都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
関西見聞紀行顛末記(Vol.2) 2007-10
Vol.1の京都編より続きます。2日目は奈良、大阪、神戸の変則三都物語(?)で楽しみました。まずは朝一番で京都から近鉄に乗り込みます。目指すは奈良博での正倉院展です。
奈良に到着したのは8時半前でした。この朝も昨日よりの雨が降り続いています。まだ鹿も見当たらない芝生の上をとぼとぼ歩いて、奈良博前に着いたのは8時40分頃。それほど駅から歩いている人も多くなかったので、大して混雑していないのかと思いきや、入口付近より仮設テントへと続く行列を見て驚きました。おおよそ1000名は並んでいたでしょうか。続々と大型バスが到着し、人が磁石に吸い付かれるように列へとおさまっていきます。開館前の美術館・博物館でこれほどの行列を見たのははじめてです。恐るべし正倉院展です。その集客力は絶大でした。
展示の感想はまた別エントリに廻しますが、私としては古代史好きの方がお宝をひっそりと楽しむというようなイメージを正倉院展にもっていたので、ともかく館内の混雑、ある意味での無秩序ぶりにはほとほと参りました。結局、入場したのは9時10分頃とそれほど待ちませんでしたが、中の賑わい様はそれこそ某テーマパークのはじけた雰囲気に似ています。展覧会というよりも何かのバーゲンの会場のようでした。(とは言え、見るべき作品が展示されているのも事実です。ちなみに係の方のお話によると、この日は例年の初日に比べると空いているということでした。)
近隣の興福寺で行われている秘仏公開も気になっていましたが、実はまだ一度も奈良博の常設を見たことがなかったので、正倉院展の後は本館・常設を観賞することにしました。東博級に充実したミュージアムシュップのある広々とした地下回廊を進み、本館へと入場するとそこに広がるのは仏様の共演です。こちらは正倉院展に比べるとはるかに空いていたので、じっくりと拝みながら楽しむことが出来ました。館蔵のものより、近隣のお寺の仏様が多く紹介されているのが奈良ならではことだと思います。
奈良博を出たのは11時過ぎだったでしょうか。この時点で正倉院展への入場が約30分待ちだという掲示が出ていましたが、それを横目に近鉄奈良駅へと歩き、今度は快速急行で一路、生駒を越え大阪へと向います。乗換え駅の難波でうどんをすすって腹ごしらえした後は、四つ橋線で肥後橋へ。中之島のビル群を望みながら着いたのはもちろん国立国際美術館でした。ここは今年、相国寺で若冲展を見た時にも足を運んでいます。駅には新しい出口も完成し、美術館への徒歩アクセスも若干改善されていました。山本現代でも見た小谷元彦のオブジェも出ている「現代美術の皮膚」展を堪能し、コールダーや須田のオブジェに見入ります。
国立国際美術館の次は北摂、池田です。再び肥後橋へと舞い戻り、地下鉄で西梅田、地下街経由阪急梅田より宝塚線に乗って池田へと進みます。マルーン色に光る車体に伝統の鎧戸、そして深い木目調の化粧板に渋いグリーンのクッションを見ると、改めて関西に来たことが実感出来るというものです。梅田から池田までは急行で30分ほどだったでしょうか。下車後、関西では珍しくないアーケード商店街を抜け、この頃にしてようやく姿を見せてくれた太陽の元、丘をあがってしばらく歩きました。目的地は阪急グループの創始者、小林一三のコレクションを紹介する逸翁美術館です。現在、その開館50周年を記念する特別展が開催されています。それにしてもこの美術館で特筆すべきは、小林一三の旧邸をそのまま用いたという建物自体の深い味わいでしょう。遊行さんおすすめの場所だったので期待はしていましたが、建物を見るだけでも池田まで出向く価値があるというものです。(駅からは少し離れているのでタクシーが便利かもしれません。)もちろん展示も充実していました。門外不出の佐竹本藤原高光をはじめ、楽茶碗、光琳、それに南北朝時代の重文、大江山絵詞などが公開されています。
ここでかなり時間を使った後は池田へと歩いて戻り、十三経由の今度は神戸線で一気に三宮へと進みました。この時点で既に夕方5時半。最終目的地は兵庫県立美術館です。神戸は土地勘がないので三宮で少し迷いましたが、何とか美術館行きのバスの場所を発見し、しばし揺られること10分。6時前には美術館に到着しました。それにしても中には誰もいません。ほぼ貸し切り状態にて、研ぎすまされた美感と観念的なアプローチの興味深い河口龍夫の展覧会を観賞します。安藤建築ともなかなか相性の良い展示でした。もちろん常設も見逃せません。近代日本の洋画からミロなどの版画、またはムーアやジャコメッティの彫刻などを企画展と合わせ、たっぷり2時間見入りました。
閉館後は阪神岩屋へ歩き、梅田経由新大阪より最終ののぞみで東京へ帰りました。本当は京都でもう1、2カ所、(例えば京都市美などですが。)見たい展示がありましたが、まずは心配された台風の影響もなく、ほぼ予定通りに廻ることができました。前もって購入していたフリーパス、「スルッとKANSAI 2day用」も一応、元がとれたのではないでしょうか。
永徳、正倉院展をはじめ、個々の展示の感想についてはまたいつものように挙げていきたいと思います。長々と失礼しました。
*二日目の旅程
京都→奈良博・正倉院展→大阪、国立国際美術館(現代美術の皮膚)→池田、逸翁美術館(開館50周年記念展)→神戸、兵庫県立美術館(河口龍夫展)
