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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

次はTPP

2013-11-10 19:53:20 | 政治
 今日、掛川で「平和憲法を語るー「壊憲」にストップを!」というテーマで1時間半話した。大変熱心に聴いてくれたので感謝感謝である。

 最初に、安倍政権が進めようとしている「法の下克上」による平和憲法を実質的に掘り崩そうとしている動き、NSC創設法、秘密保全法、「国家安全保障法」などについて話し、条文壊憲ではなく、違憲の法を制定することによる実質的壊憲への動きをまず話した。そして、日本国憲法に規定されている平和主義が、20世紀の世界における平和希求の帰結であること、さらに前文の平和的生存権は、国際社会で大いに注目されていることを指摘した。

 しかし、その平和憲法は他方で、昭和天皇をはじめとした米軍による沖縄占領の継続(「天皇メッセージ」)、さらに「独立」後も米軍を日本に駐留させるように昭和天皇が画策したことなどを背景に成立したものであることを指摘。

 そしてなぜ日本がアメリカと共に、世界各地で共同作戦を展開しようと狙っているのかを、財界や米国の思惑を交えて説明。

 その後、自民党の憲法草案が現在の支配層の願望が盛り込まれていること、その問題性について話した。

 最後は、今年没後100年となる田中正造が、非戦論を掛川で話したことに触れ、日本国憲法の平和主義は近代日本における平和希求の賜物であることを紹介して話しを終えた。

 次は、14日に行われるTPPの講演の準備である。

 今日いただいた講演料をあてにして、アジア太平洋資料センター(PARC)が制作した『誰のためのTPP?』を注文していたが、今日それが届けられた。

 マスメディアが、正確な情報を流さないので、社会で生起している様々な事象がどういう問題を抱えているのかを調べるため、たいへんな苦労が求められる。しかしここでひるんではならない。

 そういえば今日の『中日新聞』社説は、TPPについてきちんと書いていた。これもこのブログで紹介しておこう。


週のはじめに考える TPPが脅かすもの   2013年11月10日

 TPP(環太平洋連携協定)交渉が大詰めを迎えます。遅れて参加した日本は、事前協議などで米国への譲歩を繰り返しています。これが国益なのか。

 「何が秘密なのかも秘密」-。安倍政権が成立を目指す特定秘密保護法案に国民の不安が高まっていますが、TPPも徹底した秘密主義をとっています。内容が漏れれば、参加十二カ国の妥結に影響がでるからという。守秘義務を四年間も強いる異常さです。

 国民が知らない間に食や農業、医療や保険、教育、雇用、文化まで生活の基盤が根底から変わることが決まっていたら大変です。

◆守れなければ席を立つ

 懸念がなまじ誇張でないのは、交渉参加を認めてもらう段階から繰り返されてきた日本政府の譲歩ぶりからです。

 欧州が輸入禁止している米国産牛肉の安全基準を緩和したり、かんぽ生命ががん保険に参入せず、そればかりか日本全国の郵便局で米保険会社のがん保険販売を請け負ったり、米国の意向を忖度(そんたく)して軽自動車の増税方針を日本側が先回りして示す-。「入り口段階」で、こんな具合でしたから、本交渉では「さらに…」と不安が募るのは当然です。

 すでに与党内からは「聖域」として関税を維持するとしてきた重要五項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖など)すべてを守ることはできないとの声が出ている。「守るべき国益を追求する」「守れなければ席を立ってくる」と強弁してきたわけですから、妥結後に「開けてびっくり」の内容となっていることは許されるはずがありません。

 本来、国の制度とか政策は、国民の命や健康、暮らしを守り、安全・安心な社会を形成するためにあります。しかし、TPPは関税引き下げなど貿易ルールだけでなく、暮らしを守ってきた制度も対象とし、いわば国のかたちの変更につながりかねません。

◆命か企業利益かの選択

 極端に市場主義が浸透した米国、とりわけ富の拡大を目指す「1%の勢力」にとって、各国の制度は邪魔なものです。そこで米企業や米政府が使うのが「競争条件を対等にせよ」という決まり文句です。いかにも正論に聞こえる「対等な競争条件」を錦の御旗に、邪魔なルールや制度を徹底的に壊すか、都合よく変えさせる。

 「TPPの本質は市場の強奪です。今の流れでは日本が大切にしてきた伝統や支え合い社会が崩壊する。『開国』が『壊国』になる」と東京大学大学院の鈴木宣弘教授(農業経済学)は言います。

 米国農産物の輸出拡大に日本の厳しい食品安全基準は邪魔、学校給食の地産地消奨励策も参入障壁だから変えさせよう、という具合に。これは、国民の命か企業利益かを選択する問題です。

 ところが安倍晋三首相は「世界で一番、企業が活動しやすい国を目指す」という。規制を緩め、税制を優遇し、外国企業でも思う存分、稼ぎやすいように配慮する。それは米国の狙いとピタリ符合してしまいます。

 「(株)貧困大国アメリカ」(岩波新書)など米国ルポの著作が多いジャーナリストの堤未果さんは、TPPに傾斜する日本に強い危機感を抱いています。中枢同時テロ後に米国で成立した「愛国者法」に似て言論統制法ともいえる特定秘密保護法案や企業利益を最優先するなど「米国をなぞるような政策が進行している」と見ます。

 米国で何が起こっているかといえば、刑務所や自治体、立法府まで企業に買われる。巨大化した多国籍企業は度を越した献金とロビー活動で政治と一体化し、企業寄りの法改正で「障害」を取り除いていく。企業の論理の前には国民の主権すらないがしろにされる社会です。

 堤さんは「もはや企業を無理やり縛ることはできません。米国では遺伝子組み換えの表示義務がないので不可能ですが、日本は組み換えでない食品を選ぶことができるよう(国民主権の)『選択肢』を残す必要がある」と訴えます。

 安倍首相は、TPPについて貿易自由化交渉と同時に重要な「安保防衛上の枠組み」との考えを示しています。米国や豪州などと結束し、中国などをけん制する意味合いなのでしょう。

 しかし、TPPが「仲間」と「仲間外れ」をつくるなら、第二次大戦につながったブロック経済と同じではないか。ガット(関税貿易一般協定)体制以前に「先祖返り」しかねません。

