「秘すれば花 東アジアの現代美術」 森美術館 5/21

森美術館(港区六本木)
「秘すれば花 東アジアの現代美術」
3/29~6/19

こんにちは。

日中韓と台湾の現代アートを紹介した「秘すれば花 東アジアの現代美術」へ行ってきました。かなりゴチャゴチャとした雰囲気の展覧会でしたが、惹かれたものがいくつかありました。

森の影を捉えた小林俊哉の写真は、水墨画のような淡さと、写真のひんやりとした質感を合わせ持った美しい作品です。冷たい感触のするブレーメンの森の姿が美しく写されています。展示は、会場スペースの角に沿うようになされていますが、出来れば一直線に眺めて、その広がりを感じたい作品でもありました。霧に覆われるように全体がぼかされているのも好印象です。

分厚く塗り固められたワックスの層から、仄かに光が照される向山喜章の作品は、シンプルでありながらも剛胆な存在感が感じられます。中から朧げに輝いてくる光。電球などの光源があるわけでもないのに、その不思議な「明かり」に魅せられました。

須田悦弘の木彫の草花は、目立たない場所に佇む様が微笑ましい作品でした。また、山口晃による、独特のタッチで細かく描かれた和風(?)の鳥瞰図も面白いと思います。彼の作品は、最近、あちこちの展覧会で見かけますが、人気のある方なのでしょうか。どの会場でも一際異彩を放つかのような存在感です。

地味ながらも心に留まったのは、ソン・ヒョンスクの作品です。大きなカンヴァスに抽象的な線などが描かれているものですが、彼はその描いた線の回数を記録しながら画面へ挑む試みをしているのだそうです。作品そのものにも深みがありましたが、作家自身の「意欲」も感じられるものだったと思います。

ところで、この展覧会でとても残念に思ったのは作品の配置です。美術館によれば、東アジアにふさわしい風水の要素を取り入れた展示方法とのことですが、ハッキリ言いまして非常に見にくいです。作品同士の間隔もあまりないばかりか、それぞれの存在感を削ぐような見せ方さえしていると思いました。シュ・ビンの「鳥が飛ぶ」、それにスゥ・ドーホーの大きな屋根はもっとシンプルな空間で拝見してみたいものです。
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