*関連エントリ
関西見聞紀行顛末記(Vol.1) 2007-10
奈良に到着したのは8時半前でした。この朝も昨日よりの雨が降り続いています。まだ鹿も見当たらない芝生の上をとぼとぼ歩いて、奈良博前に着いたのは8時40分頃。それほど駅から歩いている人も多くなかったので、大して混雑していないのかと思いきや、入口付近より仮設テントへと続く行列を見て驚きました。おおよそ1000名は並んでいたでしょうか。続々と大型バスが到着し、人が磁石に吸い付かれるように列へとおさまっていきます。開館前の美術館・博物館でこれほどの行列を見たのははじめてです。恐るべし正倉院展です。その集客力は絶大でした。
展示の感想はまた別エントリに廻しますが、私としては古代史好きの方がお宝をひっそりと楽しむというようなイメージを正倉院展にもっていたので、ともかく館内の混雑、ある意味での無秩序ぶりにはほとほと参りました。結局、入場したのは9時10分頃とそれほど待ちませんでしたが、中の賑わい様はそれこそ某テーマパークのはじけた雰囲気に似ています。展覧会というよりも何かのバーゲンの会場のようでした。(とは言え、見るべき作品が展示されているのも事実です。ちなみに係の方のお話によると、この日は例年の初日に比べると空いているということでした。)
近隣の興福寺で行われている秘仏公開も気になっていましたが、実はまだ一度も奈良博の常設を見たことがなかったので、正倉院展の後は本館・常設を観賞することにしました。東博級に充実したミュージアムシュップのある広々とした地下回廊を進み、本館へと入場するとそこに広がるのは仏様の共演です。こちらは正倉院展に比べるとはるかに空いていたので、じっくりと拝みながら楽しむことが出来ました。館蔵のものより、近隣のお寺の仏様が多く紹介されているのが奈良ならではことだと思います。
奈良博を出たのは11時過ぎだったでしょうか。この時点で正倉院展への入場が約30分待ちだという掲示が出ていましたが、それを横目に近鉄奈良駅へと歩き、今度は快速急行で一路、生駒を越え大阪へと向います。乗換え駅の難波でうどんをすすって腹ごしらえした後は、四つ橋線で肥後橋へ。中之島のビル群を望みながら着いたのはもちろん国立国際美術館でした。ここは今年、相国寺で若冲展を見た時にも足を運んでいます。駅には新しい出口も完成し、美術館への徒歩アクセスも若干改善されていました。山本現代でも見た小谷元彦のオブジェも出ている「現代美術の皮膚」展を堪能し、コールダーや須田のオブジェに見入ります。
国立国際美術館の次は北摂、池田です。再び肥後橋へと舞い戻り、地下鉄で西梅田、地下街経由阪急梅田より宝塚線に乗って池田へと進みます。マルーン色に光る車体に伝統の鎧戸、そして深い木目調の化粧板に渋いグリーンのクッションを見ると、改めて関西に来たことが実感出来るというものです。梅田から池田までは急行で30分ほどだったでしょうか。下車後、関西では珍しくないアーケード商店街を抜け、この頃にしてようやく姿を見せてくれた太陽の元、丘をあがってしばらく歩きました。目的地は阪急グループの創始者、小林一三のコレクションを紹介する逸翁美術館です。現在、その開館50周年を記念する特別展が開催されています。それにしてもこの美術館で特筆すべきは、小林一三の旧邸をそのまま用いたという建物自体の深い味わいでしょう。遊行さんおすすめの場所だったので期待はしていましたが、建物を見るだけでも池田まで出向く価値があるというものです。(駅からは少し離れているのでタクシーが便利かもしれません。)もちろん展示も充実していました。門外不出の佐竹本藤原高光をはじめ、楽茶碗、光琳、それに南北朝時代の重文、大江山絵詞などが公開されています。
ここでかなり時間を使った後は池田へと歩いて戻り、十三経由の今度は神戸線で一気に三宮へと進みました。この時点で既に夕方5時半。最終目的地は兵庫県立美術館です。神戸は土地勘がないので三宮で少し迷いましたが、何とか美術館行きのバスの場所を発見し、しばし揺られること10分。6時前には美術館に到着しました。それにしても中には誰もいません。ほぼ貸し切り状態にて、研ぎすまされた美感と観念的なアプローチの興味深い河口龍夫の展覧会を観賞します。安藤建築ともなかなか相性の良い展示でした。もちろん常設も見逃せません。近代日本の洋画からミロなどの版画、またはムーアやジャコメッティの彫刻などを企画展と合わせ、たっぷり2時間見入りました。
閉館後は阪神岩屋へ歩き、梅田経由新大阪より最終ののぞみで東京へ帰りました。本当は京都でもう1、2カ所、(例えば京都市美などですが。)見たい展示がありましたが、まずは心配された台風の影響もなく、ほぼ予定通りに廻ることができました。前もって購入していたフリーパス、「スルッとKANSAI 2day用」も一応、元がとれたのではないでしょうか。
永徳、正倉院展をはじめ、個々の展示の感想についてはまたいつものように挙げていきたいと思います。長々と失礼しました。
*二日目の旅程
京都→奈良博・正倉院展→大阪、国立国際美術館(現代美術の皮膚)→池田、逸翁美術館(開館50周年記念展)→神戸、兵庫県立美術館(河口龍夫展)
*関連エントリ
関西見聞紀行顛末記(Vol.1) 2007-10
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