hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

吉祥寺で美術展

2011年06月12日 | 美術
まず、前進座近くの井の頭通り沿いのケーキ店Chez tora シェ・トラ(水・木休み)で腹ごしらえ。
キッシュと、



米粉のケーキ、コーヒー



で1100円(税別)。若い男性には物足りないだろうが、美味。

まずは、吉祥寺伊勢丹あとのコピスで開かれている「ぱらぱらマンガ喫茶展」へ。昔、教科書の隅に書いて、パラパラめくって動画を楽しんだあの「ぱらぱらマンガ」だ。英語ではflipbookというらしい。



壁に幾つもの単語帳のようなものがぶら下がっている。さすが、プロ。枚数があり、しかも趣向を凝らしているで見事な動画になっている。
知人の息子さんのものは、お得意の宇宙もので、ウサギも出てくる夢のある絵だった。ウサギがタクシースタンドで待っていると、宇宙船タクシーがやってきて、光の束に照らされ、宇宙船に吸い込まれていく。そして、宇宙船は身を翻して空の彼方に飛び去り、真っ暗な空の遠くに光がピカッと光る。これだけの画面がぱらぱらマンガで無理なく表現されている。
手書きだと大変だろうが、今はパソコンがあるのでつくること自体は簡単になったのだろう。

コピス吉祥寺A館7階の「武蔵野市吉祥寺美術館」へ寄った。13日(月)まで、「上條信山 書の世界展」が開催されている。100円で、65歳以上は無料だ。



書には興味がなく、文化功労者である上條信山という方も知らなかった。



パンフレットの裏の書を見ると、大きな字はなかなか良いが、



2,3人が熱心に見入っていたのだが、小さな字は悪筆の私が言うのも変だが、上手とは思えないのだが??? あらためて、私には書を見る目のないことを実感させられた。







次回は、7月9日から「古川タク展 『あそびココロ』という楽しそうな企画だ。


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ブリジストン美術館へ

2011年02月22日 | 美術
「なぜ、これが傑作なの?」というコレクション展示が行われている(4/16まで)ブリジストン美術館へ行った。所蔵する作品のうち代表的な12点をとりあげ、なぜ多くの人に愛されてきたかを紹介するものだ。

入場料は800円だが、私は65歳以上なので、600円。さらにインターネットでブリジストン美術館へアクセスしクーポンを携帯に転送して持参したので奥さんともども100円引き。合計1600円のところが1200円。

今回取り上げた12点は、順路の中に他の作品と並んでいるのだが、作品の脇に詳しい説明板が掲げられている。

印象派、ポスト印象派は、マネ「自画像」、モネ「黄昏、ヴェネツィア」、ルノワール「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」、セザンヌ「帽子をかぶった自画像」「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」

その他、マティス「縞ジャケット」、ピカソ「腕を組んですわるサルタンバンク」、クレー「島」、ジャクソン・ポロック「Number 2, 1951」

日本人の作品は、岡 鹿之助「雪の発電所」、藤島 武二「黒扇」、小出 楢重「帽子をかぶった自画像」

ブリジストン美術館は小さな美術館だが有名な作品がそろっている。ロダンなどの彫刻、エジプト・ギリシャ石像、印象派・後期印象派の絵画、マティス、ピカソ、抽象絵画、日本の近代絵画など美術史を教科書的にざっと短時間で眺めるには最適だ。私は多分3、4回行っているが、いつも空いていてゆっくり鑑賞できる。
他の美術館では、ひざ掛けして椅子に座ってほとんど寝ている女性がところどころで監視しているだけのところが多いが、ここには、入場者と同じくらいの数の監視人のオジサン、オジイさんがいて、真面目にウロウロしている。ブリジストンの退職者ではないかと思われる。



美術館付属のティールーム「ジョルジェット」に入った。ジョルジェットは、ルノワールの絵のモデルの可愛い女の子の名前。

最近、紅茶に凝っていて、というより凝り始めようとしていて、「カイラベッタ農園のニルギル・シーズナル・ウインタースペシャル」とかいう茶葉を購入した。紅茶のメニューを見ると、アッサムとニルギリがある。味比べるために、両方注文した。



スコーンとセットで800円。



両者の味は、真剣に飲み比べているうちに、どちらがどちらだか分からなくなった。詳しい人に笑われると嫌なので、感想はここに書かない。


壁にはフレスコ画がかかっていた。



ただし、壁に直接書かれた通常のフレスコ画ではなく、壁から剥がされてキャンバスに貼付けられたものだ。石橋正二郎に依頼された長谷川路可(るか)という画家がヴァチカン美術館のフレスコ画を模写したものだ。そして彼はフレスコ画を剥ぎ取る「ストラッポ技法」を習得して、自らの絵を剥ぎとって日本に持ち帰った。このティールームにはその内4点が飾られている。

