(2013年2月15日20時25分 読売新聞)


 これについては、より詳しい内容が以下に記されている。

http://www.asiapress.org/apn/archives/2013/02/13130747.php

 「独裁者」は一方で財政緊縮・給与削減をしながら、特定の人びとには多額の金銭を支払う。こういう勝手なことをしている、しかし大衆はその勝手を見ないで、快哉を叫ぶ。ヒトラーの時代もそうだった。
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