◆国民の幸せこそが国益

 国益を守るといった時、真っ先に考えるべきは、国民の幸せであってほしい。国民生活を大きく変容させかねない米国への配慮よりも、です。首相の考えと、国民の多くが抱く願いとのズレを感じずにはいられません。
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うかうかしていたら・・・

2013-11-09 19:55:09 | 政治
 今までもいろいろ研究したりしてきたので、どういうことを行えば、一定のまとまりある報告ができるかは体得している。しかし、そのためには、資料と時間が必要だ。資料をあつめ、関連文献を読み込み、それらをもとに考え、あらたな論点を提示する。

 テーマをもって研究していく際、やむなく他のことはあまり眼に入らないように、そのテーマに打ち込む。そしてそれが終わり、あたりを見回してみると、いろいろな変化が起きているのを発見する。

 6日で終わった10回の歴史講座。それが終わってすぐに、明日話さなければならない憲法問題について、最近の資料を集め、買っておいた憲法関連の文献を読みあさった。そこで発見したこと、それは日本国憲法が、法の下克上によって、まさに破壊されようとしている現実であった。

 憲法の条文を変えることを安倍・自民党は狙っていたのであろうが、とりあえず憲法原則(憲法秩序)と違背する諸法を、多数を獲得している国会を通し成立させることで、実質的な「壊憲」に持ち込もうというとしていることがわかってきた。

 しばらく憲法問題から遠ざかっていたことが悔やまれる。

 自分自身の時間には、限りがある。自分の時間をきちんと振り分けながらことにあたっているが、社会で問題になっていることすべてを攻究していくことは物理的に不可能だ。

 人々も、その生活時間の中で、憲法問題や、TPP問題などを自ら学んでいくことはなかなか難しい。しかし人々は何かおかしい方向に動きつつあることを肌で感じているようなのだ。そしてそれらの問題について、わかりやすく説明してと欲しいという要請が、ボクに寄せられる。

 できるだけ、そういう要請に応えなければならない。

 今、日本現代史の、大きな分岐点にあると実感する。明らかに「悪」と判断できる方向に、日本を向かわせることはできない。できる限りのことをする。憲法が実質的に危機にあることを知るが故にである。

 しかし危機にあることを認識することさえ、ぼーっとしていては認識できないのだ。忙しさにかまけて、学ぶことを放棄することは許されない。
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秘密保護法のコンメンタール

2013-11-09 19:36:58 | 政治
 憲法を実質的に破壊する法案の一つ、秘密保護法案の詳細な批判文書が、このほどまとめられた。自由法曹団の弁護士がまとめたものだ。長大な文書であるが、pdfファイルでダウンロードできる。

http://www.jlaf.jp/html/menu2/2013/20131105112108_5.pdf
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自民党政府は、海兵隊が好き!

2013-11-08 23:20:02 | 政治
 『沖縄タイムス』が有益な情報を流している。海兵隊の沖縄駐留は、日本の自民党政権が求めていた。しかしこの情報は、別に新鮮ではない。自民党が、ひょっとしたら昭和天皇の遺訓を体して(?)、沖縄の米軍基地を維持したがっていたことは、すでに判明していることで、それがオーストラリアの公文書で明確になったということだ。


日本、海兵隊引き留め 1972年豪公文書で判明

 11月8日 09時33分

 沖縄の本土復帰直後の1972年10月、米国防総省が沖縄を含む海兵隊の太平洋地域からの撤退を検討していたことが、豪外務省の公文書で7日までに明らかになった。米国は当時、泥沼化するベトナム戦争への巨額戦費の支出で財政負担に苦しみ、基地機能の見直しを進めていた。海兵隊撤退論もその一環で検討されたものだったが、日本政府が海兵隊の駐留維持を米側に求めたことから、在沖米軍基地を大幅に縮小する機会は失われ、その後の防衛の役割分担を迫られる契機ともなった。(知念清張)

 米国防総省の海兵隊撤退検討案は、米国務省のアジア担当者から同盟国である豪国の駐米大使館に伝えられていた。沖縄国際大の野添文彬講師(国際政治史)が、当時の経緯を記した豪外務省の公文書を現地で発見、分析した。

 72年10月9日付の駐米豪大使館から豪外務省への秘密扱いの公電によると、米国務省政治軍事問題局のロバート・マクロム氏(アジア担当)が、国防総省の分析専門家らが海兵隊組織の検討を行ったことを説明。「沖縄やハワイなど、すべての太平洋地域の海兵隊をカリフォルニア州サンディエゴ(キャンプ・ペンデルトン)に統合することが、かなり安上がりで、より効率的」との結論を伝えていた。

 73年5月にはマクロム氏はハワイや、ミクロネシア連邦などに適当な施設が見つからないため沖縄の海兵隊を韓国に移転させる構想を説明している。

 さらに翌6月には、別の担当者からの「米国政府内で、海兵隊移転についての真剣な検討が続けられている」という報告が打電されていた。

 日本国内では7月、日米安全保障条約運用協議会で、防衛庁(当時)の久保卓也防衛局長が「アジアにおける機動戦力の必要性を踏まえると、米国の海兵隊は維持されるべきだ」と主張。

 当初、海兵隊の日本への駐留の有効性に疑問を抱いていたシュースミス駐日首席公使は11月、外務官僚との会談を踏まえ、スナイダー米国務次官補に対し「日本側の海兵隊重視は日本に対する交渉上のてこになる」と進言。在沖米軍基地の大幅縮小を訴えていた国務省も日本政府が在沖海兵隊を必要とすることに乗じて日本側の財政支援を引き出し駐留維持を志向するようになる。

「日本政府が障害に」

 我部政明琉球大教授(国際政治)の話 軍の動きが公文書で出てくることは極めて少ない。ベトナム戦争が休戦に向かい、アジア全体が緊張緩和に向かう中で在沖海兵隊の撤退が、米国で真剣に議論されていた可能性がある。沖縄の米軍基地の整理縮小に日本政府が大きな障害となってきたことがあらためて分かる。
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旗幟鮮明

2013-11-08 16:27:29 | 政治
 今日の『中日新聞』は、秘密保護法反対の論陣をはっている。これほど旗幟鮮明だと、気持ちがよい

 社説では、明確に廃案を訴える。当然と言えば当然である。まさに報道機関の機能を奪い去るという代物であるし、同時に日本国憲法を蚕食する癌のようなものだ。『中日新聞』こそがあるべき姿である。

