「岩尾恵都子展」 GALLERY MoMo

GALLERY MoMo港区六本木6-2-6 サンビル第3 2階)
「岩尾恵都子展」
9/29-10/27

鮮やかなグラデーションを描く色彩の渦の中に、シュールな感覚の『風景』が包み隠されています。岩尾恵都子(1968~)の新作個展です。



まず目に飛び込んで来るのは、緑や白、それに青などがストライプ状になって連なる色彩の一種の束です。それらが画面をスパッと切り取って分割するかのように流れ、どこか不安定にも見える空間を作り出しています。その構成は、今にも色彩が絵から飛び出し、それこそ滝を落ちる水の筋のように勢い良く押し出されてくるかのようにダイナミックでした。

この半ば抽象的な画面を、ある種の『風景』へと変化させているのは、そんな絵具の流れに一体化して今にも溶けてしまいながらも何とかその姿をとどめている人やモノの存在です。上に挙げた「京の夢、大阪の夢」(2007)では、色彩によって象られた切り立つ断崖のような面の上に腰掛ける、赤い服を着た一人の人物を確認することが出来ます。そしてそのような姿を絵の中で見出した時、そこで広がる場や空間のスケールの大きさを感じながら、同時に人の存在の儚さや寂しさを思うことにもなるというわけです。

岩尾は2000年のVOCA展で大賞を受賞しています。

今月27日までの開催です。(10/6)
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