「加藤泉展 裸の人」 SCAI THE BATHHOUSE 5/5

SCAI THE BATHHOUSE(台東区谷中)
「加藤泉展 裸の人」
4/9~5/7

こんにちは。

上にアップした写真のような、一見、人の形をした立体作品が、SCAIの中にポツンポツンと置かれています。大きさやポーズは様々ですが、どの作品も質感が荒々しくて、目を凝らすと生傷を見ているような生々しさを感じます。全ての作品は壁面に沿うように置かれていて、中には壁に手をかける仕草をしているものもありました。奇妙な哀愁感を漂わせています。また、今日ほどSCAIの空間が広く感じたことはありません。作品の「何か」が空間を広く見せていたのでしょうか。どことなく曖昧で、ゆったりとした時間が流れていました。

平面作品の一つに惹かれました。濃い紺色で覆われたカンヴァスの中に、人のような形をした存在が一つ。カンヴァスの中へ溶け込もうとしているのか、それとも出ようとしているのか、どんよりと淀んでいる「紺」の動きも印象的でした。加藤氏は、立体よりも先に平面の方の造形に取り組んでいたそうです。カンヴァスの中の存在が外へ飛び出したのが立体作品なのでしょうか。

何だかよく分からない存在を、恐らくこうだろうとして見ることを拒絶するかのようです。空間や形、それに見る人の関係を混ぜ合わせるような力を感じました。作品を通した孤独や不安感が脳裏に浮かぶ展覧会です。明日までの開催です。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )