「都市の模型展」 森都市未来研究所 5/21

森都市未来研究所(港区六本木)
「都市の模型展 -東京を視る- 」
2/5~7/10

森美術館と展望台を廻った後は、森都市未来研究所で「都市の模型展」を見てきました。東京とニューヨークの大きな都市模型が必見の展覧会です。

都市模型は、前にヒルズ開館記念の「世界都市展」でも拝見したので、二度目の対面になります。模型で再現されているニューヨークと東京は、いわゆる都心部だけに限定されています。前者がマンハッタンの南部とすれば、後者は中央線と山手線に挟まれた南側の地域でしょうか。同じ1000分の1の縮尺なので、一目瞭然の比較も可能です。建物の色や形まで細かく作られていて見応え十分です。何度見ても飽きません。

マンハッタンは極めて整然としています。道路で囲まれた一つ一つの正方形の区画は大きくとられて、そこに無数の超高層ビルが連なっています。ミッドタウンとダウンタウンの二つの超高層エリアが、直線上に連なって続いている姿も印象に残ります。高層ビルは、エンパイヤやクライスラーを始めとした尖塔を持つものが多く、まさにバベルの塔のような「上へ上へ」という意思を感じさせます。摩天楼は模型でも圧倒的でした。

それに対して東京は非常にゴチャゴチャとしています。無秩序な空間がひたすら連続しているとも言えるでしょうか。大手町から汐留・赤坂方面や新宿には超高層ビルが立ち並んでいるものの、他の大部分は低層の建物がびっしり詰まっていて、どことなくのっぺりとした印象を与えます。基本的にこの街は「横へ横へ」と拡大したようです。ただ、所々に池のようにぽっかりと佇む森は、意外にも東京には緑が多いことを気づかせます。立ち入りの制限された緑地が多いとはいえ、街の良いアクセントとなっているようです。私は、都心部の重厚なビル群よりも、低層の中から突然ニョキニョキと生え出したかのような新宿副都心のビル群のフォルムが美しいと感じました。

押井守監修による「東京スキャナー」は、前回、見逃してしまったのでじっくりと拝見しました。ノリの良い音楽にのせられながら、スピード感のある映像で構成される東京の姿。海ほたるから都心部への映像が特にカッコ良く、建物や、時には人物までスキャンする様が何やらゲーム感覚です。都心の水辺を捉えた「東京静脈」と合わせて楽しみました。

ヒルズの展望台から見た夕暮れの東京は靄がかかっていました。前から思うのですが、ここから見た東京は実に冴えません。世界最大の都市圏人口を抱えるという、未曾有の大都市の「広がり」は感じとれますが、展望台の視点が高すぎるのか、景色に締まりがないのです。重厚な都心部も、ここからはダラダラと高層ビルが連なっているだけに見えます。「東京は広すぎる。」ここへ来るといつもそう思います。(台場のフジテレビの展望台から望む東京港越しの都心、新宿の高層ビルから遠目に見る都心部、それに浜松町の貿易センタービルから見た東京の姿はなかなか圧倒的です。)

美術館と共通のチケットで入場が出来ます。難しいこと抜きに楽しめる展覧会でした。
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