浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

自民党政府は、海兵隊が好き!

2013-11-08 23:20:02 | 政治
 『沖縄タイムス』が有益な情報を流している。海兵隊の沖縄駐留は、日本の自民党政権が求めていた。しかしこの情報は、別に新鮮ではない。自民党が、ひょっとしたら昭和天皇の遺訓を体して(?)、沖縄の米軍基地を維持したがっていたことは、すでに判明していることで、それがオーストラリアの公文書で明確になったということだ。


日本、海兵隊引き留め 1972年豪公文書で判明

 11月8日 09時33分

 沖縄の本土復帰直後の1972年10月、米国防総省が沖縄を含む海兵隊の太平洋地域からの撤退を検討していたことが、豪外務省の公文書で7日までに明らかになった。米国は当時、泥沼化するベトナム戦争への巨額戦費の支出で財政負担に苦しみ、基地機能の見直しを進めていた。海兵隊撤退論もその一環で検討されたものだったが、日本政府が海兵隊の駐留維持を米側に求めたことから、在沖米軍基地を大幅に縮小する機会は失われ、その後の防衛の役割分担を迫られる契機ともなった。(知念清張)

 米国防総省の海兵隊撤退検討案は、米国務省のアジア担当者から同盟国である豪国の駐米大使館に伝えられていた。沖縄国際大の野添文彬講師(国際政治史)が、当時の経緯を記した豪外務省の公文書を現地で発見、分析した。

 72年10月9日付の駐米豪大使館から豪外務省への秘密扱いの公電によると、米国務省政治軍事問題局のロバート・マクロム氏(アジア担当)が、国防総省の分析専門家らが海兵隊組織の検討を行ったことを説明。「沖縄やハワイなど、すべての太平洋地域の海兵隊をカリフォルニア州サンディエゴ(キャンプ・ペンデルトン)に統合することが、かなり安上がりで、より効率的」との結論を伝えていた。

 73年5月にはマクロム氏はハワイや、ミクロネシア連邦などに適当な施設が見つからないため沖縄の海兵隊を韓国に移転させる構想を説明している。

 さらに翌6月には、別の担当者からの「米国政府内で、海兵隊移転についての真剣な検討が続けられている」という報告が打電されていた。

 日本国内では7月、日米安全保障条約運用協議会で、防衛庁(当時)の久保卓也防衛局長が「アジアにおける機動戦力の必要性を踏まえると、米国の海兵隊は維持されるべきだ」と主張。

 当初、海兵隊の日本への駐留の有効性に疑問を抱いていたシュースミス駐日首席公使は11月、外務官僚との会談を踏まえ、スナイダー米国務次官補に対し「日本側の海兵隊重視は日本に対する交渉上のてこになる」と進言。在沖米軍基地の大幅縮小を訴えていた国務省も日本政府が在沖海兵隊を必要とすることに乗じて日本側の財政支援を引き出し駐留維持を志向するようになる。

「日本政府が障害に」

 我部政明琉球大教授(国際政治)の話 軍の動きが公文書で出てくることは極めて少ない。ベトナム戦争が休戦に向かい、アジア全体が緊張緩和に向かう中で在沖海兵隊の撤退が、米国で真剣に議論されていた可能性がある。沖縄の米軍基地の整理縮小に日本政府が大きな障害となってきたことがあらためて分かる。
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旗幟鮮明

2013-11-08 16:27:29 | 政治
 今日の『中日新聞』は、秘密保護法反対の論陣をはっている。これほど旗幟鮮明だと、気持ちがよい

 社説では、明確に廃案を訴える。当然と言えば当然である。まさに報道機関の機能を奪い去るという代物であるし、同時に日本国憲法を蚕食する癌のようなものだ。『中日新聞』こそがあるべき姿である。

特定秘密保護法案 議員の良識で廃案へ

2013年11月8日
 特定秘密保護法案が衆院で審議入りした。国家が国民の思想の領域まで踏み込む恐れがある。国会議員は今こそ良識を発揮して、廃案にしてほしい。

 潜水艦の潜水可能な深度、テロ情報収集のための情報源、公電に使われる暗号…。自民党はホームページで、秘密保護法案により漏えいを禁じる特定秘密の具体例を挙げている。

 国家が秘密にしたい事例として、納得する人も多いだろう。だが、秘密に該当しない情報さえ、恣意(しい)的に封殺しうるのが、この法案である。行政機関の「長」が「秘密」というワッペンを貼れば、国民から秘匿できるのだ。

