「ラントシャフト5」 ラディウム-レントゲンヴェルケ

ラディウム-レントゲンヴェルケ中央区日本橋馬喰町2-5-17
「ラントシャフト5 - 川久保ジョイ、高田安規子&政子、吉岡さとる」
5/8-5/29



風景をテーマにした三者三様の写真表現を紹介します。レントゲンで開催中の「ラントシャフト5」へ行ってきました。

出品作家は以下の通りです。プロフィールについては同画廊のWEBサイトもご参照下さい。

川久保ジョイ、高田安規子&政子、吉岡さとる



ずばり今回、私が目当てにしていたのは、主に「印刷物に精緻な細工を施して」(画廊HPより引用)作品を手がける高田安規子&政子です。印刷物=地図、それに精緻=カッターと記せば、一ヶ月ほどまえにスパイラルで開催された「巧術」を思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。その際は富士山近辺の地図をカッターで切り開いていて、実に細やかな等高線を浮き出していました。



その彼女らが本展で出品したのは、地図ではなく写真です。一見、何気ない地面でも捉えられているように思えますが、実際には作為を加えた、ようは半ばカッティングして出来た苔の痕跡を提示しています。レンガの大きさと見比べれば、苔の紋様の細やかさがまたリアルに伝わってくるのではないでしょうか。まさにミクロの景色が広がっていました。



研究施設をモチーフにして作品を制作する写真家、吉岡さとるのレントゲンデビュー作も迫力満点です。幾何学模様に切り取られた、構造美にも満ちた研究施設の魅力は、例えば工場萌えの感覚に近いものがあるかもしれません。

5月29日まで開催されています。
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「阿修羅像 奇跡の仏像」 東京国立博物館ミュージアムシアター

東京国立博物館・資料館(台東区上野公園13-9
「TNM&TOPPANミュージアムシアター 阿修羅像 奇跡の仏像」
4/2-6/27



東京国立博物館の資料館で上映中の「TNM&TOPPANミュージアムシアター 阿修羅像 奇跡の仏像」を見てきました。



ちょうど東博に阿修羅像がやってきてから約一年ほどたちました。今回の上映作品「阿修羅像 奇跡の仏像」は、かの阿修羅展の時にも上映されたバーチャルリアリティに新たなナレーションを加えたものだそうです。確かに見ているとあの展示の記憶が蘇りました。



映像は阿修羅像とともに建立されたといわれる西金堂を中心に、VRで再現された興福寺の境内へと入り込んでいくような構成がとられています。奈良の山から見下ろす伽藍の映像はなかなか臨場感がありました。単純に比較すると、映像の展開としては、前の「洛中洛外図屏風舟木本」よりもバリエーションが豊富かもしれません。



それにしても阿修羅像を三方からぐるりと一周、時に接写して肉眼よりも細部が鮮明に浮き上がっていく様子は、いくら映像とはいえ強烈なものがありました。幅5m、高さ3mのスクリーンで立つ阿修羅像は有無を言わさぬ迫力が感じられます。

先週の日曜日に細川展をあわせてみてきましたが、観覧(当日予約制)にはかなり余裕があるようでした。(14:00からの回を見ましたが、その20分前でも受付OKでした。)スケジュール他、受付については下記の要項をご参照下さい。受付場所は本館の玄関口、階段の横です。

「TNM&TOPPANミュージアムシアター 阿修羅像 奇跡の仏像」
日程:2010年4月2日(金)~2010年6月27日(日)  上記期間中毎週金・土・日曜日および祝日
時間:9:50、10:50、11:50、13:50、14:50、15:50(当日予約制)
※上記の時間までに、本館エントランス(シアター受付)にて受付。上演開始は受付時間の10分後。所要時間は約30分。
※ナビゲーターによる解説あり
場所:資料館(TNM&TOPPANミュージアムシアター)
席数:30席
料金:無料(ただし当日の入館料が必要)



言わば焼き直しということなのかもしれませんが、私としては意外なほどに楽しめました。(上の写真は何年か前に奈良へ行った時に撮った興福寺です。)

6月27日まで上映されています。
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「琳派コレクション一挙公開 国宝燕子花図屏風」 根津美術館

