都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「星をさがして」 千葉市美術館
千葉市美術館(千葉市中央区中央3-10-8)
「星をさがして - 宇宙とアートの意外な関係 - 」
11/11-2008/1/6
先日、美術館のすぐ近くに出来た、千葉市科学館(きぼーる)のオープンを記念して開かれている展覧会です。科学館に新設されたプラネタリウムに因んで、同美術館の所蔵する星や宇宙に関連する作品が紹介されています。
何と言っても今回の目玉は、暗室に置かれている宮島達男の巨大インスタレーション、「地の天」(1996)です。直径10メートルにも及ぶ、ちょうど円形プールのような物体の中に散るのは、まさしく星のように瞬くお馴染みのデジタルカウンターでした。もちろんそれは瞬くと言っても、いつものように1から9までの数字が順に表されているわけですが、この暗がりのプールを宇宙とすればダイオードは星、そして数字はその一生を指し示すものなのかもしれません。ちなみにこのダイオードの色は、宮島にはやや珍しい青が用いられていますが、まだ普及する前の試作品とのことで、輝きはかなり弱々しいものになっています。(開発当初の青色LEDは明るい光が出なかったそうです。)それが、生まれてはいつか消え行く星たちの運命を暗示するかのような儚さをも演出します。しばらくは「地」に映る宇宙、つまり「天」をぼんやり眺めていたいような作品でした。
宮島のインスタレーションの次に印象深かったのは、予め5本の線を写しこんでいたフィルムに月を撮影して、それを楽譜として表した野村仁の「ムーン・スコア」(1980-1984)です。これは数年スパンで写し出された月を五線譜の中におさめ、結果、その動きによって音楽が紡がれていくという作品ですが、例えば天候によって月が隠れてしまった日の分には何も書かれていない(つまりは音も出ません。)など、半ば非作為的な、言い換えれば自然の織りなす音だけが表現されてもいます。ちなみにこの作品は、東京国立近代美術館で今開催中の「天空の美術」展にも出ているようですが、ここ千葉市美ではそのスコアを実際に演奏したCDも流されていました。1980年の譜面をヴィオラが、81年の部分をヴァイオリンが追い、結果弦楽五重奏になったという音楽は、どこかミニマル・ミュージックのような雰囲気も漂わせています。静かに、また突如として鳴り響く和音の連なりに、宇宙の呼吸するリズムを感じ取ることが出来るのかもしれません。
この他には、主に1950年、かの瀧口修造を理論的支柱として活動していた「実験工房」の作品数点と、草間の「宇宙」や「星雲」などと名付けられたドローイングなどが展示されていました。
来年1月6日まで開催されています。
「星をさがして - 宇宙とアートの意外な関係 - 」
11/11-2008/1/6
先日、美術館のすぐ近くに出来た、千葉市科学館(きぼーる)のオープンを記念して開かれている展覧会です。科学館に新設されたプラネタリウムに因んで、同美術館の所蔵する星や宇宙に関連する作品が紹介されています。
何と言っても今回の目玉は、暗室に置かれている宮島達男の巨大インスタレーション、「地の天」(1996)です。直径10メートルにも及ぶ、ちょうど円形プールのような物体の中に散るのは、まさしく星のように瞬くお馴染みのデジタルカウンターでした。もちろんそれは瞬くと言っても、いつものように1から9までの数字が順に表されているわけですが、この暗がりのプールを宇宙とすればダイオードは星、そして数字はその一生を指し示すものなのかもしれません。ちなみにこのダイオードの色は、宮島にはやや珍しい青が用いられていますが、まだ普及する前の試作品とのことで、輝きはかなり弱々しいものになっています。(開発当初の青色LEDは明るい光が出なかったそうです。)それが、生まれてはいつか消え行く星たちの運命を暗示するかのような儚さをも演出します。しばらくは「地」に映る宇宙、つまり「天」をぼんやり眺めていたいような作品でした。
宮島のインスタレーションの次に印象深かったのは、予め5本の線を写しこんでいたフィルムに月を撮影して、それを楽譜として表した野村仁の「ムーン・スコア」(1980-1984)です。これは数年スパンで写し出された月を五線譜の中におさめ、結果、その動きによって音楽が紡がれていくという作品ですが、例えば天候によって月が隠れてしまった日の分には何も書かれていない(つまりは音も出ません。)など、半ば非作為的な、言い換えれば自然の織りなす音だけが表現されてもいます。ちなみにこの作品は、東京国立近代美術館で今開催中の「天空の美術」展にも出ているようですが、ここ千葉市美ではそのスコアを実際に演奏したCDも流されていました。1980年の譜面をヴィオラが、81年の部分をヴァイオリンが追い、結果弦楽五重奏になったという音楽は、どこかミニマル・ミュージックのような雰囲気も漂わせています。静かに、また突如として鳴り響く和音の連なりに、宇宙の呼吸するリズムを感じ取ることが出来るのかもしれません。
この他には、主に1950年、かの瀧口修造を理論的支柱として活動していた「実験工房」の作品数点と、草間の「宇宙」や「星雲」などと名付けられたドローイングなどが展示されていました。
来年1月6日まで開催されています。
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