今日は朝から冷たい西風が間断なく吹きつけていた。それも唸りをあげながら。夜になって風の音はやんだが、シンシンと冷えてきている。今までにない寒さだ。暖房のない部屋の壁からは、寒気が湧きだしているようだ。
ボクはアルコールをほとんど飲まないが、机に向かうために仕方なく焼酎をお湯割りで飲んでいる。もちろんほとんどがお湯で、ほんの少しが焼酎だ。でもそれを飲むと、体が温かくなる。
借りていた本、『世界文学のフロンティア5 「私の謎」』(岩波書店)所収の、「記憶の場所」という文を読んだ。トニ・モリスンというアメリカの女性作家が講演会で話したもの。彼女は黒人である。1993年にノーベル文学賞を受賞している。
ボクはこの作家についてまったく知らなかった。何かの本で、この文を引用していたので読んでみたくなったのだ。彼女は、「黒人奴隷として始まった自分たちの祖先にこだわり、語られ得なかった過去、忘れられ得ない過去に声を与えることを自らの使命だと」(解説文)している、という。
ボクがやっている歴史研究も、そういう観点を持っている。だから親近感がある。もちろん歴史学であるから、史料なしにはそうした過去に声を与えることはできない。だが、忘れてはならない過去に声を与えることは、とても重要だと思う。その意味では、文学からも学ぶことがあるのではないかと思うのだ。
さてこの講演。含蓄のある文があった。
「事実は人間の知性なしで存在しえますが、真実はそうではありません」(201)そのためには、まずイメージだと、いう。「イメージからテクストへと動く想起です。テクストからイメージではありません」。
ウーム、そうした方法を、ボクは彼女の小説から学ばなければならないと思った。
「作家の記述がいかに「フィクショナル」であったとしても、あるいはどれほど創意の産物であったとしても、想像の行為は記憶と深く結びついている」(206)
いったいどういう小説を書いているのか、これは読んでみなければならない。「ソロモンの歌」、「青い眼が欲しい」、「スーラ」、「ビラヴド(愛されし者)」などがあるという。『白さと想像力』(朝日選書、1994)という評論もあるようだ。
読まなければならない本が無数にある。無知を少しでもなくしていきたい。
ボクはアルコールをほとんど飲まないが、机に向かうために仕方なく焼酎をお湯割りで飲んでいる。もちろんほとんどがお湯で、ほんの少しが焼酎だ。でもそれを飲むと、体が温かくなる。
借りていた本、『世界文学のフロンティア5 「私の謎」』(岩波書店)所収の、「記憶の場所」という文を読んだ。トニ・モリスンというアメリカの女性作家が講演会で話したもの。彼女は黒人である。1993年にノーベル文学賞を受賞している。
ボクはこの作家についてまったく知らなかった。何かの本で、この文を引用していたので読んでみたくなったのだ。彼女は、「黒人奴隷として始まった自分たちの祖先にこだわり、語られ得なかった過去、忘れられ得ない過去に声を与えることを自らの使命だと」(解説文)している、という。
ボクがやっている歴史研究も、そういう観点を持っている。だから親近感がある。もちろん歴史学であるから、史料なしにはそうした過去に声を与えることはできない。だが、忘れてはならない過去に声を与えることは、とても重要だと思う。その意味では、文学からも学ぶことがあるのではないかと思うのだ。
さてこの講演。含蓄のある文があった。
「事実は人間の知性なしで存在しえますが、真実はそうではありません」(201)そのためには、まずイメージだと、いう。「イメージからテクストへと動く想起です。テクストからイメージではありません」。
ウーム、そうした方法を、ボクは彼女の小説から学ばなければならないと思った。
「作家の記述がいかに「フィクショナル」であったとしても、あるいはどれほど創意の産物であったとしても、想像の行為は記憶と深く結びついている」(206)
いったいどういう小説を書いているのか、これは読んでみなければならない。「ソロモンの歌」、「青い眼が欲しい」、「スーラ」、「ビラヴド(愛されし者)」などがあるという。『白さと想像力』(朝日選書、1994)という評論もあるようだ。
読まなければならない本が無数にある。無知を少しでもなくしていきたい。