根津美術館港区南青山6-5-1
「琳派コレクション一挙公開 国宝燕子花図屏風」
4/24-5/23



根津美術館の誇る畢竟の大作「燕子花図屏風」を中心に、館蔵の琳派コレクションを概観します。開催中の「琳派コレクション一挙公開 国宝燕子花図屏風」へ行ってきました。

ちらしの「ようこそ、新しい根津美術館へ」という言葉を、そのまま「ようこそ、新しい燕子花図屏風へ」と置き換えても問題ないかもしれません。誰もが知る光琳の「燕子花図」は、LED照明の他、新装根津美の効果的な展示方法の力を借りてか、また新たなる魅力をたたえて待ち構えていました。以下、この屏風について今回私が初めて見知った、もしくは感じた箇所を3点ほど挙げてみたいと思います。


「国宝燕子花図屏風」(右隻)尾形光琳 根津美術館蔵

1.右隻と左隻に差し込む光は異なっていた

この屏風というとそれこそ一点の曇りもない金地に燕子花が羅列しているような印象がありますが、実際には右隻と左隻でその色味、特に明るさが微妙に異なっているような気がしてなりません。大きく花が伸びるように群がる右隻の方がやや明るいのに対し、花が下方に沈むように並んだ左隻はやや翳っているような印象を与えられます。それが例えば朝か昼かというような、画中の時間の差異までを意図したものかどうかは不明ですが、左隻の燕子花の濃くて重い青の色遣いなど、個々の花にそれぞれ違った表情が与えられているのは興味深く感じました。右が陽としたら左は陰とでも言えるのかもしれません。


「国宝燕子花図屏風」(左隻)尾形光琳 根津美術館蔵

2.燕子花は紛れもなくタブローである

ともすると型紙をペタペタと貼付けたようなイメージでも語られることがありますが、細部の描写まで際立って見える今回の展示に接すると、その花弁や葉一枚一枚に、光琳の筆の息遣いというものが強く感じられます。葉脈には金の筋も仄かに混じり、また花弁もしっとりと重く、顔料は金地へと溢れんばかりに滲み出していました。光琳は水墨画などを見ても、軽快な筆さばきが持ち味でもありますが、この燕子花でもその面は損なわれることなく発揮されているようです。

3.類い稀なき情緒性

2で触れた筆の息遣いという点と共通する部分があるかもしれません。堂々と並ぶ燕子花を遠目で眺めると、まさに琳派の王者と言うべき力強さや威厳を感じる面もありますが、近くに寄ると、まさに実際の花を愛でているような、意外にも繊細で可憐な表情を見て取ることが出来ます。単なるデザイン云々を通り越した、燕子花の持つ香しき情緒性こそ、この作品の魅力の一つであるのかもしれません。


「夏秋渓流図屏風」(右隻)鈴木其一 根津美術館蔵

ところで本展では燕子花図屏風にあわせ、色彩の乱舞が目に眩しい其一の「夏秋渓流図屏風」の他、抱一の墨画なども展示されています。(出品リスト)またコレクション展においても、この燕子花が初めて同館で披露された際に催された茶会を再現する展示、「燕子花図屏風の茶」などの見どころも盛りだくさんでした。



お庭のカキツバタも満開を迎えているそうです。写真は私が出向いたGW中のものですが、その時もほぼ見頃でした。



藤もまだ楽しめるのではないでしょうか。

5月23日まで開催されています。
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「酒井抱一 四季花鳥図巻 巻上」 東京国立博物館

東京国立博物館・平常展示 8室「書画の展開」(台東区上野公園13-9
「酒井抱一 四季花鳥図巻 巻上」
4/6-5/16



大琳派展の記憶も蘇ります。東博平常展に出品中の酒井抱一「四季花鳥図巻 巻上」を見てきました。



かの大琳派展の際は全巻揃っての公開でしたが、さすがに今回は通常の展観とのことで、その一部、つまりは前半部の春と夏の箇所が紹介されています。いつもながらも抱一らしい情緒に溢れた自然描写には目も釘付けでした。



同じく数年前に展示された時にも記事にまとめたことがありますが、これは抱一が58歳の時、貴人の慶事のために描いたとされるもので、そのためかとりわけ上質な絵具を用いられていることでも知られた作品です。鮮やかな色彩はもちろんのこと、葉脈の金など、どこか雅やかな装いを感じるのもそう言った由来があるからなのかもしれません。



