副題に「資本主義後の世界を想う」となっているが、最初にそうした記述が簡単にあるだけで、本文にはない。その内容も具体的ではなく、まさに「想う」だけ。
本書は、フランス革命、ロシア革命をふり返り、それは今、どう捉えられるかというものである。おそらく著者はマルクス主義者。本書の最後の文、「先人に革命思想を学ぶべきです」に、若かりし頃、革命に夢を抱いた世代の願望が記されている。
ソビエトが崩壊し、この地球上で社会主義がほとんど消え去った現在、マルクスを講じていた学者たちは、多くはその立場を変え、あるいは研究分野を他に変え、マルクスから遠ざかっていった。しかし著者は、マルクスを棄てていない。マルクス主義者として、過去の革命を再考し、そこから何らかのものを引き出そうとしてこの本を記したのだろうが、フランス革命、ロシア革命を検討した部分では具体的な叙述はあったが、それ以外は抽象的な「ことば」で終わっている。たとえば、
「革命という言葉が意味するのは、現に見えているものを変革するということではなく、見えないものをくみ取り、それを変えていくということです」
その前に、「真実を見抜くには、理論的に社会を見通すことが必要になってきます」(246頁)という文もあった。
書名に引きずられて書店で購入した私も、カクメイということばに郷愁を抱く者である。
フランス革命の際のジャコバン独裁、ロシア革命後のスターリン独裁、革命とともに生じる独裁がなぜ生じ、それは避けられなかったのか、など考えさせられる点はあった。トロツキーに言及する中で、「革命は、思いつきで起こせるものではなく、背後に大衆の支持がなければならない」(174頁)という記述に首肯するのだが、それはしかし、途轍もなく大きな難題である。それを解くことができれば、革命は成就するがはずなのだが・・・・・・
読んで損はしないという本。
本書は、フランス革命、ロシア革命をふり返り、それは今、どう捉えられるかというものである。おそらく著者はマルクス主義者。本書の最後の文、「先人に革命思想を学ぶべきです」に、若かりし頃、革命に夢を抱いた世代の願望が記されている。
ソビエトが崩壊し、この地球上で社会主義がほとんど消え去った現在、マルクスを講じていた学者たちは、多くはその立場を変え、あるいは研究分野を他に変え、マルクスから遠ざかっていった。しかし著者は、マルクスを棄てていない。マルクス主義者として、過去の革命を再考し、そこから何らかのものを引き出そうとしてこの本を記したのだろうが、フランス革命、ロシア革命を検討した部分では具体的な叙述はあったが、それ以外は抽象的な「ことば」で終わっている。たとえば、
「革命という言葉が意味するのは、現に見えているものを変革するということではなく、見えないものをくみ取り、それを変えていくということです」
その前に、「真実を見抜くには、理論的に社会を見通すことが必要になってきます」(246頁)という文もあった。
書名に引きずられて書店で購入した私も、カクメイということばに郷愁を抱く者である。
フランス革命の際のジャコバン独裁、ロシア革命後のスターリン独裁、革命とともに生じる独裁がなぜ生じ、それは避けられなかったのか、など考えさせられる点はあった。トロツキーに言及する中で、「革命は、思いつきで起こせるものではなく、背後に大衆の支持がなければならない」(174頁)という記述に首肯するのだが、それはしかし、途轍もなく大きな難題である。それを解くことができれば、革命は成就するがはずなのだが・・・・・・
読んで損はしないという本。