ストラッポ技法というのは、フレスコの表面にニカワを塗り、ガーゼ布を貼り、乾いたら壁ごと薄く剥ぎとり、裏から削って、カンヴァスに貼り付け、あとはゆっくりガーゼやニカワを剥ぎ取るという方法だ。興味ある方は、画質が悪いが、最後の写真をご覧あれ。

絵の隅を見ると、カンヴァス地が見える。






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熱海のMOA美術館へ

2010年01月22日 | 美術
伊豆ガラスと工芸美術館から熱海のMOA美術館へ行った。
何回も行っているのだが、国宝の尾形光琳の紅白梅図屏風が3月8日まで公開されているのだ。
伊豆山神社の方から行けば多少広い道なのだろうが、ナビのままに走ると、狭い市街地から熱海駅前を通り、すれ違えないガードをくぐり、狭い急坂をくるくる周り、MOA美術館の一番上の駐車場に着く。本館3Fから入ると、黒く大きなレリーフが迎えてくれる。



階段を降りて、ムア広場から建物を振り返る。






沖には初島が浮かび、



熱海の町の向こうの丘の上に熱海城が見える。



エスカレーターを1段降りると、



円形ホールがあり、児童作品展が開かれていた。



本館2Fには黄金の茶室がある。1586年正月、豊臣秀吉が宮中小御所に黄金の茶室を運び、黄金の台子を飾って、正親町(おおぎまち)天皇に自ら茶を献じたという。この禁裏茶会の情景を諸資料に基づき復元したのがこの黄金の茶室だ。



展示室は撮影禁止なので写真がないが、野々村仁清の色絵藤花文茶壷、伝だが本阿弥光悦の樵夫蒔絵硯箱、仏像、書跡などたっぷり堪能した。
一泊だけで伊豆半島を一周したので、くたびれて夕方帰宅すると、シクラメンがぐったり。



たっぷり水をやると翌日にはすっきり立ち上がった。よかった、よかった。すべて世はこともなし。

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伊豆ガラスと工芸美術館

2010年01月21日 | 美術

伊豆東海岸を走る135号線を数々の美術館が連なる伊豆高原を過ぎようとするグランパル入口を山の方に入る。すぐのところに伊豆ガラスと工芸美術館がある。



まずは大好きなガレの作品をご紹介。
エミール・ガレ(1846年―1904年)は、フランス東部ロレーヌ地方のナンシー生れ。ガレはガラス工芸が有名だが、陶器や家具にも優れた作品を作った。もともと父がガラスと陶器の製造・販売業を営んでいたため、19歳から父の工房でガラスと陶器作品を20年以上制作した。その頃は、ジャポニズム全盛で、「日本写し」という日本の絵柄をそのまま写した作品が多く制作されていた。

「しゃくなげ文花瓶」



「やぶ蘭文花瓶」



「あじさい文花瓶」。淡くていい色。



北斎漫画の魚を写したガラス瓶



ヨーロッパでは珍しいひょうたん形の「レースフラワー文花瓶」



ガレは陶器も優れた作品を残している。「ボケに小鳥文花瓶一対」



暖炉の置物の「猫」



ガレは家具も作っていた。寄木細工の家具。



ドーム作のランプ。良い夢がみられそう。



エルテは、1892年―1990年、ロシア・サンクトペテルブルグ生れ、フランスで活躍した服飾デザイナー。モード雑誌の表紙や挿絵で人気を博した。鮮やかな色彩感覚とオリエント風の豪奢な衣装で評判の衣装を2万着もデザインした。

「ヴィーナス」



さすが手だれのデザイナー



エルテは絵もお手の物。ピロースイング。



「太陽」



ルイス・C・ティファニー作「花のいざないー女神フローラー」は、アメリカの邸宅で使われていたステンドグラス。



1940年頃、高価な新素材だったプラスチックのバッグ。



ヴィトンのモノグラムは日本の家紋を基にしている。



2階のカフェからは伊豆七島が良く見える。


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上村淳之展を観る

2009年09月15日 | 美術

武蔵野市立吉祥寺美術館で9月27日まで開催されている上村淳之(うえむらあつし)展―唳禽(れいきん)を描く―を観た。



上村淳之は、1933年生れ。1959年京都市立美術大学専攻科終了。現代日本の代表的花鳥画家。上村家は、高名な日本画家、祖母・上村松園、父・上村松篁と三代にわたる日本画家一家。
奈良市と京都府の県境あたりに約1万坪の敷地にアトリエ「唳禽荘」をかまえ、263種、1,600羽の鳥類を飼育しながら鳥たちを描いている。

