「谷口吉生のミュージアム」 東京オペラシティアートギャラリー 5/3

東京オペラシティアートギャラリー(新宿区西新宿)
「谷口吉生のミュージアム -ニューヨーク近代美術館[MoMA]巡回建築展- 」
4/8~6/26

こんにちは。

オペラシティアートギャラリーで開催中の「谷口吉生のミュージアム」を見てきました。

展覧会のスペースの約半分は、MoMAの紹介で占められています。展示室に入ってすぐ目につくのはMoMAの大きな模型です。1929年の創立以来、一度の移転と三度の増改築を行なってきたMoMAは、谷口の手によってさらに大きく生まれ変わったようです。一棟の高層ビルといくつかの中層ビルが重なり合った建物は、思ったよりも狭い敷地にありました。大きな箱がいくつか合わさったような複合的な形です。また、美術館内部の動線やスペースの確保などにも当然のごとく細心の注意が払われたのでしょう。模型と並んで展示されている写真からは、シンプルでかつ開放的で、光がたっぷり取り込まれた様子が見てとれました。また、ミニマル音楽にのってスクリーン上映されるMoMAの様子も臨場感を高めます。膨大な設計図も自由に閲覧することが可能で、まさに至れり尽くせりの展示だったと思います。

MoMA以外は、国内の谷口建築が紹介されていました。私が一番印象に残ったのは、子どもの頃から何度か訪れたことのある葛西臨海水族園でしょうか。最近でこそあまり出向かなくなりましたが、昔はこの水族館が大好きで、エントランスドームの淵から、東京湾やディズニーランドを良く眺めていたことを覚えています。また、ドームの周囲に張られている水面と、後ろに広がる海水面が重なって見えるのも、美感をそそる演出です。キラキラしたガラスドームと、東京湾のメタリックな光沢の一体感は、何とも言えない開放感があります。久々にまた行きたくなりました。

豊田市美術館も気になりました。ここは前々から行きたくて仕方がないのですが、映像でも美しく見えた円形のプールが印象的でした。また、愛知万博での実現しなかった作品も、後背の森と一体化するような建物で、完成していたらさぞかし面白かっただろうと思わせるものです。近未来を感じさせるような広島のゴミ処理場も楽しめました。

私のような素人でも楽しめる分かりやすさがある一方で、一定の専門性も確保した、バランスの良い展覧会だったと思います。建築展は実際の建物への興味を増幅させます。この目で見て、この手で触りたい建物ばかりでした。
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