2007年 私が観たギャラリー ベスト10

今年、私が歩いて廻ったギャラリーの展示のベスト10です。作家の方には大変失礼なこととは思いつつも、要は記憶に新しい、非常に感心させられた展示を挙げるということで、一応ランキング形式にしてみました。拙ブログ共々、一素人の思いつきの戯言に過ぎません。あしからずご了承下さい。

「2007年 私が観たギャラリー ベスト10」

1 「山口晃『ラグランジュポイント』」 ミヅマアートギャラリー
2 「あるがせいじ 新作展」 ヴァイスフェルト
3 「青山悟 Crowing in the studio」 ミヅマアートギャラリー
4 「小谷元彦 『SP2 New Born』」 山本現代
5 「政田武史 New Paintings」 WAKO WORKS OF ART
6 「小西紀行『人間の家』」 ARATANIURANO
7 「入江明日香展」 シロタ画廊
8 「25×4=□」 東京画廊
9 「カンノサカン 『trans.』」 ヴァイスフェルト
10 「タムラサトル POINT OF CONTACT - 接点 - 」 TSCA KASHIWA

一番に挙げたミヅマの「ラグランジュポイント」ですが、これは率直なところ今年、山口晃の登場した二つの美術館の展示よりもはるかに印象に残っています。「四天王立像」からパノラマ等、ジャンルの垣根など無意味だと思わせるほど多様な制作には改めて感心させられますが、あのミヅマの空間を意外なインスタレーションで山口一色に染め上げたとこからして本当に驚かされるというものでした。非常階段から降りる際に感じた、独特の「やられた。」感はまず他で味わえません。痛快でした。



あるがせいじ、青山悟、小谷元彦の各氏は、ともかくその精緻極まりない造形の魅力に取り憑かれた展覧会です。あの作り込まれた作品を見るだけでも、これが本当に同じ人間の手によるものかと考え込んでしまうくらいでしたが、その上でそれぞれが全く他にはない、まさに孤高の境地を展開している部分に尊敬の念すら感じてしまいます。適切な表現でないかもしれませんが、「ただ見るだけでは勿体ない。」とさえ思うような展示です。



絵画関連としては、ARATANIURANOの小西展やWAKOの政田の個展などを挙げてみました。ちなみにARATANIURANOとは今年、新富町に新しくオープンした画廊です。毎度の展示が非常に見応えのある内容となっているので、まだの方には是非おすすめしたいと思います。



その他では、見ていて心晴れるような入江の版画、いつもながらの奇怪なモチーフが心を揺さぶるカンノサカン、それに会場と個々の作品が、一つのまた新たな別の作品と化していたタムラサトルの個展なども本当に充実していました。また東京画廊の個展ではあの「畳」がどうしても忘れられません。うっかり見逃してしまうところでした。

最後に今年一年、素晴らしい作品を見せていただいたすべてのアーティストの方々に感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

*関連エントリ(美術展編)
2007年 私が観た美術展 ベスト10
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2007年 私が聴いたコンサート ベスト5

毎年恒例、私の独断と偏見によるコンサートベスト5です。特に印象に深かったコンサートを挙げました。

「2007年 私が聴いたコンサート ベスト5」

1 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 熱狂の日音楽祭2007 5/5
  フォーレ「レクイエム」 ミシェル・コルボ/ローザンヌ声楽アンサンブル
2 ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007 12/5
  ショスタコーヴィチ「交響曲第11番」 井上道義/名フィル
3 フィンランド放送交響楽団 2007年来日公演 2/15
  シベリウス「交響曲第2番」 サカリ・オラモ/フィンランド放送交響楽団
4 NHK交響楽団第1604回定期公演(Aプロ) 11/11
  プッチーニ「ボエーム」 ネルロ・サンティ/N響
5 アルディッティ弦楽四重奏団 コンポージアム2007 5/21
  西村朗「弦楽四重奏曲第4番」 アルディッティ弦楽四重奏団 



年計20回程度のコンサートで「ベスト5」を見るのも無茶な話ですが、まずはベスト3に、LFJからはかの「モツレク」を越える完成度でホールを感動の渦に包み込んだコルボ+レクイエム、そして年末の日比谷タコ祭より、今度は逆に完成度を云々するのがナンセンスであると思うほどの熱演だった名フィル、それに今年聴いた唯一の外国オケ来日公演よりオラモのシベ2を並べてみました。4番目のボエームはオケにイタリアのリズムを与えた熟練のサンティ、そして最後のアルディッティはエキゾチックな西村の音楽を何か取り憑かれたように弾き切ったアーヴィンにそれぞれ拍手を送りたいです。

