浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

トランプ夫妻の盗用と剽窃

2017-01-22 20:14:42 | その他


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野枝が闘ったもの

2017-01-22 08:47:09 | その他
 今年の歴史講座のテーマのひとつが、「野枝が闘ったもの」である。しかしこれは秋にやるのだが、それを今頃から準備している。

 昨日紹介した黒岩比佐子の本に、こういう記述があった。黒岩は古書が好きで、明治時代を始め各時代の古書を古書店で買いあさる。そのなかに実用雑誌もある。そこに記されていたことをさらっと書いている。

 「良妻賢母」が女性の理想とされるようになったのは、明治の中頃からだという。当時は、女性が結婚せずに独身で一生をすごすことはめったになかった。そして、家庭に入れば妻として夫に仕え、嫁として舅と姑に従い、跡継ぎを生むことが女性の最大の役目とされる。「夫は外で働き、女は家庭を守る」という図式もこのころ生まれた。当時の女性の結婚適齢期は、数えで十七から十九歳。ということは、今の高校生の年齢である。いかに優秀な頭脳や才能を持っていても、それを家庭の外で生かせる機会はわずかだった。
 樋口一葉や津田梅子など一部の例外を除けば、明治の女性たちは歴史の奥のほうに隠れていて、表に出てくることはhとんどない。こうした各種の実用書を読んでいると、良妻賢母という理想に近づこうとして、懸命に生きてきた市井の女性たちの姿が浮かんできて、その声なき声を聴きたくなる。
(「明治の女性は大変だった」162~3頁)

 野枝は、こうした社会と闘ったのだ。


 野枝がめざした社会のあり方は、戦後日本の憲法に埋め込まれた。今それは、自民党という過去の歴史に学ぼうとしない非知性的な集団によって変えられようとしている。

 その憲法に、戦前日本の女性のためにと、24条を入れたのは、ベアテ・シロタ・ゴードンである。父は、ドイツのユダヤ人で、ナチスの迫害のなか、日本に亡命した“リストの再来”といわれたピアニストのレオ・シロタである(『日本を愛したユダヤ人ピアニスト レオ・シロタ』毎日新聞社、2004年)。

 ベアテは少女時代を日本で過ごし、その後両親を日本においてアメリカに留学する。しかし戦争が始まる。1945年12月、ベアテはGHQ民政局の民間スタッフとして来日し、やつれた両親にあうことができた。そしてベアテは日本国憲法の草案づくりに参画する。彼女は、女性の権利を担当した。

 私は、各国の憲法を読みながら、日本の女性が幸せになるには、何が一番大事かを考えた。(中略)男性の後をうつむき加減に歩く女性、親の決めた相手と渋々お見合いをさせられる娘さんの姿が、次々と浮かんで消えた。子供が生まれないというだけで離婚される日本女性。家庭の中では夫の財布を握っているけれど、法律的には、財産権もない日本女性。『女子供』とまとめて呼ばれ、子供と成人男子との中間でしかない日本女性。これをなんとかしなければならない(『1945年のクリスマス』柏書房、1995年)。

 ベアテが日本女性の姿を見て、日本女性の幸せのために日本国憲法に入れた24条。それは、野枝が闘いとろうとしたものではないだろうか。

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