先に、来日したアメリカのケリー国務長官とヘーゲル国防長官が、もちろん靖国神社ではなく、東京の千鳥が淵の戦没者墓苑に参拝して献花したというニュースが流れた。
なぜ千鳥ヶ淵か。これについてはもと外交官の天木直人氏が、その意味をするどく指摘していた。今日も、それについて記している。
http://www.amakiblog.com/archives/2013/11/09/#002764
このことについて、日本のメディアは何も触れなかった。つまりその意味を理解できなかったのだ。そしたら、AFPはきちんと報道していたというではないか。
それは、以下のブログに出ている。
http://midori1kwh.de/2013/11/10/4376
日本のメディアのノーテンキなあり方に、憤りを覚える。
なぜ千鳥ヶ淵か。これについてはもと外交官の天木直人氏が、その意味をするどく指摘していた。今日も、それについて記している。
http://www.amakiblog.com/archives/2013/11/09/#002764
このことについて、日本のメディアは何も触れなかった。つまりその意味を理解できなかったのだ。そしたら、AFPはきちんと報道していたというではないか。
それは、以下のブログに出ている。
http://midori1kwh.de/2013/11/10/4376
日本のメディアのノーテンキなあり方に、憤りを覚える。
今日、掛川で「平和憲法を語るー「壊憲」にストップを!」というテーマで1時間半話した。大変熱心に聴いてくれたので感謝感謝である。
最初に、安倍政権が進めようとしている「法の下克上」による平和憲法を実質的に掘り崩そうとしている動き、NSC創設法、秘密保全法、「国家安全保障法」などについて話し、条文壊憲ではなく、違憲の法を制定することによる実質的壊憲への動きをまず話した。そして、日本国憲法に規定されている平和主義が、20世紀の世界における平和希求の帰結であること、さらに前文の平和的生存権は、国際社会で大いに注目されていることを指摘した。
しかし、その平和憲法は他方で、昭和天皇をはじめとした米軍による沖縄占領の継続(「天皇メッセージ」)、さらに「独立」後も米軍を日本に駐留させるように昭和天皇が画策したことなどを背景に成立したものであることを指摘。
そしてなぜ日本がアメリカと共に、世界各地で共同作戦を展開しようと狙っているのかを、財界や米国の思惑を交えて説明。
その後、自民党の憲法草案が現在の支配層の願望が盛り込まれていること、その問題性について話した。
最後は、今年没後100年となる田中正造が、非戦論を掛川で話したことに触れ、日本国憲法の平和主義は近代日本における平和希求の賜物であることを紹介して話しを終えた。
次は、14日に行われるTPPの講演の準備である。
今日いただいた講演料をあてにして、アジア太平洋資料センター(PARC)が制作した『誰のためのTPP?』を注文していたが、今日それが届けられた。
マスメディアが、正確な情報を流さないので、社会で生起している様々な事象がどういう問題を抱えているのかを調べるため、たいへんな苦労が求められる。しかしここでひるんではならない。
そういえば今日の『中日新聞』社説は、TPPについてきちんと書いていた。これもこのブログで紹介しておこう。
週のはじめに考える TPPが脅かすもの 2013年11月10日
TPP(環太平洋連携協定)交渉が大詰めを迎えます。遅れて参加した日本は、事前協議などで米国への譲歩を繰り返しています。これが国益なのか。
「何が秘密なのかも秘密」-。安倍政権が成立を目指す特定秘密保護法案に国民の不安が高まっていますが、TPPも徹底した秘密主義をとっています。内容が漏れれば、参加十二カ国の妥結に影響がでるからという。守秘義務を四年間も強いる異常さです。
国民が知らない間に食や農業、医療や保険、教育、雇用、文化まで生活の基盤が根底から変わることが決まっていたら大変です。
◆守れなければ席を立つ
懸念がなまじ誇張でないのは、交渉参加を認めてもらう段階から繰り返されてきた日本政府の譲歩ぶりからです。
欧州が輸入禁止している米国産牛肉の安全基準を緩和したり、かんぽ生命ががん保険に参入せず、そればかりか日本全国の郵便局で米保険会社のがん保険販売を請け負ったり、米国の意向を忖度(そんたく)して軽自動車の増税方針を日本側が先回りして示す-。「入り口段階」で、こんな具合でしたから、本交渉では「さらに…」と不安が募るのは当然です。
