「あるがせいじ 新作展」 ヴァイスフェルト

ヴァイスフェルト港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3階)
「あるがせいじ 新作展」
10/5-27



細密な彫刻が生み出すのは、深淵でかつ圧倒的な一種の小宇宙でした。レントゲンでは約2年半ぶりとなるあるがせいじの個展です。



彼の作品を言葉で表すのはとても難しいのですが、ともかく非常に感心するのは、どのようにすればこの薄い紙にこれほど小さな穴があき、またそれをどうやって積み木細工のように組むのかということでした。もはや直径1ミリにも満たない極小の穴ならぬ粒が巨大なビルの窓のように並び、それらが縦横に増殖して合わさって、一個の巨大な建造物のような作品を作り上げています。そして、その窓と同じくらい細密に施された影のような紋様にも注目したいところです。実際のライトによって出来る影とほぼ同化しながら、作品に巧みな立体感を生み出すことに成功しています。遠くから見るとそれらの凹凸が平面的に見えてくるのも、この影と穴が絶妙な配置で入り組んでいるからではないでしょうか。濃縮された線と面の生み出す、錯視的な面白さもまた魅力の一つです。

白い紙だけという簡素極まりない素材で作られていながら、そこより生成するのは、有機的で複雑怪奇に膨張した一個の巨大都市でした。この三次元に交わるワンダーランドへ入り込むと、それこそ我と時間を忘れて見入ってしまいます。抜け出すことは容易ではありません。

普段、画廊に親しみのない方にも是非おすすめしたい展示です。今月26日まで開催されています。(10/6)
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