特定秘密保護法案 議員の良識で廃案へ

2013年11月8日
 特定秘密保護法案が衆院で審議入りした。国家が国民の思想の領域まで踏み込む恐れがある。国会議員は今こそ良識を発揮して、廃案にしてほしい。

 潜水艦の潜水可能な深度、テロ情報収集のための情報源、公電に使われる暗号…。自民党はホームページで、秘密保護法案により漏えいを禁じる特定秘密の具体例を挙げている。

 国家が秘密にしたい事例として、納得する人も多いだろう。だが、秘密に該当しない情報さえ、恣意(しい)的に封殺しうるのが、この法案である。行政機関の「長」が「秘密」というワッペンを貼れば、国民から秘匿できるのだ。

◆35センチの壁も「防衛秘」

 特定秘密の指定の際に、有識者が統一基準を示すというが、あくまで基準にすぎず、個別の情報を調べるわけではない。国会や司法のチェック機能も働かない。これは致命的な欠陥だ。

 特定秘密は防衛省や外務省、警察庁などが扱い、約四十万件が指定されるとみられる。だが、秘密とするには、実質的に秘密に値する「実質秘」でなければならない。最高裁判例が示している。

 この膨大な秘密の山は、本当に「実質秘」だけで築かれているだろうか。ある情報開示訴訟で国側が敗訴したケースが、その欺瞞(ぎまん)性を象徴している。

 海上自衛隊が那覇基地の建物を「防衛秘」としたことに、最高裁が二〇〇一年、秘匿の必要性を認めなかった。国側は「爆撃機の攻撃力を計算して、耐えうる壁の厚さを設計した」などと、もっともらしい主張をしていた。だが、壁の厚さは、たったの三十五センチだった-。

 要するに行政機関は、隠したいものは何でも隠すことができる。いったん「特定秘密」に指定されてしまうと、半永久的に秘匿されうる。問題点は明らかだ。

◆崖に立つ報道の自由

 法案には防衛や外交の分野のみならず、「特定有害活動」「テロ活動」も加わっている。

 特定有害活動はスパイ活動を指すが、この項目には「その他の活動」という言葉もさりげなく挿入している。テロは人を殺傷したり、施設を破壊する行為だが、条文を点検すると、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要」する活動も含まれると解される。

 主義主張を強要する活動が「テロ」とするなら、思想の領域まで踏み込む発想だ。原発をテロ対象とすれば、反原発を訴える市民活動も含まれてしまう。

 秘密を漏らした側にも、聞いた側にも最高十年の懲役刑が科される重罰規定がある。とくに「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」を処罰する点は問題が大きい。管理の侵害とは何か、全く判然としていないからだ。

 しかも、既遂や未遂はむろん、共謀、教唆、扇動も罰せられる。これは秘密に接近しようとする行為に対する事前処罰であろう。刑法の共謀は犯罪の実行行為を必要とするが、この法案はその前段階である「話し合い」を共謀、「呼び掛け」を扇動とみなしうる。

 刑罰は強い拘束力をもつため、あらかじめ罪となる行為を明示せねばならない。だが、この法案では処罰範囲が、どこまで広がるかわからない。近代刑法の原則から逸脱する懸念が強い。

 報道の自由について「出版又(また)は報道の業務に従事する者」と限定しているのも、大いに疑問だ。ネット配信する市民ジャーナリストらを排除している。かつ「著しく不当な方法」による取材は、取り締まりの対象だ。

 不当かどうかの判断は、捜査当局が行う。ここにも恣意性が働く。裁判で無罪となるまで、記者らは長期間、被告人の立場に置かれてしまう。強い危惧を覚える。

 ドイツではむしろ「報道の自由強化法」が昨年にできた。秘密文書に基づいた雑誌報道に対し、編集部などが家宅捜索を受けた。これを憲法裁判所が違法としたからだ。今やジャーナリストは漏えい罪の対象外である。

 民主党は情報公開法の改正案を出しているが、秘密保護法案は情報へのアクセスを拒絶する性質を持つ。「国家機密」が情報公開制度で表に出るはずがない。

◆憲法原理を踏み越える

 何より深刻なのは国会議員さえ処罰し、言論を封じ込めることだ。特定秘密については、国政調査権も及ばない。行政権のみが強くなってしまう。

 重要な安全保障政策について、議論が不可能になる国会とはいったい何だろう。議員こそ危機感を持ち、与野党を問わず、反対に立つべきだ。

 三権分立の原理が働かないうえ、平和主義や基本的人権も侵害されうる。憲法原理を踏み越えた法案である。
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受領は倒るヽところに・・・

2013-11-07 20:42:34 | 日記
 これも『東京新聞』の記事。さすが東電である。

除染下請けに東電系企業 税金で肩代わり 利益は還流

2013年11月7日 朝刊

 東京電力福島第一原発事故で汚染された地域で国が費用を立て替えて進めている除染事業で、東電の子会社や東電OBが役員を務めるファミリー企業が、下請けとして参入していたことが分かった。政府・与党内では、除染を国費で負担する機運が高まっている。汚染の原因をつくっておきながら除染の責任を十分果たそうとしない東電側に、税金による事業で利益をもたらす構図になっている。 (大野孝志)

 こうした実態は、本紙が、発注者の環境省福島環境再生事務所に情報公開請求して得た資料で判明した。

 下請け企業の態勢などが記された八市町村分の資料を見ると、元請けはゼネコンだが、うち四つの市町村で東電のファミリー企業が下請けに入っていた。いずれも一次か二次の上位の下請けだった。

 福島県田村市の除染事業では、発電所保守を主業とする「東電工業」(東京都港区)が道路、山林管理業の「尾瀬林業」(荒川区)が森林をそれぞれ担当していた。両社は東電の100%子会社で、ゼネコンの鹿島を筆頭とする共同企業体(JV)の二次下請けに入っていた。東電工業は川内村の除染でも二次下請けに入っていた。

 両社は今年七月に合併して「東京パワーテクノロジー」(江東区)となり、合併後も、楢葉(ならは)町でゼネコンの前田建設JVの一次下請けに入り、除染作業をしていた。放射線測定も来年三月まで契約している。

 また、東電OBが役員を務める保守管理業「アトックス」(中央区)も、楢葉町と川俣町で一次下請けとして放射線測定を担当していた。同社は全国の原発内に事務所があり、福島第一の事故収束作業もしている。