唳禽荘とは、松園が「端鳥の鳴く家」の意味で名づけた。唳(れい)は、鶴や雁、端鳥(丹頂?)の鳴き声のこととパンフレットにある。
26点の作品(うち2点は素描)が並び、いずれもほとんど無地に近い背景の中心に鳥を描いたあっさりした作品だ。強く訴えるものはなく、端正すぎて、くつろいだ感じもしなかった。
やはり、3代の中では上村松園が一番だと思う。上村松園の「序の舞」には、静かなうちに凛として気品あり、女性の情念が感じられる私の好きな作品の一つだ。

ロビーには、国立科学博物館の鳥類の剥製が10並んでいた。針金のように突き出たくちばしが、下向きにそったものとわずかに上向きのものがあった。



帰りがけに、第一ホテルの裏通りにあるフランス料理店ラトリエ・デュ・グーでランチを食べた。フランス修行帰りのシェフも、係りの人も全員女性だ。人気の店だが狭いので、予約なしに行って今まで3回断られていた。雨の土曜日で12時前のせいか、カウンター席が空いていた。注文はランチコース1600円。
前菜orスープで、スープを選択。色々入っていて、複雑で美味。パンはとくにおいしいというほどではなかった。



メインは肉か魚で、私はポークピカタ。奥様はイシモチのムニエル。
柔らかすぎずにしっかりした肉に衣がマッチ。付け合せのナスやパプリカも美味。



イシモチもしっかり料理するとこんなに美味しいのかとご満足の様子。



このほか、アイスクリームと紅茶をいだだく。若い人にはものたりない量かもしれないが、我々にはちょうど良い。
カウンターからシェフの動作がよく見えた。下準備がしっかりできていて、一人前の材料を乗せたアルミの皿が並んでいる。しかし、一人で、平行作業を手際のよく進め、数人分の料理を次々仕上げる様子に脱帽。キッチンを自分の好きなように配置し、一人で扱える範囲に客を絞っているように感じた。

武蔵野市吉祥寺本町2-8-9ルミナス吉祥寺1F-B
営業時間11:30-15:0017:30-23:00(LO22:00)
定休日火曜日

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絵画を見る楽しみ

2009年08月20日 | 美術
勤めていたころ、会社から夜遅く帰ってきて、あわただしく食事し、新聞、TVをざっと見て、そして後は明日に備え寝るだけの生活がしばらく続いたことがあった。
ベッドに横になっても、どうして上を説得したら良いか分からない問題、上司の嫌味、会議でかいた恥、山積みの仕事などストレスがあれもこれもと襲ってくる。珍しく順調なときでも、「ああしたらどうか、いや、こうしたら良いのでは」と少しでも良い手を思いつくと眠れなくなり、途中からあらぬ妄想に入り時間ばかり過ぎていく。

こんなときは、好きな絵をぼんやりと見る。マネの画集を取り出してパラパラと2、3枚めくったり、カレンダーから切り抜いたピサロやシスレーなどお気に入りの1枚をなんともなしに眺める。寝る前は静かで空が開けた風景画が良い。そのうちに落ち着いてきて全身がぐったりとして眠る体勢に入れる。

休日で時間のあるときは、ゴッホ、ゴーギャンや、ラファエル前派など好きな絵を楽しむ。マーク・ロスコなどの抽象絵画を眺めるときもある。着物の柄と同じで、自分の気に入った絵画は理屈なしにただ見ているだけでも心が明るくなりゆったりとする。

しかし、絵画の解説本で、その絵画が作家のどのような意図、事情のもとで描かれたか、どんな絵画動向の中に位置づけられるか、などの背景を知ると、もっと多面的に絵画を楽しめるようになる。一枚の絵画に秘められた物語や謎。優れた絵画ほど深い謎が隠れていることが多い。

また、ゴッホにみられるように一途に突き詰める天才画家の生涯はドラマチックだ。彼らの伝記を読んだあとでは、その絵を描いている彼らの姿が浮かび、絵の向こう側が見え、深みが増す。音や風、匂いまで感じられることもある。

絵画はただ見るだけで良し、知るとなお良しである。



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ガラスの森美術館内部

2009年05月24日 | 美術
美術館の入口を入ると、そこはメディチ家の邸宅風(多分)。通路の壁にはモザイク画。



柔らかな顔を拡大してもやはりモザイク。でも本当に細かいところは筆で書いてあるような?



