来日しているアウンサンスーチーさんのインタビューを聴いていたら、スーチーさんの行動原理は、フランクルの『夜と霧』に記されているものとほぼ同じであった。自らの個人的な生活ではなく、自らに社会や歴史から要請されたことに、絶望することなく全力で取り組む。「やりたいことではなく、すべきことをする」、「困難に遭遇したときには、過去の楽しかったことを思いだす、その思い出が力を与えてくれる」、「過去は、よりよい現在、よりよい未来をつくる力となる」などと応えていた。
さて鈴木正さん。思想史家といえばよいのだろうか、狩野亨吉などの研究家である。年齢をみたら80代半ばである。もうそんな年になったのかと驚いた。我が家にも鈴木さんの本が何冊かある。
ユニークな思想史家であって、まさに「倚りかからない」思想を紡いできた人である。なによりも、思想というものを生活との関連で捉えようとした。
その鈴木さんが、最近書かれたものをまとめたのがこの本である。線こそ引かなかったが、付箋をたくさんつけた。
たとえば、「理論は実践的、実践は理論的に」。「支配者は裏切る」。とくに後者なんか、最後の最後まで一億玉砕を叫んでいたら、ウラでは支配者たちが降伏の裏工作に励んでいたり、また「鬼畜米英」を叫んでいた支配者たちが、アメリカと手を組みアメリカは素晴らしい、などとのたまわる。
庶民は、躍らされる。そうならないようにしようというのが、「戦後」のスタートであったはずだが、今や昔通り、庶民は躍らされるようになってしまった。
日常生活と、最近の政治の動きと、そして思想史とが、うまい具合に調和されながら、筋を通した主張が散りばめられている本が、これだ。
ただし、著者の責任ではないが、校正ミスが多い。これは出版元の同時代社の力量の問題。
さて鈴木正さん。思想史家といえばよいのだろうか、狩野亨吉などの研究家である。年齢をみたら80代半ばである。もうそんな年になったのかと驚いた。我が家にも鈴木さんの本が何冊かある。
ユニークな思想史家であって、まさに「倚りかからない」思想を紡いできた人である。なによりも、思想というものを生活との関連で捉えようとした。
その鈴木さんが、最近書かれたものをまとめたのがこの本である。線こそ引かなかったが、付箋をたくさんつけた。
たとえば、「理論は実践的、実践は理論的に」。「支配者は裏切る」。とくに後者なんか、最後の最後まで一億玉砕を叫んでいたら、ウラでは支配者たちが降伏の裏工作に励んでいたり、また「鬼畜米英」を叫んでいた支配者たちが、アメリカと手を組みアメリカは素晴らしい、などとのたまわる。
庶民は、躍らされる。そうならないようにしようというのが、「戦後」のスタートであったはずだが、今や昔通り、庶民は躍らされるようになってしまった。
日常生活と、最近の政治の動きと、そして思想史とが、うまい具合に調和されながら、筋を通した主張が散りばめられている本が、これだ。
ただし、著者の責任ではないが、校正ミスが多い。これは出版元の同時代社の力量の問題。