毎年「来年はもう少しコンサートへ行く回数を増やしたい。」のようなことを書きながら、結局、殆ど行くことが出来ていないわけですが、今年はともかくオペラが少なかったので、そればかりは何とか機会を作って聴いて行きたいと思います。

*関連エントリ
2006年 私が聴いたコンサート ベスト5
2005年 私が聴いたコンサート ベスト5
2004年 私が聴いたコンサート ベスト3(2003年の「ベスト10」を含む。)
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12月の記録と1月の予定 2007-2008

少し早めの「予定と振り返り」です。ちなみに年明けの「美術初め」は、お馴染み、東博の「博物館に初もうで」から行きたいと思います。

1月の予定

展覧会
「目黒の新進作家 - 七人の作家、7つの表現」 目黒区美術館( - 1/13)
「六本木クロッシング2007:未来への脈動」 森美術館( - 1/14)
「SPACE FOR YOUR FUTURE」 東京都現代美術館( - 1/20)
「ニュー・ヴィジョン・サイタマ3」 埼玉県立近代美術館( - 1/27)
「画家 岸田劉生の軌跡」 うらわ美術館( - 1/27)
「水野美術館コレクション 近代日本画 美の系譜」 大丸ミュージアム・東京(1/10 - 28)
「雪松図と近世絵画」 三井記念美術館( - 1/31)
「ピピロッティ・リスト『からから』」 原美術館( - 2/11)
「王朝の恋 - 描かれた伊勢物語 - 」 出光美術館(1/9 - 2/17)
「吉祥のこころ」 泉屋博古館・分館(1/5 - 2/17)
「宮廷のみやび/博物館に初もうで」 東京国立博物館(1/2 - 2/24)

コンサート
NHK交響楽団第1610回定期Aプロ/Cプロ」 ブルックナー「交響曲第4番」、シベリウス「交響曲第2番」他 (13、19日)


12月の記録

展覧会
「乾山の芸術と光琳」 出光美術館
「カオスモス2007 - さびしさと向き合って - 」 佐倉市立美術館
星をさがして/逝きし芸術家を偲んで」 千葉市美術館
「児玉希望展」 泉屋博古館・分館(1日)
「東京藝術大学大学院美術研究科博士審査展」 藝大美術館(8日)
「富岡鉄斎展」 大倉集古館(8日)
「田園讃歌 - 近代絵画に見る自然と人間 - 」 埼玉県立近代美術館(8日)
「鳥獣戯画がやってきた!」 サントリー美術館(8日)
「特別展 北斎」 江戸東京博物館(15日)
「秋の彩り」 山種美術館(22日)
「日本彫刻の近代」 東京国立近代美術館(22日)
「工芸の力 - 21世紀の展望」 東京国立近代美術館・工芸館(22日)

ギャラリー
「阪本トクロウ展 『呼吸』」 GALLERY MoMo(1日)
「池田光弘 - 宙を繋ぐ - 」 シュウゴアーツ(1日)
「薄久保香『Wandering season』」 TARO NASU GALLERY(8日)
「杉本博司 漏光」 ギャラリー小柳(8日)
「Artistic Christmas」 新宿高島屋美術画廊(8日)
「小西紀行『人間の家』」 ARATANIURANO(15日)

コンサート
「ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007」/井上道義
 交響曲第4番(1日)/交響曲第11、12番(5日)/交響曲第8番、15番(9日)

ともかく今月は、日比谷のショスタコーヴィチプロジェクトを一番に挙げるべきでしょう。個々の演奏については色々と粗もあったかもしれましたが、誰もなし得なかった日比谷でのショスタコチクルスを敢えてこの時期に行った井上の熱意には本当に頭が下がりました。また生の舞台で聞いたことのなかった各曲を、3000円という手頃な価格で、しかもまとめて聴くことが出来たのも非常に有り難く思います。コンサートであれほど胸が高鳴ったのも久しぶりでした。

展示では埼玉県美の記念企画、または現在も開催中の近美工芸館、そして江戸博での驚きの北斎展などが強く印象に残っています。またギャラリーとして絵画の底力を見るような二つの展覧会、薄久保香と小西紀行の個展も非常にインパクトがありました。ちなみに年末恒例のベスト企画ですが、作家の方には大変に申し訳ないとは思いつつ、あくまでも趣味のブログということでお許しを願いながら、今年はギャラリー編もやってみるつもりでいます。現代美術全般から言うと今年、不思議と美術館の企画があまり印象に残らなかったので、その反面充実していたギャラリーの展示を振り返ればと思いました。

それでは次のエントリから早速、音楽、ギャラリー、美術展と、今年印象深かった企画、展示を挙げていきます。
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