都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「時代を切り開くまなざし」 川崎市市民ミュージアム 5/29
川崎市市民ミュージアム(川崎市中原区等々力)
「時代を切り開くまなざし -木村伊兵衛写真賞の30年 1975-2005- 」
4/23~6/19
こんにちは。
川崎市市民ミュージアムで、木村伊兵衛写真賞を回顧する写真展を見てきました。
木村伊兵衛写真賞の過去30年間の受賞者は、該当者がなかった年(第9回)や、複数の受賞者が選出された年などを合わせると全部で36名なのだそうです。会場では、その受賞者の作品を約400点程展示しています。ボリュームは満点です。
受賞作は実に多種多様でした。報道写真的な要素の作品から、被写体にアート性を込めたような作品、それにネイチャーフォトと、この賞の守備範囲が相当に広いことを思わせるものが目立ちます。写真賞初期の70年代後半から80年代までは、当時の社会状況に斬り込んだような「主張」を感じさせるものが多く見られましたが、第10回には、光を高い質感で捉えた田原桂一がいきなり登場して異彩を放ちます。その後は、大自然や世界各地の風景や生き物を、美しく、時には奇妙に写した作品や、社会全体の風俗や文化、或はその残骸を見せるものが出てきます。90年代に入ると、被写体が急激に身近なものとなっていき、特に最近の受賞作では、社会との関係性をあえて断ち切るような、極めて個人的な世界をストレートに捉えているものが目につきました。それぞれがそれぞれに時代の空気や流れを汲み取ったものかもしれません。方向性はバラバラではありますが、一つの写真賞が積み重ねた年月の重みを見て取ることができました。
木村伊兵衛コーナーでは、昨年、30年ぶりに発表されたという氏のカラー作品「Paris 1954-1955」が目に留まりました。パリの賑わいをあまり構えないで捉えたような作品でしたが、人々の温かい表情と、作品そのものの味わい深さに惹かれました。これは必見だと思います。以前、近代美術館で拝見した個展(感想はこちら。)と合わせて、木村の高い魅力を改めて感じました。
川崎市市民ミュージアムへは初めて行きました。武蔵小杉駅からはバス便の立地ですが、ミュージアム近くまで行くバスを合わせると、本数はそれなりに多く確保されています。ミュージアムは、いわゆる「美術館」というよりも、行政の多目的な総合施設といった様相です。川崎の歴史を紹介した郷土資料館や、大きな屋内ステージが併設されていました。私が出向いた時は、ちょうど「中原街道時代祭り」というイベントが開催されていました。地元の方の着付けショーやカラオケ大会(?)などを横目に見ながら作品を鑑賞する。スピーカからの大音量にはさすがに集中力を削がされましたが、展覧会そのものは秀逸でした。おすすめできます。
「時代を切り開くまなざし -木村伊兵衛写真賞の30年 1975-2005- 」
4/23~6/19
こんにちは。
川崎市市民ミュージアムで、木村伊兵衛写真賞を回顧する写真展を見てきました。
木村伊兵衛写真賞の過去30年間の受賞者は、該当者がなかった年(第9回)や、複数の受賞者が選出された年などを合わせると全部で36名なのだそうです。会場では、その受賞者の作品を約400点程展示しています。ボリュームは満点です。
受賞作は実に多種多様でした。報道写真的な要素の作品から、被写体にアート性を込めたような作品、それにネイチャーフォトと、この賞の守備範囲が相当に広いことを思わせるものが目立ちます。写真賞初期の70年代後半から80年代までは、当時の社会状況に斬り込んだような「主張」を感じさせるものが多く見られましたが、第10回には、光を高い質感で捉えた田原桂一がいきなり登場して異彩を放ちます。その後は、大自然や世界各地の風景や生き物を、美しく、時には奇妙に写した作品や、社会全体の風俗や文化、或はその残骸を見せるものが出てきます。90年代に入ると、被写体が急激に身近なものとなっていき、特に最近の受賞作では、社会との関係性をあえて断ち切るような、極めて個人的な世界をストレートに捉えているものが目につきました。それぞれがそれぞれに時代の空気や流れを汲み取ったものかもしれません。方向性はバラバラではありますが、一つの写真賞が積み重ねた年月の重みを見て取ることができました。
木村伊兵衛コーナーでは、昨年、30年ぶりに発表されたという氏のカラー作品「Paris 1954-1955」が目に留まりました。パリの賑わいをあまり構えないで捉えたような作品でしたが、人々の温かい表情と、作品そのものの味わい深さに惹かれました。これは必見だと思います。以前、近代美術館で拝見した個展(感想はこちら。)と合わせて、木村の高い魅力を改めて感じました。
川崎市市民ミュージアムへは初めて行きました。武蔵小杉駅からはバス便の立地ですが、ミュージアム近くまで行くバスを合わせると、本数はそれなりに多く確保されています。ミュージアムは、いわゆる「美術館」というよりも、行政の多目的な総合施設といった様相です。川崎の歴史を紹介した郷土資料館や、大きな屋内ステージが併設されていました。私が出向いた時は、ちょうど「中原街道時代祭り」というイベントが開催されていました。地元の方の着付けショーやカラオケ大会(?)などを横目に見ながら作品を鑑賞する。スピーカからの大音量にはさすがに集中力を削がされましたが、展覧会そのものは秀逸でした。おすすめできます。
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