都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ストーリーテラーズ」 森美術館 5/21
森美術館(港区六本木)
「ストーリーテラーズ -アートが紡ぐ物語- 」
3/29~6/19
「秘すれば花 東アジアの現代美術」と同時開催中の展覧会です。会場がそちらと連続した形になっているので「続き」かと思ってしまいそうですが、こちらは全く別の独立した展覧会です。「アートを、小説のように読み、映画や演劇のように観る」(パンフレットから。)とのことから、物語性を喚起させるような作品、特にビデオアートが目立ちました。
デリーザ・ハバードとアレクサンダー・ビルヒラーの共作によるビデオアート、「シングルワイド」は、始めと終わりのない「物語」が延々と繰り返される作品です。一人の女性が車をトレーラーハウスへ突っ込ませます。彼女は何かに取り憑かれたかのように、一心不乱に何度も車を急発進させてはトレーラーハウスを破壊するのです。夜の暗い雰囲気を背景とした鬼気迫る表情には惹かれるものがあります。彼女は何故にあのような破壊を繰り返していたのでしょう。不気味な破壊願望が見て取れました。
キャレン・ヤシンスキーの「怖れ」は、何に対して恐怖心を抱いてるのかが分からない男女の人形が登場するアニメーションです。飛行機上でオロオロしながら涙を流し続ける愛くるしい人形たち…。不自然に動く人形を見ていると仕舞いにバカらしくなってしまいますが、何故か二人に対しては同情心と共感を抱いてしまいます。単純に飛行機が怖いのか、それともまた別のものへの恐怖なのか…。フライトアテンダントの人形の優しい表情には、こちらが癒されました。
マーク・ウォリンジャーの「王国への入口」は、空港の到着ゲートから出てくる乗客の姿をスローで映しただけの作品です。様々な性差、人種、年齢の人間が、全く空港の雰囲気と調和しない重厚な聖歌のBGMをバックに登場してきます。解説によれば「何気ない風景が強制的にドラマ化される。」とのことですが、アートとは常にそういった要素をはらむものかもしれません。私は面白く見ることができました。
イケムラレイコさんによる質感の高い絵画作品も印象に残りました。また、エイヤ=リーサ・アハティラは、数年前にオペラシティでの個展を見てから気になっていましたが、上映された作品は前に一度見たことのあるものでした。出来れば新作を拝見したかったです。残念でした。
会場では足早に立ち去る方が多く見かけられましたが、ビデオアートを最後まで見ることとは、なかなか根気のいる作業かもしれません。構成はシンプルで分かりやすいものでしたが、その辺への配慮がもう少しあっても良かったように思いました。
「ストーリーテラーズ -アートが紡ぐ物語- 」
3/29~6/19
「秘すれば花 東アジアの現代美術」と同時開催中の展覧会です。会場がそちらと連続した形になっているので「続き」かと思ってしまいそうですが、こちらは全く別の独立した展覧会です。「アートを、小説のように読み、映画や演劇のように観る」(パンフレットから。)とのことから、物語性を喚起させるような作品、特にビデオアートが目立ちました。
デリーザ・ハバードとアレクサンダー・ビルヒラーの共作によるビデオアート、「シングルワイド」は、始めと終わりのない「物語」が延々と繰り返される作品です。一人の女性が車をトレーラーハウスへ突っ込ませます。彼女は何かに取り憑かれたかのように、一心不乱に何度も車を急発進させてはトレーラーハウスを破壊するのです。夜の暗い雰囲気を背景とした鬼気迫る表情には惹かれるものがあります。彼女は何故にあのような破壊を繰り返していたのでしょう。不気味な破壊願望が見て取れました。
キャレン・ヤシンスキーの「怖れ」は、何に対して恐怖心を抱いてるのかが分からない男女の人形が登場するアニメーションです。飛行機上でオロオロしながら涙を流し続ける愛くるしい人形たち…。不自然に動く人形を見ていると仕舞いにバカらしくなってしまいますが、何故か二人に対しては同情心と共感を抱いてしまいます。単純に飛行機が怖いのか、それともまた別のものへの恐怖なのか…。フライトアテンダントの人形の優しい表情には、こちらが癒されました。
マーク・ウォリンジャーの「王国への入口」は、空港の到着ゲートから出てくる乗客の姿をスローで映しただけの作品です。様々な性差、人種、年齢の人間が、全く空港の雰囲気と調和しない重厚な聖歌のBGMをバックに登場してきます。解説によれば「何気ない風景が強制的にドラマ化される。」とのことですが、アートとは常にそういった要素をはらむものかもしれません。私は面白く見ることができました。
イケムラレイコさんによる質感の高い絵画作品も印象に残りました。また、エイヤ=リーサ・アハティラは、数年前にオペラシティでの個展を見てから気になっていましたが、上映された作品は前に一度見たことのあるものでした。出来れば新作を拝見したかったです。残念でした。
会場では足早に立ち去る方が多く見かけられましたが、ビデオアートを最後まで見ることとは、なかなか根気のいる作業かもしれません。構成はシンプルで分かりやすいものでしたが、その辺への配慮がもう少しあっても良かったように思いました。
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