ちなみにこの作品については東京美術の「もっと知りたい酒井抱一」にも紹介があります。著者の玉蟲氏のテキストも冴える、同シリーズでも指折りの傑作です。是非ご覧下さい。

「もっと知りたい酒井抱一/玉蟲敏子/東京美術」

なお琳派関連としては8室の隣の7室「屏風と襖絵」にて、光琳の「孔雀立葵図屏風」が展示されていました。こちらは残念ながら撮影が不可でしたが、特に孔雀の立姿の構図はかの紅白梅図を思わせるものがあります。お見逃しなきようご注意下さい。

「四季花鳥図巻」は5月16日まで公開されています。

注)東京国立博物館は平常展の一部作品に限り撮影が可能です。
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「生誕120年 奥村土牛」 山種美術館

山種美術館渋谷区広尾3-12-36
「生誕120年 奥村土牛」
4/3-5/23



国内屈指の土牛コレクションを展観します。山種美術館で開催中の「生誕120年 奥村土牛」へ行ってきました。

土牛は元々好きな日本画家だったので、これまでにも関連の展示は欠かさず見てきたつもりでしたが、それでも今回また新たな発見があり、その魅力を知ったような気がしてなりません。単なる名品展ではなく、土牛が関心を持っていた西洋画との関連も追いながら、さらには彼の残した言葉を交えて作品を紹介していく、言わば画業の全貌を探る内容となっていました。

私として特に興味深いのは、前述の西洋絵画との関連、つまりはセザンヌとの繋がりです。土牛は若い頃から積極的に西洋絵画を学んでいたそうですが、彼の一種の幾何学面を組み合わせた独特の平面構成は、とりわけ惹かれていたというセザンヌを彷彿させる部分が確かにあるのではないでしょうか。また土牛の真骨頂でもあるたらし込みの色彩感も、その絶妙なニュアンスからしてセザンヌ的だと言えるのかもしれません。土牛における「モダンさ」がそうした点に由来しているとは夢にも思いませんでした。



並び合う代表作二点、「那智」(1958年)と「鳴門」(1959年)の展示は壮観の一言につきます。両者とも水の質感、とりわけ「鳴門」における緑色の味わいは大変に重厚ですが、一転してあたかも滝の轟音まで伝わってくるかのような「那智」の白も、水しぶきを浴びているような清涼感を得ることができました。

姫路城の城門を描いた「門」(1967年)は土牛ならでの平面構成を伺い知れる作品と言えるかもしれません。門の奥行きは一枚の面に還元されながらも、そのどっしりとした立体感や重みが絵具によって確かに表されています。またちらし表紙にも掲載された「醍醐」(1972年)も桜色を通した陽の光が眩しい作品ですが、この門における白壁の光の輝きもまた見事でした。壁には光の粒子がまかれています。

その他、細かな素描や、同美術館創設者の山崎種二に宛てた書簡などの見どころも満載でした。土牛に関しては他の追従を許さない山種美術館の底力を感じる展覧会です。三番町時代の土牛展とは一味も二味も違いました。

5月23日まで開催されています。お見逃しなきようおすすめします。
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「いみありげなしみ」 東京国立近代美術館(ギャラリー4)

東京国立近代美術館千代田区北の丸公園3-1
「いみありげなしみ」(本館・所蔵作品展ギャラリー4)
4/20-8/8



「しみ」をテーマに、館蔵の絵画、写真、版画などを紹介します。東京国立近代美術館の所蔵作品展ギャラリー4で開催中の「いみありげなしみ」へ行ってきました。


村上華岳「空山清高之図」(1934)

液体による物理的な「しみ」が取り上げられているのは言うまでもありませんが、所蔵作品を横断的に切り取るギャラリー4の企画のこと、そう簡単に一目で分かる「しみ」ばかりが並んでいるわけでもありません。岸田劉生にはじまり、村上華岳の日本画なども登場する構成には、意表を突かれる方も多いのではないでしょうか。例えば筆の跡などの制作の痕跡そのものを表す、ようは広義の「しみ」を提示しているところも、この展示の見るべき点であるのかもしれません。


榎倉康二「版 STORY&MEMORY No.1」(1993年)

しかしながら今回の中核を成すのは、かねてより「しみ」の表現に取り組んできた現代作家、榎倉康二による一連の作品に他なりません。彼の展示というと、何年か前に木場のMOTで開催された大規模な個展を思い出しますが、ここ竹橋にもフェルトやテント綿布、それに写真などの作品、約10点強が紹介されていました。見応え十分です。