 除染で国が元請けと契約した金額は、四市町村で計六百三十九億円。ファミリー企業にいくら流れているかについては、各社とも明らかにしなかった。

 総額数兆円にのぼるとみられる除染費用をめぐっては、復興予算で肩代わりしている国に対し、東電は返済を拒否。与党内では、今後の事業に関しては国費で進める案も検討されている。

 発注者の福島環境再生事務所は、本紙の取材に対し、「暴力団や反社会的勢力との契約は認めていないが、それ以外は民間同士の契約なので、特定企業の排除を指示することはできない」と答えた。

<東京電力の話> 東電グループとして住民の一日も早い帰還、安心につながる除染に尽力している。人的、技術的に展開することは重要な使命だ。

<東京パワーテクノロジーの話> 今後も引き続き「福島復興」に貢献できるよう、東電グループの一員として除染に取り組む。

<アトックスの話> 放射線管理の専門知識と経験で「福島復興」の役に立ちたい。復興への参画は、雇用維持の点でも重要だ。

<元請けのゼネコン各社の話> 個別の取引内容なので、回答は差し控えたい。






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安倍政権、「壊憲」の方法

2013-11-07 17:38:55 | 読書
 安倍政権は、条文そのものを変えることによる「壊憲」ではなく、様々な法を制定し、実質的な運用は政令で行うというかたちでの「壊憲」を志向しているようだ。

 『東京新聞』は、今日午後、日本版NSC創設法案が、衆議院を通過したと報道した。同時に、特定秘密保護法案も審議入りした。

外交・安全保障政策の司令塔となる日本版「国家安全保障会議(NSC)」創設関連法案は7日午後の衆院本会議で自民、公明両党のほか民主党などの賛成多数で可決された。参院審議を経て月内に成立する見通しだ。政府は年内のNSC発足を目指す。本会議では、機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案も審議入りした。

 NSC法案には他に日本維新の会、みんなの党が賛成し、共産党、生活の党、社民党は反対した。引き続き、安倍晋三首相が出席して特定秘密保護法案の趣旨説明と質疑を実施した。



 こういう法を次々と制定することによって、実質的に「壊憲」しようと考えているようだ。残念ながら、国会では反対勢力が、極小となっており、これらの動きを有効に阻止することはきわめて難しい状態だ。

 作家の沢地久恵さんは、秘密保護法について、次のように語っている。これも『東京新聞』記事。


<ウォッチ>「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん

2013年11月4日

 機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法案に、強い懸念が広がっている。一九七二年の沖縄返還をめぐる日米密約を、著書で取り上げたノンフィクション作家沢地久枝さん(83)は「この法律が成立したら、密約の当時よりもっとひどいことになる。憲法がどんなことを定めていても全部吹っ飛ぶのではないか」と憂える。
    ◇
 「とんでもない法案だとあきれました。こんなに内容が分からない法案は初めて見た。具体的な部分で『政令で定める』と書いてある箇所がいくつも出てくる。政令は、政府がいくらでも出せるものです」

 特定秘密とは、安全保障に著しい支障を与える恐れがあって特に秘匿する必要のある情報で、防衛相ら行政機関トップが指定する。「一般の人には、自分が特定秘密に触れているのか分からない。文章を書く人が取材した後、これは特定秘密だと言われたらアウト。特定秘密の秘密とは何ですかと聞いても『それは秘密です』なんて、こんなばかな話はない」

 政府は今国会中の成立を目指しているが「戦争中の法律よりひどいのではないか。当時、軍事機密に触れるようなことは一般の人も予測できた。今度の場合、想像ですが、何が特定秘密かはだいたい米政府との話し合いで決まるのではないか。今急いでいる理由は、日米関係を特に軍事面で円滑にするため、日本はこうしますという約束を米国に見せようとしているんだと思いますね」

 沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された外務省機密漏えい事件を、著書「密約」で取り上げ、密約の文書開示請求訴訟にも原告として加わった。「法案が成立すれば警察国家のようになる。特定秘密の保護措置として警察庁長官はいろんなことができる。戦争中の日本人は『警察ににらまれたらまずい』と思いながら話していた。そういう時代に戻る可能性が非常に大きい」

 罰則で、公務員らが特定秘密を漏らすと最高十年の懲役に、漏らすよう働き掛けた場合も五年以下の懲役となる。「公務員は恐ろしくて何も言わなくなるし、情報提供を受ける側も取材しにくくなる。おかしいと思うことを調べ、社会のためだと思って発表しても、特定秘密を公にしたと認定されれば罪に問われるかもしれない。記者やライターがさらし者になり、公務員も被告になるのです。われわれがこれも特定秘密かと用心深くなっていけば、この国の言論は窒息します。それが法案の狙いかと思います」

 法案は、平和主義や国民主権、基本的人権の尊重という憲法の基本原理に対する反動とも指摘する。「明らかな憲法違反です。米国の戦略の中で戦争に向かう約束をしても、秘密といえば分からない。この法律が通った瞬間に日本は別の国になる。それほど悪い法律で、憲法を変えなくても何でもできる。憲法九条や九六条を変えると言えば反論できるが、特定秘密の内容には反論できない」

 安全保障に関する情報を守るのが目的としているが「安全保障自体がはっきりしたものでないから、どれがその情報か分からない。みんな特定秘密にしてしまえば国は答えなくていいし、憲法も無視できる。こんな法律のある国を、次の世代に渡せますか」。
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秘密保護法の『信濃毎日新聞』の社説

2013-11-06 23:22:48 | 政治
 秘密保護法に関する『信濃毎日新聞』の社説は、その問題点を具体的に記していて、とても参考になる。そこでまとめて掲載させていただく。

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秘密保護法 防衛文書廃棄 政府の体質がにじむ 11月06日(水)

 特定秘密保護法が施行されたら、政府が秘密指定する情報は国民の手の届かない場所にしまい込まれ、最後はそのまま破棄されるのではないか―。

 そんなことを心配させる事実が明らかになった。

 自衛隊法に基づき「防衛秘密」を管理する防衛省が、2011年度までの5年間に約3万4千件の秘密指定文書を廃棄していた。02年に防衛秘密の仕組みが始まって以来、指定が解除されたのは1件だけ。ほかは全て、国民に知らされないまま葬られた。