すでに与党内からは「聖域」として関税を維持するとしてきた重要五項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖など)すべてを守ることはできないとの声が出ている。「守るべき国益を追求する」「守れなければ席を立ってくる」と強弁してきたわけですから、妥結後に「開けてびっくり」の内容となっていることは許されるはずがありません。
本来、国の制度とか政策は、国民の命や健康、暮らしを守り、安全・安心な社会を形成するためにあります。しかし、TPPは関税引き下げなど貿易ルールだけでなく、暮らしを守ってきた制度も対象とし、いわば国のかたちの変更につながりかねません。
◆命か企業利益かの選択
極端に市場主義が浸透した米国、とりわけ富の拡大を目指す「1%の勢力」にとって、各国の制度は邪魔なものです。そこで米企業や米政府が使うのが「競争条件を対等にせよ」という決まり文句です。いかにも正論に聞こえる「対等な競争条件」を錦の御旗に、邪魔なルールや制度を徹底的に壊すか、都合よく変えさせる。
「TPPの本質は市場の強奪です。今の流れでは日本が大切にしてきた伝統や支え合い社会が崩壊する。『開国』が『壊国』になる」と東京大学大学院の鈴木宣弘教授(農業経済学)は言います。
米国農産物の輸出拡大に日本の厳しい食品安全基準は邪魔、学校給食の地産地消奨励策も参入障壁だから変えさせよう、という具合に。これは、国民の命か企業利益かを選択する問題です。
ところが安倍晋三首相は「世界で一番、企業が活動しやすい国を目指す」という。規制を緩め、税制を優遇し、外国企業でも思う存分、稼ぎやすいように配慮する。それは米国の狙いとピタリ符合してしまいます。
「(株)貧困大国アメリカ」(岩波新書)など米国ルポの著作が多いジャーナリストの堤未果さんは、TPPに傾斜する日本に強い危機感を抱いています。中枢同時テロ後に米国で成立した「愛国者法」に似て言論統制法ともいえる特定秘密保護法案や企業利益を最優先するなど「米国をなぞるような政策が進行している」と見ます。
米国で何が起こっているかといえば、刑務所や自治体、立法府まで企業に買われる。巨大化した多国籍企業は度を越した献金とロビー活動で政治と一体化し、企業寄りの法改正で「障害」を取り除いていく。企業の論理の前には国民の主権すらないがしろにされる社会です。
堤さんは「もはや企業を無理やり縛ることはできません。米国では遺伝子組み換えの表示義務がないので不可能ですが、日本は組み換えでない食品を選ぶことができるよう(国民主権の)『選択肢』を残す必要がある」と訴えます。
安倍首相は、TPPについて貿易自由化交渉と同時に重要な「安保防衛上の枠組み」との考えを示しています。米国や豪州などと結束し、中国などをけん制する意味合いなのでしょう。
しかし、TPPが「仲間」と「仲間外れ」をつくるなら、第二次大戦につながったブロック経済と同じではないか。ガット(関税貿易一般協定)体制以前に「先祖返り」しかねません。
◆国民の幸せこそが国益
国益を守るといった時、真っ先に考えるべきは、国民の幸せであってほしい。国民生活を大きく変容させかねない米国への配慮よりも、です。首相の考えと、国民の多くが抱く願いとのズレを感じずにはいられません。
最初に、安倍政権が進めようとしている「法の下克上」による平和憲法を実質的に掘り崩そうとしている動き、NSC創設法、秘密保全法、「国家安全保障法」などについて話し、条文壊憲ではなく、違憲の法を制定することによる実質的壊憲への動きをまず話した。そして、日本国憲法に規定されている平和主義が、20世紀の世界における平和希求の帰結であること、さらに前文の平和的生存権は、国際社会で大いに注目されていることを指摘した。
しかし、その平和憲法は他方で、昭和天皇をはじめとした米軍による沖縄占領の継続(「天皇メッセージ」)、さらに「独立」後も米軍を日本に駐留させるように昭和天皇が画策したことなどを背景に成立したものであることを指摘。
そしてなぜ日本がアメリカと共に、世界各地で共同作戦を展開しようと狙っているのかを、財界や米国の思惑を交えて説明。
その後、自民党の憲法草案が現在の支配層の願望が盛り込まれていること、その問題性について話した。
最後は、今年没後100年となる田中正造が、非戦論を掛川で話したことに触れ、日本国憲法の平和主義は近代日本における平和希求の賜物であることを紹介して話しを終えた。
次は、14日に行われるTPPの講演の準備である。
今日いただいた講演料をあてにして、アジア太平洋資料センター(PARC)が制作した『誰のためのTPP?』を注文していたが、今日それが届けられた。
マスメディアが、正確な情報を流さないので、社会で生起している様々な事象がどういう問題を抱えているのかを調べるため、たいへんな苦労が求められる。しかしここでひるんではならない。
