狩野永徳展がはじまる

この秋、一番話題となりそうな展覧会です。今日16日より、京都国立博物館にて桃山時代の怪物絵師、狩野永徳の回顧展が始まりました。会期は僅か一ヶ月(11/18まで。)です。早速という方も多いのではないでしょうか。



狩野永徳:きらびやかな桃山絵画 京都で特別展始まる(毎日jp)

特別展覧会 狩野永徳京都国立博物館) 出品目録

そもそも、現存する作品の少ない永徳の回顧展ということからして貴重な機会ではありますが、やはり注目されているのは、先日発見されて話題となった「洛外名所遊楽図屏風」の公開にあるのかと思います。今回、作品に関連性の指摘される米沢の「洛中洛外図屏風」と初めて並んで展示されることで、改めてその価値も問われていくのではないでしょうか。見比べられることなどもうしばらくなさそうです。(ちなみに「洛外名所遊楽図屏風」は、以下、別冊太陽の「桃山絵画の美」でも『誌上公開』されています。)

「桃山絵画の美/別冊太陽」



とは言え、私が一番期待しているのは、伝永徳の「檜図屏風」です。身近なはずの東博に所蔵されていながらタイミングも悪く、なかなか見ることが叶いませんが、図版で確かめても心躍るようなパワーを秘めた作品です。巨木が激しく空間を裂く様を全身で味わいたいと思います。

ところで京博といえばその常設も見逃せないところですが、永徳展会期中に公開される作品をHPよりいくつか抜き出してみました。特に会期後半に出る狩野山楽の「唐獅子図」などは、永徳の「唐獅子図屏風」と合わせる形で興味深く見ることが出来そうです。

京都国立博物館、平常展示
・展示中~10/28
 狩野元信「耕作図屏風」、「松下渡唐天神像」、「楼閣山水図」(中世水墨画 9室)
 俵屋宗達「牛図」、円山応挙「春秋瀑布図」(絵巻 10室)
 狩野山楽「耕作図」、「山水図」、「狩猟図」(近世絵画 11室)
・10/31~11/25
 狩野山楽「神馬図絵馬」、狩野山雪「唐人物図座屏」、「磐谷図」(絵巻 10室)
 狩野山楽「唐獅子図」、「薔薇図」(近世絵画 11室)

「狩野派決定版/別冊太陽」

また「日経おとなのOFF」にも掲載されていましたが、この展覧会と合わせて、博物館近辺にある智積院の等伯「楓図」、また養源院の宗達「象図、唐獅子図」を楽しむのも良いかもしれません。それに二条城では、永徳の孫、探幽の弟である尚信の生誕400年を記念した展覧会も行われています。(狩野尚信生誕400年記念特別展。)

「日経おとなのOFF2007/10月号」(永徳展に連動した特集です。展覧会と同じ期間に京都で公開される予定の作品一覧を掲載するなど、情報源としても有用です。おすすめします。)

21日の新日曜美術館でも取り上げられるそうです。私としては今年最も楽しみにしていた展覧会なので、ともかくはじっくりと見てきたいと思います。

*関連エントリ
「ブルータスで先取り!狩野永徳展」 BRUTUS 9/15号
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