 何が秘密にされたのか、指定は妥当だったのか、チェックするすべはなくなった。

 見過ごせない事態である。防衛秘密の仕組みは、衆院に提出された特定秘密保護法案を先取りしている面があるからだ。

 防衛秘密は防衛相が指定する。指定が適切か第三者がチェックする仕組みはない。秘密となる分野は「自衛隊の運用」「防衛力の整備」など大ざっぱで、防衛がらみなら何でも指定できそうだ。漏らすと最高で懲役5年になる。

 特定秘密保護法案とよく似ている。秘密の対象を外交や公安分野に広げ、最高刑を10年にしたのが秘密保護法案とも言える。

 文書を廃棄したことについて防衛省は「法令に基づいて処理しており、問題はない」と説明している。防衛省の勝手な判断で廃棄できる仕組みになっていることこそが問題だ。秘密保護法にも通じる欠陥である。

 防衛秘密の仕組みは2001年の9・11テロを受け、テロ対策特別措置法案とセットで議論された。与野党の関心は自衛隊の海外派遣につながるテロ特措法案に集中、防衛秘密を新設するための自衛隊法改正案には十分な審議時間が充てられないまま、可決、成立した経緯がある。

 審議が中途半端だった付けが回って、密室での大量廃棄を招いているとも言える。

 日本政府にはかねて、情報開示に後ろ向きの姿勢が目立つ。例えば沖縄返還密約だ。

 米国の公文書館には密約文書そのものが残っている。日本側で交渉に当たった元外務省高官は密約を結んだことを国会で認めた。なのに外務省は今も「密約は存在しない」の一点張りだ。
 こうした政府の姿勢から見ると、特定秘密も闇から闇へと葬り去られる心配が大きい。

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秘密保護法 内部告発制度 厳罰で掘り崩される 11月05日(火)

 特定秘密保護法は民主的な社会を支える仕組みを各面にわたり危険にさらす心配が大きい。懸念される一つが公益通報者保護制度。不正を内部告発した人を守る制度である。

 保護制度は基本的には公務員に対しても適用される。「政府の違法行為や重大な失態は特定秘密の対象になり得ないので、通報しても罰せられない」。政府は国会で答えている。

 ただ通報者保護法には刑事罰に触れる場合も保護するとは書いてない。特定秘密は公表されないので、政府の一方的な解釈により処罰されても反論できない。「処罰しない」とする政府の説明をうのみにはできない。

 告発で外部に公表した情報にたまたま特定秘密が含まれていた場合にも処罰される可能性がある。これでは公益通報を考える人はいなくなる。秘密保護法は公務員の口封じをする法律でもある。

 公務員とはそもそも何だろう。公務員は「全体の奉仕者」だと憲法は定めている。時の政権ではなく国民全体のために働くことが求められている。

 公務員は職務に関し犯罪行為があると分かったときは告発しなければならない―。刑事訴訟法にはこんな意味の規定がある。違法行為は進んで告発するよう、法律は公務員に求めている。

 厳罰をもって公務員に秘密保持を義務付けることは、法が公務員に求める役割を損なう心配が大きい。秘密法にはこの面からも賛成できない。

 秘密を扱う公務員は「適性評価」の対象となり、家族の国籍や飲酒の程度まで調べられる。秘密法は公務員のプライバシーを損なう心配も大きい。

 公務員による秘密漏えいの例として、空自幹部が中国潜水艦事故を記者に話して処分された事件(2008年)と、中国漁船衝突映像の流出(10年)がよく挙げられる。いずれも秘密にすべき事件とは言えないケースで、2件とも起訴猶予で終わっている。

 秘密法が成立すれば、こうした情報も国民の手の届かないところにしまい込まれるだろう。警察の捜査費の使い道がテロ対策と絡んで秘密とされれば、裏金問題の追及も難しくなる。

 全体の奉仕者であるべき公務員に対し、時の政府が秘密保持のたがをがっちりはめる。そんな法律は民主主義にふさわしくない。

***************************************************:
司法の闇 市民が逮捕される日 11月04日(月)

 201X年11月の早朝。長野市はヘリコプターのごう音と振動に包まれた。多くの住民が驚き目を覚ました。

 平和運動を進める団体の代表Aさんもその一人だ。窓を開けて上空を見上げると十数機の自衛隊ヘリが北に向かっていた。

 県庁に問い合わせたが「訓練の連絡は来ていない」との返事。「住民に何も知らせず、大掛かりな飛行訓練をするのは問題だ」と感じたAさんは、仲間2人とヘリの離陸地点とみられる隣県の陸自旅団に抗議に訪れた。

 具体的な飛行訓練計画を明らかにするよう求めるAさんに担当者は「答えられない」の一点張り。業を煮やしたAさんは語気を強めて「なぜ言えないんだ。住民は迷惑している。問題にしてやるぞ」と迫った。担当者は押し黙ったまま。Aさんたちは何の成果も得られないまま引き揚げた。

   <ある日突然、捜査員が>

 数日後の朝、Aさんの自宅を捜査員が訪れ、逮捕状を示した。「罪名 特定秘密保護法違反」―。

 防衛や外交などの情報を秘密指定して、それを漏らしたり、取得したりする行為を罰する特定秘密保護法案。政府が今国会に提出した法案が成立、施行されると、こんな事態も起こり得る―。自衛隊の活動を調査している県護憲連合事務局長の布目裕喜雄さんや、刑事訴訟法が専門の大出良知・東京経済大現代法学部長(九州大名誉教授)は危惧する。

 防衛分野の秘密指定範囲は「自衛隊の運用」などと大ざっぱだ。具体的に何が指定されたか国民には知らされない。市民が知らず知らずのうちに法に抵触。裁判になっても、証拠自体が秘密扱いで審理され、有罪判決が出る恐れがある。大出教授の話を参考に、判決までの流れを想定し、法案の危険性を考える。

 現行の国家公務員法や自衛隊法でも秘密を漏らすと処罰される。今回の法案は秘密を得た側も処罰されるのが特徴だ。

 だましたり、暴行したり、脅迫したりして、特定秘密に指定された情報を取得した場合、最高で懲役10年の罰則がある。未遂も対象。秘密を漏らすようそそのかしたり、あおったりしても最高5年の懲役刑だ。