そういえば今日の『中日新聞』社説は、TPPについてきちんと書いていた。これもこのブログで紹介しておこう。
週のはじめに考える TPPが脅かすもの 2013年11月10日
TPP(環太平洋連携協定)交渉が大詰めを迎えます。遅れて参加した日本は、事前協議などで米国への譲歩を繰り返しています。これが国益なのか。
「何が秘密なのかも秘密」-。安倍政権が成立を目指す特定秘密保護法案に国民の不安が高まっていますが、TPPも徹底した秘密主義をとっています。内容が漏れれば、参加十二カ国の妥結に影響がでるからという。守秘義務を四年間も強いる異常さです。
国民が知らない間に食や農業、医療や保険、教育、雇用、文化まで生活の基盤が根底から変わることが決まっていたら大変です。
◆守れなければ席を立つ
懸念がなまじ誇張でないのは、交渉参加を認めてもらう段階から繰り返されてきた日本政府の譲歩ぶりからです。
欧州が輸入禁止している米国産牛肉の安全基準を緩和したり、かんぽ生命ががん保険に参入せず、そればかりか日本全国の郵便局で米保険会社のがん保険販売を請け負ったり、米国の意向を忖度(そんたく)して軽自動車の増税方針を日本側が先回りして示す-。「入り口段階」で、こんな具合でしたから、本交渉では「さらに…」と不安が募るのは当然です。
すでに与党内からは「聖域」として関税を維持するとしてきた重要五項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖など)すべてを守ることはできないとの声が出ている。「守るべき国益を追求する」「守れなければ席を立ってくる」と強弁してきたわけですから、妥結後に「開けてびっくり」の内容となっていることは許されるはずがありません。
本来、国の制度とか政策は、国民の命や健康、暮らしを守り、安全・安心な社会を形成するためにあります。しかし、TPPは関税引き下げなど貿易ルールだけでなく、暮らしを守ってきた制度も対象とし、いわば国のかたちの変更につながりかねません。
◆命か企業利益かの選択
極端に市場主義が浸透した米国、とりわけ富の拡大を目指す「1%の勢力」にとって、各国の制度は邪魔なものです。そこで米企業や米政府が使うのが「競争条件を対等にせよ」という決まり文句です。いかにも正論に聞こえる「対等な競争条件」を錦の御旗に、邪魔なルールや制度を徹底的に壊すか、都合よく変えさせる。
「TPPの本質は市場の強奪です。今の流れでは日本が大切にしてきた伝統や支え合い社会が崩壊する。『開国』が『壊国』になる」と東京大学大学院の鈴木宣弘教授(農業経済学)は言います。
米国農産物の輸出拡大に日本の厳しい食品安全基準は邪魔、学校給食の地産地消奨励策も参入障壁だから変えさせよう、という具合に。これは、国民の命か企業利益かを選択する問題です。
ところが安倍晋三首相は「世界で一番、企業が活動しやすい国を目指す」という。規制を緩め、税制を優遇し、外国企業でも思う存分、稼ぎやすいように配慮する。それは米国の狙いとピタリ符合してしまいます。
「(株)貧困大国アメリカ」(岩波新書)など米国ルポの著作が多いジャーナリストの堤未果さんは、TPPに傾斜する日本に強い危機感を抱いています。中枢同時テロ後に米国で成立した「愛国者法」に似て言論統制法ともいえる特定秘密保護法案や企業利益を最優先するなど「米国をなぞるような政策が進行している」と見ます。
米国で何が起こっているかといえば、刑務所や自治体、立法府まで企業に買われる。巨大化した多国籍企業は度を越した献金とロビー活動で政治と一体化し、企業寄りの法改正で「障害」を取り除いていく。企業の論理の前には国民の主権すらないがしろにされる社会です。
堤さんは「もはや企業を無理やり縛ることはできません。米国では遺伝子組み換えの表示義務がないので不可能ですが、日本は組み換えでない食品を選ぶことができるよう(国民主権の)『選択肢』を残す必要がある」と訴えます。
安倍首相は、TPPについて貿易自由化交渉と同時に重要な「安保防衛上の枠組み」との考えを示しています。米国や豪州などと結束し、中国などをけん制する意味合いなのでしょう。
しかし、TPPが「仲間」と「仲間外れ」をつくるなら、第二次大戦につながったブロック経済と同じではないか。ガット(関税貿易一般協定)体制以前に「先祖返り」しかねません。
◆国民の幸せこそが国益
国益を守るといった時、真っ先に考えるべきは、国民の幸せであってほしい。国民生活を大きく変容させかねない米国への配慮よりも、です。首相の考えと、国民の多くが抱く願いとのズレを感じずにはいられません。