モーリス・ルイス「神酒」(1958年)

また目立っているのは、まさにキャンバスに絵具を滲み込ませる技法として知られるステイニングの画家、丸山直文とモリース・ルイスの大作絵画でした。特にルイスというと川村記念美術館の回顧展の記憶も鮮やかなところですが、どこか和をイメージさせる草色を幾重にも塗って出来た皮膜は、キャンバスを通して開ける彼岸への入口のようにも見えて興味深いものがあります。ここはしばし絵の前の椅子に座って、かの地へ行き来するような危うい感覚を味わいました。



8月8日まで開催されています。常設展の際はお見逃しなきようご注意下さい。

注)写真の撮影は許可制です。事前に受付へ申し出る必要があります。
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「シリーズ彫刻新時代vol.5 小俣英彦」 日本橋高島屋 美術画廊X

高島屋東京店 美術画廊X中央区日本橋2-4-1 6階)
「シリーズ彫刻新時代vol.5 小俣英彦」
4/28-5/17



日本橋高島屋美術画廊Xで開催中の「シリーズ彫刻新時代vol.5 小俣英彦」へ行ってきました。

作家、小俣英彦のプロフィールは以下の通りです。(美術画廊X冊子より引用。)

1977年 山梨県生まれ
2004年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
2007年 東京藝術大学美術学部彫刻家助教(~'10)

2002年 「GIFT/Winter Show」 SCAI
2008年 「彫刻・林間学校」 メルシャン軽井沢美術館
2009年 「彫刻 - 労働と不意打ち」 東京藝術大学大学美術館陳列館 他

最上段の冊子の画像を見てもお分かりいただけるかもしれませんが、小俣が木彫で追求しているモチーフとは、まさに「心臓」そのものに他なりません。多くは実寸大近くの手のひらサイズのものを、また時には下の「nucleus」のような高さ2m超にも及ぶ心臓を、樟を素材にして丹念に彫り起こしていました。血管も浮き上がる、半ば身近でありながらも見慣れない心臓を愚直に制作していく姿勢にも、また興味深いものがあるかもしれません。会場はどこか異様な雰囲気に包まれていました。


「nucleus」(2006-2010)

展示風景は日本橋タカシマヤblogに掲載されています。

シリーズ 彫刻//新時代 vol.5 小俣英彦展@日本橋タカシマヤblog

今回の展示を見て、昨年に芸大陳列館で開催された「彫刻 - 労働と不意打ち」のことを思い出しました。心臓をモチーフにしながらも、何やら攻撃的で得体の知れない、未知の生き物に出会ったような不思議な感覚を与えられたのは私だけでしょうか。


「Totem」(2009)*芸大の展示の様子。

5月17日まで開催されています。
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「ジョセフ・コーネル ウィーンパンの店」 東京国立近代美術館所蔵作品展

東京国立近代美術館千代田区北の丸公園3-1
「ジョセフ・コーネル ウィーンパンの店」
4/20~8/8

東京国立近代美術館の所蔵作品展でコーネルの小箱、「ウィーンパンの店」を見てきました。


コーネル、ジョゼフ「ウィーンパンの店」(1950年/紙、塗料、木、ガラス)

意外な場所で思わぬ作品に出会えるのも常設展示の醍醐味かもしれません。建築展を見終え、何気なく常設へ廻ると、まさかコーネルに出くわすとは夢にも思いませんでした。なお小箱はコーネルが「星への旅を夢想して」(東近美HPより印象)作られたと考えられているため、最近では同じく常設展内ギャラリー4の「天空の美術」に出たこともあったそうです。



中に例えばボールなどの立体があるわけではなく、いわゆる紙のコラージュの部類に入る作品のようですが、その切り取られた猫の表情が何とも可愛らしく思えました。一体、コーネルはここにどのような星空への旅を想っていたのでしょうか。