 Aさんが問題にしたのは、実は日本海有事に備えた自衛隊員の大量輸送訓練で、防衛相が秘密指定していた。Aさんは、それを脅して取得しようとした罪(未遂)に問われ、起訴された。

 裁判が始まった。Aさんは「脅していないし、求めたものが特定秘密とは知らないので、犯罪の故意がない」などと無罪を主張した。ところが、一番肝心な証拠が開示されない可能性が高い。

   <証拠は裁判でも秘密>

 “前例”がある。

 6年前に発覚したイージス艦情報流出事件の裁判だ。特別防衛秘密(特防秘)を別の自衛官に漏らしたとして海上自衛官が逮捕、起訴された。1954(昭和29)年施行の日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反の罪で初めての起訴だ。

 検察側は「機密は裁判所にも明かすことはできない」と、機密部分を黒塗りした資料を証拠提出した。裁判長は資料に「極秘」の記載があることなどから特防秘に当たると「推認」できるとし、有罪判決を出した。

 この事件で主任弁護人を務めた田中保彦弁護士は「(秘密を取得した方も罰せられる)今回の法案では、被告がどんな情報を取得したかを聞いた弁護人も罪に問われる危険がある」と指摘する。

 Aさんの裁判も同様に進む。

 訓練の名称自体も秘密なので、検察側が出す証拠の題名さえこんなものになりそうだ。

 「■■■■■■■■にかかわる■■■■■■■■■■の計画」

 計画の内容は全面黒塗りだ。

 裁判長は、資料に「特定秘密」と記されていることや防衛省担当者の証言から特定秘密と推認できると判断。こんな判決を出す。

 被告人を懲役5年に処する

   <人権侵害の恐れ>

 争点について判決は▽「問題にしてやる」との言葉が「害悪の告知」に当たるなど、脅迫と認められる▽特定秘密の範囲は「自衛隊の運用」と法律に示されており、被告人には、求めた情報がこの秘密に当たるかもしれないという認識(概括的故意)があった―と示した。情状では、反省していないとの指摘も。

 未遂なので、最高刑にはならなかったが、懲役3年を超えるので執行猶予が付かず、実刑に―。

 あくまで仮定の話だが、ここから浮かび上がるのは、自分のした行為が本当に犯罪になるのかすら確認できず、弁護活動も制限され、市民が犯罪者にされてしまう恐れだ。法案は、国民の知る権利を侵害するだけでなく、憲法に保障された基本的人権さえ危うくする。成立させてはならない。

*****************************************************************
秘密保護法 警察の運用 地方でも監視が強まる 10月31日(木)

 国家機密といえば外務省や防衛省などの中央官庁が扱っているもの。地方に暮らす私たちには関係がない―。そう思いがちだ。

 ところが、今国会に提出された特定秘密保護法案を読むと、地方にも密接なつながりがあることが分かる。指定された秘密が警察庁を通じて都道府県の警察本部に提供され、一線の警察官も秘密の取扱者になるからだ。

 特定秘密を指定する「行政機関の長」には、外相や防衛相だけでなく警察庁長官が含まれる。長官が指定するのは、法が対象とする四つの分野のうち、主に「特定有害(スパイ)活動」の防止やテロ活動の防止に関する情報になる。いずれの分野もその内訳を見ると、「その他の重要な情報」の記述がある。幅広い指定が可能な条文になっている。

 長官は捜査などの必要に応じ、特定秘密を都道府県警察に提供することができる(7条)。提供を受けた警察本部長は、家族の状況から飲酒の節度、借金の状況まで調べる「適性評価」をして、取り扱う警察官を決める。こうして、私たちの身近にも特定秘密の取扱者が存在することになる。

 警察本部長は「特定秘密の適切な保護のために必要な措置」(5条)を取ることが求められる。特定秘密を守ることが警察の仕事の一つになる。取扱者への接触に目を光らせる。

 3年前、警視庁公安部の捜査関連文書がインターネット上に流出した。そこには国内のイスラム教徒の氏名や住所、顔写真、交友関係、活動状況などが記載されていた。都内のイスラム圏の大使館やモスク(イスラム教礼拝所)に出入りする人たちを監視した記録もあった。

 文書に掲載されたイスラム教徒たちは「教徒というだけで個人情報を収集され、プライバシーを侵害された」などと提訴した。

 警察が集めるこうした公安情報は特定秘密に指定される可能性が高い。法案では「主義主張に基づき、国家に強要する活動」がテロの定義の一つになっている。地方で展開される原発反対デモなどの監視も強化されそうだ。

 特定秘密保護法が後ろ盾になり、警察は個人情報をより集めやすくなる。そこに人権侵害があっても秘密の壁で検証は難しい。

 法案は、地方を巻き込んで監視社会をつくる危険性をはらんでいる。容認できない。

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やっと終わった

2013-11-06 12:11:53 | 日記
 9月から毎週水曜日の午後、10回にわたって行った歴史講座が終わった。毎週その準備で、図書館に通ったり、写真を撮りに行ったり、関連文献を読んだり、とてもたいへんだった。

 この種の講座、なかには半分雑談で終わる講師もいるようだが、ボクの場合はすべて真剣勝負。講義は、1時間以上90分以内で話して欲しいと言われていたが、いつも準備した内容を話し終わるとほぼ2時間。

 とにかく引き受けた仕事については、手を抜かない。その時点で自分自身が持っている能力はすべて使い切る、というのがボクのポリシーである。

 全力を尽くせば、自分自身も必ず何らかのものを得ることができるし、おそらく聴いている人たちも何かを得られるだろうと思うからである。要するに相互の信頼を確保することが重要なのだ。いい加減にやれば、ボクが話す内容の信憑性も揺らぐであろうし、ボクも信用されないだろう。

 実際、講座を準備する中で、古代史については発掘調査の報告書は個々の遺跡ごとに報告書は出されるが、それらの報告書を横断的に利用して当該期の歴史(時代)状況を描くことがなされていないことがわかった。遺跡については、2回にわたって話した。この地方の古代史について、勉強させられた。

