浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

『世界』

2013-04-08 21:48:49 | 日記
 岩波書店の『世界』5月号が発刊。ボクが高校時代から購読し続ける唯一の雑誌である。今日早速購入して読んでいる。

 現在購読している雑誌は、今までも何回か紹介しているが、『現代思想』。まだ購入していないので、青土社にアクセスしたら、『現代思想』の臨時増刊号、それも『夜と霧』のフランクル特集という。これまた買わなければならない。『現代思想』は、浜松の図書館では駅前図書館にある。書店では谷島屋書店とイトーヨーカドーにある熊沢書店しかおいていない。『世界』も、すべての書店で扱っているわけではない。こういう雑誌は、あまり読まれないのだ。だからこそ、人びとに「真実」が伝わらないのだろう。

 ちなみに『芸術新潮』はほとんどの書店にある。『DAYS JAPAN』は谷島屋だけかな。ボクはこれらは直接購読。それ以外にもマイナーな『POSSE』や『けーし風』(これらは季刊)も購読している。これらも直接。

 『世界』を購入するついでに新書コーナーを見たら、上杉忍氏の『アメリカ黒人の歴史』(中公新書)が新刊として並んでいた。これも買った。このあとがきにもあるように、同名の書(本田創造・著)は岩波書店からもでている(新書)。それも良書である。上杉氏は何をつけ加えたのだろうか。

 「あとがき」を読んでいたら、社会主義体制の崩壊は、「史的唯物論にもとづく「観念的」進歩史観に重大な変更を迫った」とある。そのとおりなのだが、しかし上杉氏もボクも、史的唯物論の時代に歴史を学んだはずだ。それを「「観念的」進歩史観」と書かれると、釈然としないものが残る。

 そして『世界』。今月号で唸ったのは、古関彰一氏の「自民党改憲案の書かれざる一条」。さすがに『新憲法の誕生』の著者らしく、あるいはすこし毛色の変わった憲法研究をされている古関氏ならではの指摘である。自民党改憲案には「開戦規定」がない!その理由を氏は論じているのだが、なるほどと思う。

 すべてを読み終えたわけではないが、今野晴貴「ブラック企業が日本の未来を食いつぶす」は、とくに「就活」をしている人は読むべき。「正社員」ならどこの会社でもいい、というものではない。大庄、ユニクロ、ワタミなどは、典型的なブラック企業。若い「正社員」を酷使して若者の精神を破壊してしまうようだ。同氏は新書でも書いているが、『POSSE』という雑誌もそうした若者向けの労働問題誌である。

 知は力である。知がないと、生き抜いていけない時代になっているのに、知に向き合おうとしないのは、自分の価値を貶めているようなものだ。

 諸君、とらえず『世界』を読もう。図書館ではなく、買うこと。一食ぬいても読む価値がある。ボクは、学生時代そうして本を買ってきた。それはボクだけではない。

 今も、昼食をB級ならぬC級で済ますことによって、かろうじて本代を捻出している学者を、ボクは知っている。その息子たちは栄華を極めた生活をしているというのに・・・・。

 本を読もう。『中日新聞』の4月1日の社説もそれだった。知は力なり、である。
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