なお国内にある国立美術館(4館)ではこの作品を含め、計3点のコーネルの小箱を所蔵しているそうです。そちらも見る機会があればと思いました。

コーネル、ジョゼフ 「カシオペア#1」  国立国際美術館
コーネル、ジョゼフ 「無題(北ホテル)」 国立国際美術館

なおコーネルと言えば忘れてならないのが、現在、川村記念美術館で開催中(~7/19)の「ジョセフ・コーネル×高橋睦郎」です。



展示の様子は拙ブログでもまとめてあります。宜しければご参照下さい。

「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」 川村記念美術館


(川村記念美術館での展示風景。撮影は許可をいただいています。)

また川村コーネル展が5月16日の日曜美術館(アートシーン)で紹介されます。お見逃しなきようご注意下さい。

東京国立近代美術館所蔵作品展、コーネルの「ウィーンパンの店」は8月8日まで展示されています。
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2010年5月の予定

記録編に引き続きます。今月に見たい展示を挙げてみました。

展覧会

「英国ボタニカル・アート 美しき植物の記録」 ニューオータニ美術館(~5/30)
「PLATFORM2010 寺田真由美/若林砂絵子」 練馬区美術館(~5/30)
「伊勢神宮に捧ぐ 近・現代の美」 日本橋高島屋ホール(5/19~31) 
「細川家の至宝 - 珠玉の永青文庫コレクション」 東京国立博物館(~6/6)
「爽やかな日本美術 ~風・流れ・涼の表現」 大倉集古館(~6/6)
「ユビュ 知られざるルオーの素顔」 パナソニック電工汐留ミュージアム(~6/13)
「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」 東京都庭園美術館(~6/20)
「ルーシー・リー展」 国立新美術館(~6/21)
 #講演会「工芸とモダンデザイン:ルーシー・リーの時代」 金子賢治(茨城県陶芸美術館長) 5/16 14:00~ 要半券。先着順。
「館蔵品展 日本の美術運動」 板橋区立美術館(5/15~6/27)
 #講演会「大正期新興美術運動の終焉」 五十殿利治(筑波大学大学院教授) 5/29 14:00~ 聴講無料。先着100名。
「伊藤若冲 アナザーワールド」 千葉市美術館(5/22~6/27)
「猪熊弦一郎 - いのくまさん」 東京オペラシティアートギャラリー(~7/4)
 #レクチャー「木島俊介(美術評論家)」 5/15 14:00~ 要予約。
「ストラスブール美術館所蔵 語りかける風景 コロー、モネ、シスレーからピカソまで」 Bunkamura ザ・ミュージアム(5/18~7/11)
「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」 東京国立近代美術館(~8/8)
 #講演会 菊地宏 5/29 14:00~ 朝10:00より整理券配布
「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」 国立新美術館(5/26~8/16)
 #講演会「1910年『マネとポスト印象派』展」 ステファン・ゲガン(オルセー美術館国際展部門長) 5/27 14:00~ 要半券。先着順。
 #講演会「ポスト印象派の新たな歴史―ナビ派再発見」 シルヴィ・パトリ(オルセー美術館学芸員) 5/29 14:00~ 要半券。先着順。

ギャラリー

「ART AWARD TOKYO 2010」 行幸地下ギャラリー(~5/30)
「小林孝亘 夏の月」 西村画廊(~6/5)
「会田誠 絵バカ」 ミヅマアートギャラリー市谷(~6/5)
「戸谷成雄 ミニマムバロック6」 シュウゴアーツ(5/8~6/12)
「アニッシュ・カプーア」 SCAI THE BATHHOUSE(~6/19)
「奈良美智 セラミック・ワークス」 小山登美夫ギャラリー(5/15~6/19)
「宮崎勇次郎 Paradise blue」 Zuishoji Art Projects (5/21~5/29)
「Landschaft5 川久保ジョイ・高田安規子&政子・吉岡さとる」 ラディウムーレントゲンヴェルケ(5/8~5/29)
「音の出る展覧会」 ポーラミュージアムアネックス(~6/27)

コンサート

 未定



静岡県立美術館でも話題となっている「伊藤若冲アナザーワールド」が今月末、いよいよ千葉市美術館に巡回してきます。会期は一ヶ月強ありますが、途中一度の展示替えを挟んで相当数の作品が入れ替わるようです。出来れば初日に出かけたいと思います。

伊藤若冲アナザーワールド出品リスト(pdf)

また6月以降ですが、超豪華講師陣による展示に関した講演会が予定されています。こちらも二回とも拝聴するつもりです。

「伊藤若冲の魅力」 辻惟雄(MIHO MUSEUM 館長) 6/5 14:00~
「伊藤若冲の多彩な絵画ワールド」 小林忠(千葉市美術館館長) 6/20 14:00~