 また浜松地域の民藝運動の歴史もよくわかった。同時に、現在の状況も把握できた。

 遠州の報国隊についても、今まで十分に研究してこなかったが、それも現在の研究水準まで理解を深めることができた。

 そして最後は「戦争」。いかなる材料を使えば戦争を語ることができるかがわかった。

 いずれにしても、スライドもレジメもすでにあるので、このテーマではどこでも話すことができる。

 これで、他の本が読める。しかし今度の日曜日は、憲法問題で講演しなければならない。今日からは、まず『法律時報』臨増、「「憲法改正論」を論ずる」を読むつもりだ。

 
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「誤表示」と「偽装表示」

2013-11-06 10:10:09 | 読書
 今日の新聞の「テレビ番組表」。ほとんどのニュースワイドショウで、食材の偽装表示を取り上げている。ところが、その番組表に記載されているのは、どの民放でも「誤表示」である。『中日新聞』の報道記事では、「偽装表示」。

 どちらが真実を伝えているか。

 テレビ番組は、どこかに食べに行って、おいしいとか、うまいとか、騒ぎ立てる番組を持っているから、そして取材先でタダで食べさせてもらっているからか、こういう問題が起きると、真実を語らないようだ。

 バカ番組ばかり垂れ流しているテレビ局。

 テレビは、人間をバカにする。見ない方が絶対によい。ときによい番組があるが、それらの多くはインターネットで見られる。

 我が家のテレビは、もうアンテナにつながっていない。
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【本】井上勝生『明治日本の植民地支配 北海道から朝鮮へ』(岩波書店)

2013-11-05 20:40:58 | 読書
 学者としての、いや人間としての良心が原動力となった研究の軌跡がここには記されている。

 著者は、幕末・維新史の研究者である。勤務している北海道大学から、1894年の朝鮮半島起こった東学党の乱、その指導者のものだと記された頭蓋骨が発見された。なぜ北海道大学にあるのか、どういう経緯で朝鮮半島から持ち出されてきたのか。

 それらを追求する中で、東学党の乱は、日清戦争前の第一次と、日清戦争中の第二次があり、第二次東学党の乱に対して、日本軍が、徹底的な殺戮作戦をおこなったということがわかってきたのだ。

 大本営は、東学の農民たちの殲滅を兵士たちに命じた。その結果、日清戦争中の死亡者は、朝鮮人がもっとも多くなった。兵士たちは、拷問し、焼殺し、家を焼き払った。すさまじい殺し方だ。実際に従軍した兵士の「陣中日誌」はその事実を赤裸々に示している。

 東学党殲滅作戦に動員された兵士たちは、四国の貧しい兵士たちだ。その兵士たちが、朝鮮半島で農民たちを惨殺する。

 筆者である井上氏は、こうした事実を明らかにすべく、殲滅戦が行われた現場に立つ。そして韓国の研究者らと緻密な調査を行う。

 その韓国の研究者たちの心の底にある、憤怒を、井上氏は感じる。その憤怒を、井上氏の良心が受け取り、いかなる者も否定できないような研究にまで押し上げる。

 それだけではない。なぜ北大にという疑問も解き明かそうとする。札幌農学校をめぐる人間像が浮き彫りにされる。そこには、内村鑑三、有島武郎、新渡戸稲造らが登場する。共通項は「殖民学」である。新渡戸は「文明」の側に立ち、アイヌを、朝鮮を徹底的に差別する。

 有島は、父が北海道に繰り広げた薩摩出身の利権官僚(北海道開拓使の黒田清隆も薩摩である!)であるが、有島は「殖民学」に批判的な立場をとる。

 もちろん「殖民学」に心酔する者もでてくる。札幌農学校出身者が、朝鮮で植民者として「活躍」する。そのなかで、東学党の「首魁」の頭蓋骨を持ち出してくるのだ。

 本書は、以上にあげた事実をきちんとした史資料をもとにして明らかにしただけではなく、学問的良心にもとづく研究の方法を示している。

 ボクは、有島も、新渡戸もほとんど読んでいないこと気づく。恥ずかしいことだ。そしてアイヌ民族共有財産裁判も知らなかった。

 過去の日本の不正義だけではなく、現代の不正義にも、しっかり眼を向けなければならないと痛切に思った。

 本書は、昨日の新幹線の往復と、農作業の後の疲労回復のための読書により読み終えることができた。明日、最後の歴史講座である。テーマは「戦争」。そこで展開される話の照準は、安倍政権に向けられているはずである。
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地域の歴史研究

2013-11-05 12:18:08 | 日記
 静岡県には、考古学、前近代史、近現代史、民俗学、いずれについても、研究会があり、それぞれ研究活動を続けている。その名称をしるすと、静岡県考古学会、静岡県地域史研究会、静岡県近代史研究会、静岡県民俗学会である。

 またそのほかに、静岡では静岡女性史研究会がある。

 静岡県では、それぞれの分野で研究活動が行われているが、全国でこうした研究活動が行われているわけではない。ボクが和歌山県に戦時下の女子労働を調べに行ったとき、近現代の研究や女性史の研究がほとんどないことに驚いた。

 地域史の研究は、地域の歴史を明らかにするだけではなく、地域の今後のあり方を考える素材にもなり得る。全国各地で、静岡県下で行われているような動きを期待したいと思う。

 さて、武蔵野市で、女性史の本が刊行されたようだ。こうした地道な活動は、十分に紹介されていいのではないか。

 http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-2572.html
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「誤表示」という「偽装」

2013-11-05 11:23:50 | 読書
 ボクは、このブログで、ホテルなどの使用食品の「誤表示」は「偽装」であって、詐欺であると先日書いた。

 同じようなことを、植草氏が書いている。

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-38dd.html
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「式」

2013-11-04 23:15:27 | 日記
 昨日、久しぶりに東京へ。娘の結婚式。場所は乃木神社。

 乃木希典は、神格化されている。なぜか。おそらく明治天皇の逝去の際、殉死したからだろう。明治天皇も神として、明治神宮に祀られている。

 乃木という人物は、日露戦争時、旅順要塞をめぐる戦いで拙劣な作戦で多数の日本兵の死傷者をつくりだした名将ならぬ「迷将」として高名な人物だ。ボクの個人的な意見としては、こういう人物が神とされる神社で結婚式は行いたくないが、娘はボクとは全く異なる人格であり、思想の自由は保障されなければならないから、彼らの選択を妨げることはしない。

 昨日の午後、結婚式につきあった。式場のスタッフの言われるままに、あちこちに移動して写真を撮られたり、立たされたり、拍手を強要されたり・・・・・ボクはへそ曲がりなので、こういうのは好きではない。たとえ娘の結婚式であってもである。自らの行動を他人に左右されると、とにかく疲れるのである。

