「逝きし芸術家を偲んで」 千葉市美術館

千葉市美術館千葉市中央区中央3-10-8
「逝きし芸術家を偲んで」
11/11-2008/1/6



千葉市美術館のコレクションの中から、近年物故した作家の作品を展示して、その業績を回顧します。(パンフレットより引用。)今回は2003年に次いで二度目の開催とのことですが、主に彫刻家をはじめとする現代作家、計10名が紹介されていました。

出品作家

柳原義達(1910-2004)
松田正平(1913-2004)
清水九兵衛(1922-2006)
松澤宥(1922-2006)
毛利武士郎(1923-2004)
飯田善國(1923-2006)
金山明(1924-2006)
土谷武(1926-2004)
由木礼(1928-2003)
田中敦子(1932-2005)



まずはコルテン鋼という素材を用いて、一種のテントのようなオブジェをつくった土屋武の「呼吸するかたち」(1992)が印象に残ります。布地のように薄い鋼が何枚か合わさり、ちょうど人の高さほどのドームをいくつか象っていました。残念ながら中へ入ることは出来ないようでしたが、コルテン鋼独自の鈍く光る銀色は美しく、その揺らぎのあるフォルムも、作品全体に鋼らしからぬ軽やさかを演出しています。また表皮のゴワゴワとした質感と、墨を垂らして描いたような紋様も興味深いものです。



大小に様々な清水九兵衛のオブジェも数点展示されています。アルミニウムに『命』を吹き込んで不思議な動きをもたらす「Mask 3」(1977)は可愛らしくもある作品ですが、横幅2メートル近くはあろうかという大作、「FIGURE」(1985-88)にも見入るものがありました。一方はアルミの質感をそのままに、もう一方は漆のような赤い着色が施されていますが、この色を見ると川村記念美術館の建物正面にある「朱紅面」のオブジェを連想します。また清水は作陶を一時やめていたとも聞きますが、近作の茶碗も一点出ていました。おおよそ陶とは思えない質感が、現代造形家として活躍した清水の制作の足跡を見るかのようです。

「星をさがして」と共催の展覧会です。(入場料は合わせて200円です。)来年1月6日まで開催されています。
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