同じく講演会にも注視したい板橋の「日本の美術運動展」ですが、こちらも同じく6月以降、以下の内容での講演がアナウンスされています。展示無料、講演会無料という、板橋ならではの太っ腹企画です。聞き逃せません。

「日本の美術運動にとって「外圧」とは何か」 椹木野衣(美術評論家) 6/5 14:00~
「ポップ・ハプニング~60、70年代疾走する反芸術」 秋山祐徳太子(芸術家) 6/20 14:00~ 



何でも今年は印象派の当たり年とも言われているそうですが、その本命と言うべき「オルセー美術館展」がいよいよ乃木坂の国立新美術館で開催されます。全115点の規模はもちろんのこと、その質においても過去最高との声も聞かれる、非常に前評判の高い展覧会です。混雑必至です。こちらも早々に出かけたいと思います。

なおツイッターを用いてオルセー展のチケットが当たる企画があるそうです。応募してみてはいかがでしょうか。(当選15名)

「アートなひとことをつぶやいて」オルセー美術館展2010へ行こう!



それでは今月も宜しくお願いします。
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2010年4月の記録

先月に見た展示などを整理してみました。恒例の「予定と振り返り」です。

展覧会

◯「朝鮮陶磁 - 柳宗悦没後50周年記念展」 日本民芸館
◯「館蔵品展 お江戸の絵画は大賑わい」 板橋区立美術館
◯「森村泰昌 なにものかへのレクイエム」 東京都写真美術館
◎「長谷川りん二郎展」 平塚市美術館
◯「ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち」 森アーツセンターギャラリー
・「近代日本美術の百花」 千葉市美術館
◎「マネとモダン・パリ」 三菱一号館美術館
◯「竹尾 Paper Show 2010/感じるペーパーショウ」 丸ビルホール
◯「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎 箱宇宙を讃えて」 川村記念美術館
・「日本の美・発見3 茶 Tea - 喫茶のたのしみ - 」 出光美術館
・「アートフェア東京2010」 東京国際フォーラム

ギャラリー

・「ゴールデンウィーク特別企画展 富士山展」 ニュートロン東京
◯「八木良太 - 事象そのものへ」 SNAC(無人島プロダクション)
・「ましもゆき - 鳴鐘鑼」 Yuka Sasahara Gallery
・「会田誠+天明屋尚+山口晃 - ミヅマ三人衆ジャパンを斬る」 高橋コレクション日比谷
◎「複合回路 - 接触領域 - 第一回 田口行弘」 ギャラリーαM
◎「根来」 ロンドンギャラリー(白金)
◎「宮永亮 - 地の灯について」 児玉画廊
・「椿会展 2010」 資生堂ギャラリー
◎「寺崎百合子 音楽」 ギャラリー小柳
◯「黒宮菜菜 - 流彩の幻景 - 」 INAXギャラリー
◯「遠藤織枝×YUCA 『女書:アート×学術の連歌』」 ギャラリー・エフ
・「ポーラミュージアムアネックス展2010 - 祝祭 - 」 ポーラミュージアムアネックス
◯「巧術 KOH-JUTSU展」 スパイラルガーデン

コンサート

◎「NHK交響楽団第1670回定期公演」 マーラー「交響曲第9番」 ブロムシュテット 11日

4月は一号館のマネの他、平塚の長谷川、また画廊ではαMの田口行弘などの展示がとても印象に残りました。なおそのマネをはじめ、ヒルズのボストン美術館展などはGW中、一部入場制限がかかるなど大変混雑したそうです。如何せん人出が増すと集中力がそがれてしまいます。ともに行われている夜間開館を狙うのが良いかもしれません。

三菱一号館美術館 水・木・金 10:00~20:00 / 火・土・日・祝 10:00~18:00(月曜休館)
森アーツセンター 連日10:00~20:00(無休)

「俵屋宗達 琳派の祖の真実 /古田亮/平凡社新書」

先月中に出た美術関連の新書がなかなか楽しめます。特に宗達とマティスとの関係も論じる古田亮の「俵屋宗達 琳派の祖の真実」は、謎めいた宗達の人生を追いかけていくようなスリリングな展開に引込まれました。一気に読み終えます。