 だいたいにして、式というのは、そこに参加している者すべてに何らかの行動が強制される。式次第というものがあり、その次第に沿って「滞りなく」進み、そして終わるというものだ。式は、演出する者がつくったスケジュールに沿って、参加している者すべてが動かされる仕組みになっている。

 とくに公的な式、たとえば学校の入学式や卒業式において、入学者、卒業者はそれぞれの式において「主体」だとされてはいるが、実際は「客体」である。式次第に沿って立ったり座ったりさせられる。そこにおける「主体」は、学校の管理職その他である。壇上で話すのは、校長であり、PTA会長であり、来賓である。

 そこで確認されるのは、常に支配秩序である。学校では、校長などが偉いと認識させられ、秩序正しく行われる入学式のように、支配秩序にさからわずに生活するという規範がそこで示される。

 儀式というのは、当該社会の支配秩序の再確認の場であって、それ以外ではない。特に日本のそれは顕著である。少しの「乱雑」も排除され、参加者は進行スケジュールにそって、ひたすら「客体」として動かされるのだ。

 ボクは、だからあらゆる「式」が嫌いである。できうる限り、そういう場には行かないようにしている。
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恐怖の秘密保護法!!

2013-11-04 23:08:11 | 読書
 今日の『信濃毎日新聞』の社説である。今安倍政権が制定しようとしている秘密保護法というものが、どういうものか、その本質を衝いている。


司法の闇 市民が逮捕される日
11月04日(月)



 201X年11月の早朝。長野市はヘリコプターのごう音と振動に包まれた。多くの住民が驚き目を覚ました。

 平和運動を進める団体の代表Aさんもその一人だ。窓を開けて上空を見上げると十数機の自衛隊ヘリが北に向かっていた。

 県庁に問い合わせたが「訓練の連絡は来ていない」との返事。「住民に何も知らせず、大掛かりな飛行訓練をするのは問題だ」と感じたAさんは、仲間2人とヘリの離陸地点とみられる隣県の陸自旅団に抗議に訪れた。

 具体的な飛行訓練計画を明らかにするよう求めるAさんに担当者は「答えられない」の一点張り。業を煮やしたAさんは語気を強めて「なぜ言えないんだ。住民は迷惑している。問題にしてやるぞ」と迫った。担当者は押し黙ったまま。Aさんたちは何の成果も得られないまま引き揚げた。

   <ある日突然、捜査員が>

 数日後の朝、Aさんの自宅を捜査員が訪れ、逮捕状を示した。「罪名 特定秘密保護法違反」―。

 防衛や外交などの情報を秘密指定して、それを漏らしたり、取得したりする行為を罰する特定秘密保護法案。政府が今国会に提出した法案が成立、施行されると、こんな事態も起こり得る―。自衛隊の活動を調査している県護憲連合事務局長の布目裕喜雄さんや、刑事訴訟法が専門の大出良知・東京経済大現代法学部長(九州大名誉教授)は危惧する。

 防衛分野の秘密指定範囲は「自衛隊の運用」などと大ざっぱだ。具体的に何が指定されたか国民には知らされない。市民が知らず知らずのうちに法に抵触。裁判になっても、証拠自体が秘密扱いで審理され、有罪判決が出る恐れがある。大出教授の話を参考に、判決までの流れを想定し、法案の危険性を考える。

 現行の国家公務員法や自衛隊法でも秘密を漏らすと処罰される。今回の法案は秘密を得た側も処罰されるのが特徴だ。

 だましたり、暴行したり、脅迫したりして、特定秘密に指定された情報を取得した場合、最高で懲役10年の罰則がある。未遂も対象。秘密を漏らすようそそのかしたり、あおったりしても最高5年の懲役刑だ。

 Aさんが問題にしたのは、実は日本海有事に備えた自衛隊員の大量輸送訓練で、防衛相が秘密指定していた。Aさんは、それを脅して取得しようとした罪(未遂)に問われ、起訴された。

 裁判が始まった。Aさんは「脅していないし、求めたものが特定秘密とは知らないので、犯罪の故意がない」などと無罪を主張した。ところが、一番肝心な証拠が開示されない可能性が高い。

   <証拠は裁判でも秘密>

 “前例”がある。

 6年前に発覚したイージス艦情報流出事件の裁判だ。特別防衛秘密(特防秘)を別の自衛官に漏らしたとして海上自衛官が逮捕、起訴された。1954(昭和29)年施行の日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反の罪で初めての起訴だ。

 検察側は「機密は裁判所にも明かすことはできない」と、機密部分を黒塗りした資料を証拠提出した。裁判長は資料に「極秘」の記載があることなどから特防秘に当たると「推認」できるとし、有罪判決を出した。

 この事件で主任弁護人を務めた田中保彦弁護士は「(秘密を取得した方も罰せられる)今回の法案では、被告がどんな情報を取得したかを聞いた弁護人も罪に問われる危険がある」と指摘する。

 Aさんの裁判も同様に進む。

 訓練の名称自体も秘密なので、検察側が出す証拠の題名さえこんなものになりそうだ。

 「■■■■■■■■にかかわる■■■■■■■■■■の計画」

 計画の内容は全面黒塗りだ。

 裁判長は、資料に「特定秘密」と記されていることや防衛省担当者の証言から特定秘密と推認できると判断。こんな判決を出す。

 被告人を懲役5年に処する

   <人権侵害の恐れ>

 争点について判決は▽「問題にしてやる」との言葉が「害悪の告知」に当たるなど、脅迫と認められる▽特定秘密の範囲は「自衛隊の運用」と法律に示されており、被告人には、求めた情報がこの秘密に当たるかもしれないという認識(概括的故意)があった―と示した。情状では、反省していないとの指摘も。

 未遂なので、最高刑にはならなかったが、懲役3年を超えるので執行猶予が付かず、実刑に―。

 あくまで仮定の話だが、ここから浮かび上がるのは、自分のした行為が本当に犯罪になるのかすら確認できず、弁護活動も制限され、市民が犯罪者にされてしまう恐れだ。法案は、国民の知る権利を侵害するだけでなく、憲法に保障された基本的人権さえ危うくする。成立させてはならない。
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