◆35センチの壁も「防衛秘」

 特定秘密の指定の際に、有識者が統一基準を示すというが、あくまで基準にすぎず、個別の情報を調べるわけではない。国会や司法のチェック機能も働かない。これは致命的な欠陥だ。

 特定秘密は防衛省や外務省、警察庁などが扱い、約四十万件が指定されるとみられる。だが、秘密とするには、実質的に秘密に値する「実質秘」でなければならない。最高裁判例が示している。

 この膨大な秘密の山は、本当に「実質秘」だけで築かれているだろうか。ある情報開示訴訟で国側が敗訴したケースが、その欺瞞(ぎまん)性を象徴している。

 海上自衛隊が那覇基地の建物を「防衛秘」としたことに、最高裁が二〇〇一年、秘匿の必要性を認めなかった。国側は「爆撃機の攻撃力を計算して、耐えうる壁の厚さを設計した」などと、もっともらしい主張をしていた。だが、壁の厚さは、たったの三十五センチだった-。

 要するに行政機関は、隠したいものは何でも隠すことができる。いったん「特定秘密」に指定されてしまうと、半永久的に秘匿されうる。問題点は明らかだ。

◆崖に立つ報道の自由

 法案には防衛や外交の分野のみならず、「特定有害活動」「テロ活動」も加わっている。

 特定有害活動はスパイ活動を指すが、この項目には「その他の活動」という言葉もさりげなく挿入している。テロは人を殺傷したり、施設を破壊する行為だが、条文を点検すると、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若(も)しくは他人にこれを強要」する活動も含まれると解される。

 主義主張を強要する活動が「テロ」とするなら、思想の領域まで踏み込む発想だ。原発をテロ対象とすれば、反原発を訴える市民活動も含まれてしまう。

 秘密を漏らした側にも、聞いた側にも最高十年の懲役刑が科される重罰規定がある。とくに「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」を処罰する点は問題が大きい。管理の侵害とは何か、全く判然としていないからだ。

 しかも、既遂や未遂はむろん、共謀、教唆、扇動も罰せられる。これは秘密に接近しようとする行為に対する事前処罰であろう。刑法の共謀は犯罪の実行行為を必要とするが、この法案はその前段階である「話し合い」を共謀、「呼び掛け」を扇動とみなしうる。

 刑罰は強い拘束力をもつため、あらかじめ罪となる行為を明示せねばならない。だが、この法案では処罰範囲が、どこまで広がるかわからない。近代刑法の原則から逸脱する懸念が強い。

 報道の自由について「出版又(また)は報道の業務に従事する者」と限定しているのも、大いに疑問だ。ネット配信する市民ジャーナリストらを排除している。かつ「著しく不当な方法」による取材は、取り締まりの対象だ。

 不当かどうかの判断は、捜査当局が行う。ここにも恣意性が働く。裁判で無罪となるまで、記者らは長期間、被告人の立場に置かれてしまう。強い危惧を覚える。

 ドイツではむしろ「報道の自由強化法」が昨年にできた。秘密文書に基づいた雑誌報道に対し、編集部などが家宅捜索を受けた。これを憲法裁判所が違法としたからだ。今やジャーナリストは漏えい罪の対象外である。

 民主党は情報公開法の改正案を出しているが、秘密保護法案は情報へのアクセスを拒絶する性質を持つ。「国家機密」が情報公開制度で表に出るはずがない。

◆憲法原理を踏み越える

 何より深刻なのは国会議員さえ処罰し、言論を封じ込めることだ。特定秘密については、国政調査権も及ばない。行政権のみが強くなってしまう。

 重要な安全保障政策について、議論が不可能になる国会とはいったい何だろう。議員こそ危機感を持ち、与野党を問わず、反対に立つべきだ。

 三権分立の原理が働かないうえ、平和主義や基本的人権も侵害されうる。憲法原理を踏み越えた法案である。
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