浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「忠義」

2020-06-28 21:10:15 | 芥川
 まったく過不足のない完璧な短編である。筋立てもきっちりして、最初から緊迫感を持たせてじりじりと読ませていく。読む者をかくまでに緊張させて読ませるという技術というか文の運びというか、さすがに文豪・芥川龍之介である。

 「忠義」というとき、主人の「家」のために尽くすのか、それとも主人たる「主」のために尽くすのか。この小説では、前者が勝利する。

 近世幕藩体制は、暴力によって打ち立てられ、制度の背後にはつねに暴力が隠されていて、時にそれが暴発するのである。そういう体制であるが故にこそ、秩序というものが重視され、秩序は個人ではなく、集団、すなわち「家」に依拠するのである。
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東京都のCOVID-19

2020-06-28 10:07:03 | 社会
 東京都のCOVID-19 感染者が突出している。また毎日毎日50人以上の新たな感染者が生まれている。東京都がHPで公表している感染者の情報は、まったく役に立たない。COVID-19 を抑えようとしているとは、とても思えない。

 昨日の『東京新聞』、「ネットで何が」を読むと、東京に対するCOVID-19 感染への攻撃が多いということだが、やむを得ないことだと思わざるをえない。
 東京都知事は、都民の健康よりもオリンピックや自らの再選のためにすべての施策を従属させているため、有効な対策をまったく打っていない。COVID-19 に関しては、「無法地帯」であり、その責任は都知事が負うべきものと思う。

 私は東京には行かないし、東京からは静岡県に来ないで欲しいと思う。今日も60人の新たな感染が判明し、そのうち39名の感染経路が不明だという。

 東京は、怖い!

 東京都(知事)は、COVID-19 対策をきちんと行うべきである。
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他者との関係で優位を求める

2020-06-28 10:07:03 | 芥川
 「煙管」。

 加賀百万石のお殿様、前田斉広は、金無垢の煙管を持っていた。斉広は、それを加賀の豊かさのシンボルとしてあちこちで見せびらかしていた。

 ある時、茶坊主仲間でその煙管が話題になった。坊主の一人・宗俊がオレが拝領してみせると宣言し、実際斉広からそれをせしめたのだ。別にそれで煙草を吸いたいのではない、茶坊主の中で優越感を覚えたいからだ。
 斉広は、それを宗俊に与えることで、そういう贅沢なものでも与えることができるおのれの広量さを示したかったからでもあり、そういうものをさっと与えられる加賀の豊かさを示したかったのだ。

 斉広は次に銀の煙管にした。すると今まで遠慮していた坊主等が銀の煙管を所望することとなり、次々と与えていった。

 斉広はそのあと、再び金無垢の煙管にした。しかし茶坊主たちはそれを欲しがらなかった。真鍮製だと思い込んだからだ。

 茶坊主のおねだりはなくなった。それと共に、斉広は金無垢の煙管で煙雲をくゆらすことに興味をなくしていく。

 斉広も、茶坊主たちも、他者との関係のなかでおのれの優位を確認したい、ただそれだけのことだったのだ。

 しかし、わたしの周囲にも、優越感を覚えるべく、自慢話をしたりする者がいる。ほとんどは男である。男は人間関係の中でおのれの優位を示さないと生きていけないのだろうか。おのれ自身を持たない憐れな男たちではある。


 
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悪魔がもってきた煙草

2020-06-28 10:07:03 | 芥川
 「煙草と悪魔」。

 愛煙家はCOVID-19 のウィルスには弱いそうだ。重篤化する人に愛煙家が多いと聞く。私は煙草を吸わないし(といっても20代の頃は少しやった経験がある)、紫煙は体に毒だ。

 なるほど煙草を日本列島にもってきたのが悪魔だという説には一理あるように思う。

 さて悪魔は、キリスト教の日本伝来の頃に来たそうだ。悪魔は耳の穴に種を隠し持ってきて、畑を借りで栽培したという。悪魔は悪を行おうとして煙草を栽培したのである。

 丁度水蒸気の多い春の始で、たなびいた霞の底からは、遠くの寺の鐘が、ぼうんと、眠むそうに、響いて来る、その鐘の音が、如何にも又のどかで、聞きなれた西洋の寺の鐘のように、いや冴えて、かんと脳天に響く所がない。ーが、こう云う太平な風物の中にいたのでは、さぞ悪魔も、気が楽だろうと思うと、決してそうではない。
 彼は、一度この梵鐘の音を聞くと、聖保羅の寺の鐘を聞いたよりも、一層、不快そうに、顔をしかめて、むしょうに畑を打ち始めた。何故かと云うと、こののんびりした鐘の音を聞いて、この曖曖たる日光に浴していると、不思議に、心がゆるんで来る。善をしようという気にもならないと同時に、悪を行おうという気にもならずにしまう。これでは、折角、海を渡って、日本人を誘惑に来た甲斐がない。


