「薄久保香『Wandering season』」 TARO NASU GALLERY

TARO NASU GALLERY港区六本木6-8-14 コンプレックス北館2階)
「薄久保香『Wandering season』」
11/24-12/22



シュールでありながら、良い意味での既視感よる、どこか懐かしさも覚える絵画です。1981年生まれの若いアーティスト、薄久保香の個展を見てきました。

まず印象深いのは、薄久保の作品に特徴的な少年のモチーフが登場する「Verditer Blue」でした。大きく歪んだドアにぶら下がるかのようにしているのは、後ろ向きになった一人の少年です。それが精緻でありながらも、目を凝らすと実はかなり大胆なタッチにて影絵のように描かれています。またドアも虚構の存在、何か例えばオモチャの国にあるセット、ようはその先には何もない一枚の板のような雰囲気を漂わせていました。ここには確固としてあるようで、実は非常に脆い、絵の中だけに息づくかのような世界が成り立っているようです。そういえば少年にもいわゆる人間臭さががまるでありません。潔癖過ぎるほどの清潔さすら感じられます。

ペーパークラフトを捉えた作品も、一見、リアルな描写が冴えているように思えますが、やはりそこにあるのはぼんやりとした夢心地の幻でした。今にもその淡いパステル調の色彩が溶け合っていきそうです。

22日まで開催されています。(12/8)
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