浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

フランクル

2013-04-09 20:04:18 | 日記
 知らなかった。あの3・11以降、フランクルの『夜と霧』が多くの人に読まれているのだという。3・11は、人びとに生と死の問題を突きつけた。そこで人びとは、「あの本を読もう!」ということになったのだろう。

 人間が生きる意味とは、何か。こういった根源的な問いに、フランクルは応える。もちろん、具体的なことを示すのではない。一人ひとりの人生は、それこそユニークそのものであるから、こう生きなさい、そこに生きる意味があるのだ、などと言えるものではない。やはり、それぞれが行動しながら、生きながら模索していくものなのだ。

 今日、『現代思想』の臨時増刊号(『imago』と雑誌名はなっている)を購入した。先頭には、フランクル自身の文がいくつか(もちろん翻訳されて)掲載されている。その文を読むだけでも、『夜と霧』で記された内容をより深く理解できるようになると思った。

 それ以降は、日本人の対談(姜尚中と池田香代子)や論攷が並んでいる。対談以外は読んでいないが、いずれも力作である。

 この本も購入して、手元に置いておきたい。定価は1500円。1500円の価値は十二分にある。
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漂流する日本

2013-04-09 07:32:56 | 日記
 政治に対する失望が広がっている。昔、「出たい人より出したい人を」という選挙標語があった。しかし今、政治の世界では「出たい人」ばかり、それも金銭欲と名誉欲にまみれた輩が多い。たとえばこの記事。


維新・大阪府議も還流 税控除狙い約640万円    2013年4月8日 17時19分

 大阪維新の会の宮本一孝大阪府議(42)(門真市選出)が、自民党に所属していた2009~10年に、少なくとも約640万円の寄付金をそれぞれ自身が代表を務める自民党支部と後援会を使って「還流」させ、所得税控除を受けていたことが8日、分かった。

 宮本氏は取材に対し「法律の範囲内の一般的な節税で、不正だったという認識はない。当時、自民党で共有していた方法だ」と釈明した。

 政治家が自らの資金管理団体に直接寄付する場合は「寄付者に特別な利益が及ぶ」として、租税特別措置法により所得税控除が受けられない。政党支部を経由することで規定を免れ、最大で約3割の控除を受けていた。


 大阪府議の報酬は、月額93万円。あと政務調査費が月額59万円。年収200万円以下の人びとが増えている中、高額な報酬をもらって、さらに節税に励む。

 倫理も道徳もない輩が議員への道を歩み、そして当選していく。

 寺島実郎が今月号の『世界』でこういう。

 「政治で飯を食うということは、ものすごい覚悟と責任を伴うということが忘れ去られています。かつてであれば、ある知的レベルの人が「ばかもの」と言えば引っ込んだ連中が、繰り返し鉄面皮にも登場してくる。そのような「政治好き人間」が、風の吹いている方向に向かって動き、その風によって当選するチルドレンが右に左にさまようことで、国民の政治に対する失望感がさらに深まるという悪循環の中に入っている」(161頁)

 国会議員には、年間ひとり二億円の経費がかかる(報酬も含む)といわれる。みずからの定見もなく、議員を続けるためのみに浮浪し続ける姿をいつも見せつけられる。それは地方議員も同様だ。彼らにとって政党政派は関係なく、当選できるならどこでもよいのだ。

 そのような風潮をつくりだしたのが、松下政経塾だ。そこには、思想などと関係なく、にかく政治家になりたいという輩が集まった。そして今彼らが政治家になっている。浜松市長も、静岡市長もその出身だ。また議員でも、同塾出身を必ず前面にだす。

 佐高信は、同塾を「未熟塾」と評している。

 政治家であり続けることだけを目的とした輩が、今の日本の舵取りをしている。思想も定見もない輩だ。

 日本はどこまで漂流を続けるのか。
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