 梵鐘の音はこころを落ち着かせるから好きだが、この音が善行も悪行も抑えてしまうという指摘に、なぜか合点するのだが・・・・

 ある日牛商人が煙草の花を見て、花の名を尋ねた。しかし悪魔はこれには答えず、もし花の名を言い当てたらこの花も葉もすべてあげる、もし答えられなかったら牛商人の体と魂をもらうという賭けを提案した。

 もちろん牛商人は名を知らない、そこである夜、牛を連れてすでに寝ている悪魔の所に行き、牛に畑を荒らさせた。すると悪魔は、「この畜生、何だって、己の煙草畑を荒らすのだ」と叫んだのだ。

 牛商人は、悪魔に勝ったのである。

 これだけの話である。しかし日本列島に、その後喫煙の習慣が広まり、住人の健康を害することになった。悪魔は、負けたのではなく、勝ったのだろう。
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さすが

2020-06-28 10:07:03 | 芥川
 「尾形了齋覚え書」。

 尾形了齋という医師が、一件について書状をしたためたのであるが、その書状がまことに見事で、芥川龍之介の筆力にただただ感嘆するのである。

 篠という母、亭主に先立たれた後にクリスチャンとなった。娘の里が「傷寒」の病となり、了齋に往診を求めてきた。しかし了齋は「伴天連」の検診はできないと再三拒否した。もし診てもらいたければ「伴天連」をやめることを求めた。篠は、ある日、「伴天連」をやめるから診て欲しいというので往診したのだが、病は重く回復は望めないと語った。ほどなくして里の死と篠の発狂が伝えられたのである。
 その翌日、了齋は往診のため篠の家の前を通ったとき、村人たちが集まっていて通過することもかなわない。馬上より篠の家を覗くと、そこには紅毛人らが「ハレルヤ」などを唱えていた。驚くことに、篠は正気を取り戻し、里は蘇生し、血色もよかった。
 了齋は、「傷寒」の病により死去した者の「還魂」の例はなく、その顛末を書状に記したのであった。

 短い文の中に、近世初期におけるキリスト者の位置、人々のキリスト教への思い、母篠と了齋との緊迫した情景などが凝縮して書かれているのである。思うに、芥川は何度も何度も推敲し、もうこれ以上ないという高みまでみずからの作品を押し上げていったのだろう。まったく話の展開に、過不足がないのである。こういう凝縮した文を書く人には長文の小説は難しいのではないかと思ってしまう。

 次の「運」という小説は、とりたてて書くことはない。その後の「道祖問答」は、阿闍梨と「道祖神」の翁との問答である。阿闍梨は、仏教の教えを主観的に解釈し、自分なりの仏の道に生きている者のことが記されている。
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偽説の援用

2020-06-28 09:41:53 | 政治
 自民党は科学的な知見をきちんと調べもしないで公表するクズ政党だ。

「ダーウィンの進化論」に関して流布する言説についての声明
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読むべき論考

2020-06-28 09:33:49 | 政治
河井前法相夫妻は“アベノシッポ”、切って終わりなら「検察の独立」が泣く

 私は予測する、「検察の独立」は涙で消えてしまうだろう。
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選挙も利権

2020-06-28 09:24:57 | 政治
 そうか自民党の議員は、選挙の度にカネを撒いているのか。金子恵美も、豊田真由子もそれを証言している。

「先輩議員に“ちゃんと地元でお金を配ってるの?”と叱られた」豊田真由子・元衆議院議員が告白

 となると、やっぱり選挙も利権なんだ。

 山梨県は票がカネで売買されるときいたことがあるが、全国で行われているのかもしれない。私はカネをもらったことはないが・・・
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「手巾」

