浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

孤独地獄

2020-06-24 21:17:13 | 芥川
 「孤独地獄」を読む。

 地獄の中に「孤独地獄」というものがあるそうな。地獄は別の世界にあるのだが、この「孤独地獄」は、

・・・何処へでも忽然として現れる。云わば目前の境界が、すぐそのまま、地獄の苦艱を現前するのである。

 「孤独地獄」は誰にでも経験するものではないかと思う。しかしそれが現前するのは思春期のはじめである。強烈な孤独を感じ、それに苦しめられるという経験は、私にはあった。だがいわば「孤独地獄」を乗りこえてからは、そのような孤独に苦しむことはなくなった。

 芥川の「孤独地獄」には、それに陥った吉原の花魁に出入りする坊主、年齢は中年から老年に入る当たりだろうか。こうある。
 
 自分は二三年前から、この地獄へ墜ちた。一切のことが少しも永続した興味を与えない。だから何時でも一つの境界から一つの境界を追って生きている。勿論それでも地獄は逃れられない。そうかといって境界を変えずにいれば猶、苦しい思をする。そこでやはり転々としてその日その日の苦しみを忘れるような生活をしてゆく。しかし、それもしまいには苦しくなるとすれば、死んでしまうよりも外はない。昔は苦しみながらも、死ぬのは嫌だった。今では…

 坊主の身でありながら花魁のもとに通うのは、「孤独地獄」から逃れるためであったのか。

 しかしこの坊主も、仏道に精進すべきとしかいいようがない。坊主は仏道に生きる者として、「孤独地獄」に入り込むことはあってはならないのではないか。

 「鼻」の禅智内供といい、この坊主(名は禅超)といい、仏の道に生きる者として、情けない。いずれも禅宗系の坊主のようだ。

 芥川は、禅宗の坊主によい思いを持っていなかったのではないか。

 私も禅宗である曹洞宗の坊主には良い思いをもたない。この宗派の坊主は、カネに執着する。仏の道に仕える者として、邪道を生きている。


 
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首相記者会見は「慰労会」!

2020-06-24 20:48:02 | メディア
 メディア関係者は、権力者とお友だちなんですよ。だから安倍番は、ひたすら安倍晋三にくっついて、安倍晋三の気分を害しないようにするのが仕事。

 立岩さんの指摘は正しい。しかし改善される見通しはまったくない。安倍晋三=自民党・公明党政権を支えているのが、日本のメディアなのである。

 実態は総理の慰労会 “国民だまし”に加担するメディアの罪
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自尊心?

2020-06-24 13:55:53 | 芥川
 「鼻」読了。先ず思ったのが、ムダのないきれのよい素晴らしい文であるという感想。

 内供(ないぐ)はみずからの長い鼻をたいそう気にしていた。他の人には見られないほどの長い鼻を持っていることに自尊心が傷つけられ苦しんでいた。

 弟子が聞いてきた鼻を短くする方法の話を聞いて、やってみた。すると鼻は短くなり、唇の上におさまるようになった。すると今度は短くなったことにより、笑われたり弟子にからかわれたりするようになった。

 芥川は、その理由をこう書いている。

  人間の心には互に矛盾した二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬけることが出来ると、今度はこっちでなんとなく物足りないような心もちがする。少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥れて見たいような気にさえなる。そうして何時の間にか、消極的ではあるが、或敵意をその人に対して抱くような事になる。ーー内供が、理由を知らないながらも、何となく不快に思ったのは、池の尾の僧俗の態度に、この傍観者の利己主義をそれとなく感づいたからに外ならない。

 「自尊心」は「自」をつかうが、しかしそれは他者との関係の中でこその「自尊心」なのである。この場合、他者の目がなければ「自尊心」は傷つくことはない。他者の目を己の眼として見るから「自尊心」は傷つくのである。
 
 内供は「禅智内供」であるから禅宗の僧であろうか。禅をひたすら行うことによって、他者の目を滅却することこそが僧としてすべきことではなかったか。

 内供の鼻はもとのように長くなり、彼は心の安定を獲得する。

 みずからを飾ることなくそのまま提示して、他者の目をみずからの心に取り込まないことが安心立命の途であると思う。

 禅智内供は、仏道にもっと精進しなければならない。
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羅生門

2020-06-24 10:45:22 | 芥川
 芥川龍之介全集第一巻所収。ずっと昔読んだことがある。

 有名な小説だから、あらすじは書くに及ぶまい。短い話だ。主人公は、一人の下人である。

 この小説を読んでいろいろな解釈(ニヒリズム、エゴイズム、矛盾的存在)を試みているようだが、私にはそんなことはどうでもよいと思った。

 私には生きるということの必然性を記したものだと思えた。
 この世に人間として生まれ落ちた瞬間から、人間は生命がある限り生きなければならない。生きていくための必要条件、たとえば呼吸する、食べる、飲む、排泄する・・・は、生命ある限り続けていかなければならない。

 この下人も、そして死人の髪を抜いていた老婆も、そうした人間の必然性のままに行動しているとしか思えないのである。その必然性が目の前に提供されないとき、人間はどうにかして生命を維持すべく行動する。そこには倫理性はない。

 食べるものも、飲むものも、あらゆるものを所有できる者たちが倫理性をものともせずに生きている世界、とりわけ政治の中のそうした人間どもをみていると、人間のひとりとして描かれた下人について議論する必要は認めない。

 人間は、死が訪れるまで、ひたすら生きることに執着するのである。
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政治(自民党)の世界はカネまみれ

2020-06-24 09:31:45 | 政治

「初当選時も現金配った」 元秘書証言「せんべい箱の下にお金」

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税金の使途

2020-06-24 09:19:35 | 政治
 税金からの政党交付金、河井夫妻への1億5千万円、そのうち1億2千万円が政党交付金から出された。

 これに対する自民党・二階の説明が変化。

1億5千万円の使途「党は承知していない」 河井夫妻側への提供金で二階幹事長 従来の説明と食い違い

 「アベノマスク」では福島県の公明党関係者の実績も何もない業者が大金を手にしている。税金は、自民党・公明党によって山分けされているのだ。
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