冬支度開始。

来週とうとう初雪の予報なので、サンバーも冬タイヤに交換することにした。
タイヤ交換のときは、ついでにブレーキのメンテもしてやる。

今年の春に夏タイヤに交換したときに、左の助手席側ブレーキが引きずっていて、パッドが異常に減っていた。
なので今回、ついでにパッドを交換しよう。


交換用のパッドは、モノタロウで買った純正相当の社外品。
フロント1台分で1500円くらいという安さ。バイクのパッドより安いぞ。
「ノーブランド」なのが怪しさ満点だ。
「ISO/TS16949(2003)取得工場で生産の優良品」との説明だが、ISO/TS16949とは、Wikipediaによれば「品質マネジメントシステム-自動車生産及び関連サービス部品組織へのISO 9001:2008適用に関する固有要求事項(英:Quality management systems -- Particular requirements for the application of ISO 9001:2008 for automotive production and relevant service part organizations)」らしい。
要するに自動車部品の品質管理に関する規格、ってことみたいだな。
こういう規格は、企業の信頼性をアピールする看板として取得されることも多い。
この規格についていえば、品質「管理」の規格であって、品質の規格でないとこがミソだ。名の通った大手メーカーならまだしも、小さい工場ではこの規格の維持に体力を奪われてしまって、肝心の品質が怪しくなる、という、本末転倒なハナシにならないとも限らない気がしなくもないのだ。


閑話休題。
よくあるショットで比較。
右が助手席側から卸したやつで、左の黒いプレートのが新品。
春の写真と比較して、摩耗が進行してはいなかったようだ。ピストンは順調に動いていたのだろう。
しかし、残厚自体はもう限界だ。
新品のパッドの溝は摩耗インジケータで、溝の底の厚みが摩耗限度だ。
使ってたパッドにはインジケータがなかったのだ。
ちなみに、使ってたやつは、オクで買った社外品だった。


揉み出しして、交換後。
黒いプレートは色気もなんもない。
ガン鉄履くからどうせ見えないけどな。


運転席側のパッド。
こっちはまだまだ余裕があった。
使用距離は22221キロ。距離と使い方からすれば、こっちの摩耗はノーマルだろう。


鳴き止めのシムはないので、ピストンとキャリパの当たり面にシリコングリスを塗っておく。


組み付けて・・・。


パッドの押さえスプリングを入れて、完成。
マスターシリンダのタンクは液面がだいぶ下がっていたが、パッドを新品にしたら回復した。


リアのドラムも開ける。
現行のサンバーは、ジープみたいに、ホイール外してボルトをねじ込めばドラムを外せる。ドラムを外しても、ホイールスタッドの付いたハブが残る。
しかしKS/KVサンバーは、センターナットを外してドラムを外す。ホイールスタッドはドラム自体に植わっているので、ドラムを外せば車軸しか残らない。
このセンターナット、20kg-mという強力な締め付けがされているので、普通の長さのレンチではまず緩めれない。スライドTハンドルみたいな丈夫なハンドルに、かなりの長さと肉厚の延長パイプでも使わないと、腰をやってしまうのだ。
俺は、3トン用のガレージジャッキのハンドルを使った。


センターナットの下には、ロックワッシャとテーパーコーンワッシャが入っている。
ロックワッシャは裏表が決まっているので、OUT表示面が外側に来るように組む。
このクルマを買って、初めて自分でドラム開けてみたら、このワッシャが裏返しに入っていた。それも両方。
ショップの仕事を100%信用してはいけない。クルマの整備管理はユーザー責任なのだ。
テーパーワッシャのほうは、ドラムに食い込んでいることがある。そのままではドラムも外せないので、ドラム中心のワッシャが入っている外周部の、肉が厚くなっているとこをハンマーで軽く打つと、テーパーワッシャが飛び出してくる。
あとは引っ張ればドラムが抜ける。
抜けないときは、サイドブレーキを解除しているか確認。サイド下ろしても回るけど抜けないときは、ドラム内面がサビや摩耗で段付きになっているのだ。そうなったら、ドラムにホイールを仮付けして、ホイールごと揺するなりしてなんとか外すしかない。


抜けにくかったドラム内は、シューの当たらない縁の部分にサビが出て、当たり部より径が小さくなっていた。
サビだけだったので、スクレーパでサビを削るだけで段が取れた。
摩耗で段付きになっていたら、内径が摩耗限度に来ているかもしれないので要チェックだろう。


写真がブレたが、シュー間の上側にシューのアジャスタがある。
基本的には自動調整なのだが、構造上かなりシューが減らないと自動調整が働かない。
しかも、ジープや現行サンバーと違って、ドラムを外してないと手動では調整できないときている。
なので、ドラム開けた機会にドライバなどでコマを回して調整するのだが、ドラムがなんとか嵌めれて、かつ引きずらないギリギリというか、軽く引きずるあたりから、アジャスタを2コマくらい戻したほうがいいように思う。
アジャスタは左右でネジが逆になるので要注意だ。
調整の都度ドラムを嵌めて、ブレーキを踏んだりサイドを何度か引いたりしてシューの座りを出し、20キロの力でサイドを引いて7-9ノッチが基準値だ。今回は7ノッチに調整した。
慣れれば難しいことはないが、めったにやんない作業だろうから、慣れるほど場数をこなすまでが大変だろうな。


ドラム内のダストは、1年弱でこんなもん。
ジープと大差ない。


ドラムブレーキは、リーディングトレーリング。ジープの後輪や、カブのブレーキと同じだ。
この場合、シューは下端が支点となり、上端を両開きの油圧ピストンで開く。カブは油圧ピストンでなく、ブレーキケーブルで回転するカムで開いている。
これは左側なので、前進時に食い込むように強く効くのは向かって左側のシューで、リーディングシューと呼ぶ。向かって右側のシューは滑っている状態なのであまり効いておらず、トレーリングシューと呼ばれる。
後退時には、リーディングとトレーリングの関係が逆転する。回転方向によらず一定の効きが期待できるので、駐車ブレーキや後輪ブレーキに使われるのだ。

ドラムを組んだらセンターナットは仮締め(仮とはいえできるだけ締める)して、ホイールを付けてジャッキを下ろす。
下りた状態で、車輪止めかましてサイドも引いて、本トルクを掛ける。
規定トルクから、30度増し締めの範囲で割りピン穴を合わせること、と決められている。
割りピンはケチらずに新品を使おう。

ブレーキをちょした後は、必ず何回か全力でペダルを踏んでおく。バイクならレバーはニギニギしとく。
もう一度忘れたことはないか確認してから、テストラン。
踏み代もいいし、片効きもない。めでたしめでたし。
これで雪降っても大丈夫だ。ワイパーは雪降ったら換えよう。


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