2020-06-28 07:48:02 | 芥川
 「手巾」の主人公は大学教授である。彼はドラマツルギーの本を読んでいた。別に演劇学を専攻しているのではない。

 そこへ女性が訪ねてきた。教授の教え子の母親だ。その教え子が病を得て入院していた。教授も見舞いに行ったことがある。

 その教え子が亡くなったことを母親は知らせに来たのである。

 教授は、その母親の態度に疑惑を持つ。自分の子が亡くなったのに、悲しみを見せず、時に笑みをも見せるその姿。

 教授は話している際、落とし物を拾い上げようとかがんだとき、「手巾」を握りしめている母親の手を見た。

 先生は、婦人の手が、はげしく、ふるえているのに気がついた。ふるえながら、それが感情の激動を強いて抑えようとするせいか、膝の上の手巾を、両手で裂かないばかりに緊く、握っているのに気がついた。(中略)ー婦人は、顔でこそ笑っていたが、実はさっきから、全身で泣いていたのである。


 教授は、それで合点がいったのであるが、婦人が帰った後、ドラマツルギーの本をまた読みはじめた。そこにはこう記されてあった。

 私の若い時分、人はハイベルク夫人の、多分巴里から出たものらしい、手巾のことを話した。それは、顔は微笑していながら、手は手巾を二つに裂くと云う、二重の演技であった。それを我等は今、臭味と名づける。・・・

 果たして教授を訪ねてきた婦人は、全身で泣いていたのか、それとも「臭味」であったのか。教授は、きっとどう判断して良いのか悩んだことだろう。


 
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東京都の感染対策

2020-06-28 07:48:02 | 政治
 日本政府のCOVID-19 の感染対策もザルだが、東京都も同様。COVID-19 対策は、まずオリンピックのために軽視され、今度は小池某の都知事選の前に足踏みをさせられている。

 それでもよい、という東京都民が多いのだから、もう何を言ってもムダというものだ。

都の感染者57人 宣言解除後で最多、6割が経路不明も「第2波ではない」
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「日本文化」を大切にしないネトウヨ政権

2020-06-28 07:43:41 | 政治
 ネトウヨ政権たる安倍晋三=自民党・公明党政権は、「日本の伝統」とか、「日本」を語ることは好きであるが、しかしカネは出さない。なぜか、利権ではないからだ。安倍晋三=自民党・公明党政権は、利権につながらないところにはカネを出さない。ほらっ、「アベノマスク」。福島県の公明党関係者に発注してカネ儲けさせたりはしているでしょ。

 だからこういう事態を招くのだ。

日本文化の危機、三味線の最大手「東京和楽器」が廃業へ 需要激減にコロナが追い打ち
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経産省の犯罪

2020-06-28 07:28:45 | 政治
 経産省の官僚が安倍晋三=自民党・公明党政権とべったりくっついて省益を貪っている現状はメディアに報じられている。

 しかしもっと重要なのは、経産省は日本の産業をつぶしてきたことである。今日本の産業と云えば、自動車しかない。
 経産省は、自動車と原発産業に力を入れ、たとえば液晶や太陽光パネルなど、新しい産業や自動車、原発以外は見捨ててきた。原発は東芝の凋落に見られるように惨憺たる状況だ。家電も今や縮小してきている。
 その結果、競争力のある産業はただひとつ自動車だけとなった。しかし他国では電気自動車へと向いているのに、日本の自動車産業は出遅れている。

 経産省が電通とともに国家財政を食い潰している間に、日本の産業の未来は暗くなっている。

 まずそのしわ寄せは、非正規労働者がかぶっている。いずれは正社員にもそれが波及するだろう。そうなると、日本の国際競争力ある産業は壊滅状態となる。

 
自動車業界、コロナ禍で続く「派遣切り」の実態 減産長期化で雇用の維持ができない下請けも
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「こんな都知事」

2020-06-28 07:17:55 | 政治
 東京都知事選には関心もない。長い間、東京都民は「こんな知事」を選んできた。「こんな知事」に都政を任せてきたのだから、東京都民はその結果を負い続けなければならない。今回の選挙も、テレビ出場回数が多い小池某が当選するだろう。

 「テレビによく出る人」こそが勝者である。東京も、大阪もである。

小池都知事“やってるフリ”が招いた「感染爆発 重大局面」


 感染対策の「フリ」だけしているから、コロナに対する恐怖は終わらない。

 都外の人々は、したがって東京には行かない。東京など関東圏の人が、周辺にウィルスを持ってきている。
 東京での感染対策の充実を願うが、私には都知事選の選挙権はない。
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