浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】東郷和彦『歴史認識を問い直す』(角川書店 新書 2003年)

2013-04-27 20:56:30 | 日記
 尖閣諸島の問題や竹島の問題は、きわめて冷静に考える必要がある。ネットなどでは無責任な放言が渦巻いているが、軍事衝突を避けるためにどうしたらよいか、冷静にかつ現実的に考えていくことが求められている。

 本書は、もと外交官であった東郷氏が、尖閣諸島、竹島、北方領土、歴史認識問題(河野談話、村山談話)について、もちろん元外交官として、日本政府の立場に立ちながらも、どうしたらよいのかを考えたものである。

 私とは意見が食い違うところもあるが、冷静かつ現実的な問題提起に学ぶところが多かった。

 特に、「右」からの威勢の良い発言が、「我が国の国益を毀損し、場合によっては国の存立を危うくする」は同感である。

 そして「憲法九条という条文一つによって、思考停止に陥り、何も考えなくなるという私たち皆がもっている、耐え難い傾向性に」対する、東郷氏の疑問である。たしかに憲法九条を擁護せよ、というだけで、東アジアの政治状況、日米関係などについてしっかりと検討しようとしないことは、大きな問題ではある。

 もちろん、国際関係から考えて憲法九条がもつ意義は、とてつもなく大きいことは事実である。とくに東アジアや東南アジアとの関係で、かつての侵略国・日本の現在のあり方を示し、日本に対するある種の信用や保障を担保するものとなっていることを忘れてはならない。もしも改憲が行われたら、アジア諸国だけではなく、世界諸国の日本を見る眼は、当然厳しくなる。

 エピローグで東郷氏は、「何よりも必要なことは、日本自身が、他者の痛みを感じ、他者の苦しみを理解する謙虚さのうえに立つことである。謙虚さの狭き門より日本が入るなら、日本の苦しみはかならず理解される。他者の心理を解らずに自己の正義を主張する傲慢は、今の日本にとっては、狂気となる」は、ぜひ安倍首相に聞かせてやりたい言葉である。

 
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ネットチェック

2013-04-27 06:54:12 | 日記
 朝、ニュースなどをチェックする。ボクは時に時事問題などの講演を引き受けるので、きちんと情勢をつかまえておかなければならないからだ。5月中旬には、安倍政権についての講演がある。今、そのための準備をしている。並行して、竹島問題や「帝国意識」、これは7月の研究会。秋から始まる10回の歴史講座、これは未踏の分野なので、その下調べや写真撮影におそらく長時間かかるだろう。6月からの歴史講座は、以前やったもの。ただし、一つは変えて「市町村合併」について話す。これはつくらなければならない。それ以外に、6月下旬の労働組合について。これは現在本を集積中。

 ところで、今日の記事。「学校、暴力はびこる 教諭が「殺すぞ」・グラウンド100周命令 文科省調査」という記事が『朝日新聞』にあった。グラフを見ると確かに昨年は急上昇している。昨年についてはおそらく大阪の高校の事件が公になったところから、全国的な調査をしたからだろう。それにしても、1985年頃から増えてはいる。

 ボクらが子どもの頃、体罰は頻繁にあったし、ボクもひどい体罰を何度も受けている。今日の見出しにあった「グランド100周」も、ボクには体験がある。その頃はどうだったのだろう。あまり頻繁すぎて統計をとっていないのではないかと思う。

 1985年頃からの体罰は、部活動の過熱化が原因であるとボクは考えている。とにかくやり過ぎである。生徒たちのなかにも、部活動をするために学校に来ている者が増えてきた。ハマナ高校なんて、その典型だ。本末転倒とは、このことだ。部活動は、学校教育の主流であってはならない。

 しかし静岡県も部活動を強化するためにだろう、体育科の教員をどんどん増やしてきている。またそのなかで、部活動にのめりこむ教員も増えているのだろう。のめりこまないとやっていられないことも事実だが。

 同時に、部活動の興隆の中で、先輩後輩というタテの関係が強化されていった。ボクが高校生の頃なんて、戦後民主主義の教育がまだ残っていたのだろう、上級生を○○先輩なんて呼ぶことはなかった。○○さん、であった。ところが、ずっと以前から、部活動に厳しいタテ関係やいじめを、ボクは見続けてきた。学校は、タテ関係を育成するところと化していた。


 さて話はがらっと変わって、村上春樹と小澤征爾の対談本、このブログでも紹介した『小澤征爾さんと、音楽について話をする』に出てきたクラシック音楽をCDにまとめたものが発売されたようだ。

 CD「『小澤征爾さんと、音楽について話をする』で聴いたクラシック」(ユニバーサルクラシック)がそれ。

 ボクは、その本を読んでいて、すでに個別にCDをアマゾンにいくつか注文してしまった。一つはバーンスタインのマーラー全集(2090円。これは安い)。バーンスタインのマーラー・交響曲への言及があり、とにかく聴いてみたくなったからだ。ついでにアマゾンのCDを見ていたら、夭折したチェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレのEMIが録音したすべての演奏を17枚のCDにしたものが発売されていたので、これも購入(3678円)。それに小沢のマーラー「巨人」も。

 パソコンのあるところにはスピーカーを備えていて、クラシック音楽は、パソコンを操作するときの必須のアイテムになっている。

 大好き、クラッシック音楽。


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