「ウォーホルの芸術 20世紀を映した鏡/宮下規久朗/光文社新書」

一方で宮下規久朗の「ウォーホルの芸術」、そしてマネ展との繋がりも伺える吉川節子の「印象派の誕生」はじっくりと構えて向き合いたい内容です。一度、書店にてご覧下さい。

「印象派の誕生―マネとモネ /吉川節子/中公新書」

5月の予定へと続きます。
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「朝鮮陶磁 - 柳宗悦没後50周年記念展」 日本民芸館

日本民芸館目黒区駒場4-3-33
「朝鮮陶磁 - 柳宗悦没後50周年記念展」
4/1-6/27



創設者、柳宗悦の没後50周年を記念し、彼の眼によって選ばれた館蔵の朝鮮陶磁、約270点を展観します。日本民芸館で開催中の「朝鮮陶磁 - 柳宗悦没後50周年記念展」へ行ってきました。



大谷石の外観も特徴的な民芸館の建物からして見どころであるのは言うまでもありませんが、大壺から水滴など、大小様々な朝鮮陶磁の名品がこれだけ揃ったことなど他になかったかもしれません。乳白色の虚空の中に秋草が靡く染付の他、土の温もり感じる大井戸茶碗、さらには黒い光を妖しく放つ飴釉の茶碗など、魅力ある作品が惜しげもなく展示されていました。



また朝鮮陶磁総ざらい展ということもあって、やや変わった作品が出ているのも見逃せないポイントです。餅の表面に紋様をつけるための「餅型」、またニンニクなどをすりおろす「おろし器」などの小品類にも興味深いものがありました。実際のところ、出品の全270点のうち、こうした小品が多数を占めるため、そう数が多いという印象は受けませんが、それでも朝鮮陶磁を愛でるのにはこの上ない機会となりました。

また陶磁の他、朝鮮に関連した文字絵、さらには民画などの絵画類も必見ではないでしょうか。中でもいわゆるヘタウマ系のタッチでお堅い主題をまとめた「瀟々八景図」には思わずニヤリとさせられました。またその他、宗達画を連想させる子犬の登場する李巌の「花下遊狗図」や、多数出ていた蓮池に主題をとった民画類なども素朴な味わいも醸し出しています。「ミニ朝鮮絵画展」が併催されていたと言っても良いかもしれません。

本展にあわせて刊行された図録「日本民芸館所蔵 朝鮮陶磁図録」(2500円)もなかなか力が入っていました。図版229点他、いくつかの論文を交えた本図録は、国内で手に入る朝鮮陶磁図版の決定版であるかもしれません。



なおいつものように民芸館では会期中、毎月第2水曜・第2土曜・第3水曜・第3土曜日に旧柳宗悦邸を公開しています。

 

ちなみにこの展示に関連する「柳宗悦 朝鮮とその藝術」展が、6月に四谷三丁目の韓国文化院にて開催されます。



「韓国文化院新庁舎オープン1周年記念事業 柳宗悦 朝鮮とその藝術」
場所:韓国文化院1階ギャラリーM1(新宿区四谷4-4-10
日時:6/9~6/19。10:00~17:00/日曜休館/入場無料

講演会なども予定されているようです。出来ればこちらも拝見したいと思いました。



「朝鮮陶磁」は6月27日までの開催です。おすすめします。
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「館蔵品展 お江戸の絵画は大賑わい」 板橋区立美術館

板橋区立美術館板橋区赤塚5-34-27
「館蔵品展 お江戸の絵画は大賑わい」
4/3-5/9



新収蔵品を含め、板橋区立美術館の江戸絵画コレクションを展観します。開催中の「館蔵品展 お江戸の絵画は大賑わい」へ行ってきました。

(お座敷コーナー)

館蔵品展というと、昨年の30周年展の記憶も新しいところですが、今回もまた新収蔵品を交え、同美術館のご自慢の江戸絵画がずらりと勢揃いしています。(出品リスト)ガラスケースなしはもちろん、作品剥き出しはおろか、ウォークイン形式の畳部屋の上に作品を並べる驚異の「お座敷コーナー」など、楽しい仕掛けも用意されていました。

英一蝶「不動図」

新収蔵品は、計4点登場していますが、特に昨秋の回顧展の感動も蘇る英一蝶の「不動図」が出ていたのは嬉しいところです。ちなみに館長氏のネーミングも冴える、お馴染みの板橋オリジナルのタイトルは「ちょっと修行中」でした。不動は濡れてしまわないように薪を外して滝に打たれています。何とも微笑ましい様子でした。

鈴木其一「漁夫図」

ちょうど根津美術館の「燕子花展」にて其一の畢竟の大作、「夏秋渓流図屏風」も展示されていますが、ここ板橋の其一も色彩の鮮やかさではそれに負けるものではありません。「漁夫図」における海の力強い色遣い、またその細やかで艶やかな線描には目を奪われます。ちなみに本作は板橋名で「魚採りは楽しいぞ」でした。こういうタイトルを見ると、作品もより身近に感じられるのではないでしょうか。

狩野探信「秋草群虫図」

元々、コレクションでは定評もありますが、南蘋派の作品がいくつも出ているのも見逃せないポイントです。この狩野探信の「秋草群虫図」(板橋名:みんなみんな生きている)は、かの若冲を彷彿させるものがないでしょうか。東山御物としても有名な東博所蔵の伝趙昌の「竹虫図」に倣って、湾曲する竹の周囲に蝶が何匹もひらひらと舞っています。こうした言わばあまり名の知らない絵師の名品を揃えるのも、板橋の得意とするところかもしれません。まさに目利きの美術館です。

河鍋暁斎「龍虎図屏風」

お座敷コーナーにある暁斎の「龍虎図屏風」の迫力には息をのんでしまいます。こうしたやや珍しい暁斎の金屏風を目と鼻の先で見られる機会など、間違いなくこの美術館の他にあり得ません。また板橋名の本作は「ドラゴン・タイガー最終決戦」でした。気合が入っています。


(この座布団の上に座って拝見出来るわけです。)

館蔵品展ということで有り難いことに写真の撮影が可能でした。お気に入りの江戸絵画をカメラにおさめて楽しむのも良いのではないでしょうか。



なお次回展、「日本の美術運動」も要注目です。これは日本近代絵画を美術運動の観点からグルーピングするコアな展示ですが、その講演会のラインナップが豪華でした。是非、聞きに行きたいと思います。

講演会:「日本の美術運動を考える」

「大正期新興美術運動の終焉~1926年を考える」
日時:5月29日(土)14:00~15:30
講師:五十殿利治氏(筑波大学大学院教授)

「日本の美術運動にとって「外圧」とは何か」
日時:6月5日(土)14:00~15:30
講師:椹木野衣氏(美術評論家・多摩美術大学教授)

「ポップ・ハプニング~60、70年代疾走する反芸術」
日時:6月20日(日)14:00~15:30
講師:秋山祐徳太子氏(芸術家)

※於:板橋区立美術館講義室 聴講無料 先着100名(午後1時開場)



「お江戸の絵画は大賑わい」は5月9日まで開催されています。
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「あおひー個展 - すくいとる」 antique studio Minoru

antique studio Minoru世田谷区経堂2-2-9
「あおひー個展 - すくいとる」
5/1-5



日頃、ブログでもお世話になっているあおひーさんの写真展、「すくいとる」へ行ってきました。



これまでにモノクロ、カラーと、毎度趣向を変えて作品を発表されているあおひーさんですが、今回もまた先だってのGEISAI出品作シリーズなど、言わば変化を伺い知れる展示になっていたのではないでしょうか。その光に溶け合う色と景色は、例えば夏の日差しの元で見るような白昼夢を連想させるものがあるかもしれません。微睡みは穏やかでした。



言わば「シャープネス」(展示解説より引用。)な方向を追求するデジカメを用いながらも、あえて朧げで絵画的な作品を手がけられているのもあおひーさんの一貫した制作の視点です。



私としては上のGEISAI出品作に、その絵画的世界とは異なった、抽象の方向を予兆させる面があるような気もします。また被写体をストレートに受け止めるのではなく、そこで例えば人との出会いのような、つまりはモチーフと触れ合いつつも離れ合うような一種の揺らぎにも、大きな魅力が感じられました。



会場は小田急線経堂駅北口にほど近い「すずらん通り」の商店街内にあります。駅から5分とかかりません。なお会期中は無休であおひーさんも在廊されるそうです。

5月5日まで開催されています。
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