ふたつきゴブレット:数少ない16世紀のヴェネチアン・グラスの名品は、イタリア国外持出し禁止だが、大富豪のロスチャイルド家に長く伝えられてきたものだったため、日本に渡来してきた。



通路を出ると、天井画が描かれたホールに出る。





ここに数多く展示されているガラス作品の多くが、レース・グラスだ。16世紀、ヴェネチアの貴族の間では、レース編みがもてはやされた。そのレースをガラス作品に持ち込んだのがヴェネチアン・グラスで、その技法は長い間、門外不出の秘法だった。

レース・グラス大皿:最も難しい格子模様技法で、中心から時計回りと、反時計回りに渦を巻いた2枚のガラスを重ね合わせて作る。網目を均一に作るのは、いかにも難しそうだ。



これも作ることを考えると、気の遠くなるような美しさだ。



レース・グラス玉脚コンポート:乳白色のガラス棒と格子模様の入ったレース・ガラス棒を組み合わせたコンポート。



レース・グラスの作り方の説明図があったので、ちょっと見にくいが、ご紹介。
(1)溝のついた型の中に白色ガラス棒を立てる。
(2)溶けたカラスの塊を型の中に入れ、白色ガラス棒に熔着する。
(3)型から抜き出し、ならし台の上で転がして形を整える。
(4)反対側にも竿をつけ、ねじりながら引っ張り、1本のレースガラス棒が完成する。
(5)複数のレースガラス棒の数や位置をいろいろ変えて文様を工夫する。
(6)レース・ガラス棒を並べ、炉で加熱し、棒同士を熔着する。
(7)ガラスの塊をつけた吹き竿で、板状になったレース・ガラスを巻き取り、円筒にする。(8)西洋箸で先をすぼめる。
(9)宙吹きで形を作る。
(10)器の底をならし、脚部・底部を熔着する。
(11)底部にポンテ竿を熔着し、口縁部の吹き竿を外して広げ、形を整える。
(12)レースグラスの完成



花装飾脚オパールセント・グラス・コブレット:新しい華やかな装飾を取り入れた19世紀後半の作品。



風にそよぐグラス:3階の展望室にあるアール・ヌーボ様式のベェネチアン・グラスで、細くて今にも折れそうな脚の上に大きな杯が乗って、ゆれている。



地震で折れないかなと思ったら、後ろに支えがあった。



この後、箱根湿生花園、強羅公園などの写真があるが、どうしよう。10日も前では忘却のかなただ。


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「動物画の奇才・薮内正幸の世界展」を見る

2009年05月03日 | 美術
4月4日から5月24日まで武蔵野市立吉祥寺美術館で開催されている「動物画の奇才・薮内正幸の世界展」を見た。

65歳以上は無料なので、得した。といっても、料金は100円なのだが。



動物の毛並みの滑らかさ、しなやかな肢体。そして、可愛らしい顔や身体つきに感心する。動物の毛を一本一本書く細密な描写、動物の骨格標本の勉強の成果と、子供向け絵本の挿絵を多く書いた経験がさせているのだろう。鳥や小動物が本当に好きでたまらないという感じがあふれている。

絵本や雑誌などの表紙、広告などとならんで原画が並んでいるが、やはり原画の迫力は一段とすごい。毛並みが立っているし、動き出しそうだ。

ここまで細密、緻密だと、写真と比較されるが、ユーモラスでやさしい姿、特徴的しぐさなど絵画でないと表現できない点もあると実感できた。
しかし、この人は経歴や、表現の場を選ばない点からも、芸術家というより職人だ。私のように、動物園の説明版など気がつかないところでこの人の絵に出会っている人が多いのだろう。世の中へのインパクトは小さくとも、広い範囲に影響を与えた点で功績は大きいと思う。

出版社への封筒の裏に書かれたダジャレ付絵(裏ヤブ作品)はお見逃しなく。



薮内正幸(1940年-2000年)は、動物画家で、動物絵本、絵本や事典の挿絵、動物園の案内板・パネル、切手、広告などあらゆるメディアで正確無比の動物の絵を描いた。
子どもの頃から動物が好きで、独学で動物の画を描き、高校卒業後、大阪から上京し、図鑑画を描くため福音館書店に入社。正規な美術教育は受けず、国立科学博物館に通い、今泉博士の指導の下で動物の骨格標本や剥製をスケッチしたという。
60歳でなくなるまでの15年間を吉祥寺で仕事した。
甲斐駒ケ岳山ろくに動物画専門の「薮内正幸美術館」がある。




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趣味の作品展を見る

2009年03月10日 | 美術
武蔵野市市民公会堂で開催されている趣味の作品展を見た。武蔵野市主催の高齢者の生涯学習「いきいきセミナー(旧老壮セミナー)」の修了生を会員とする作品展だ。

武蔵野市市民公会堂の中に入ると正面階段の上には立派なシャンデリアがある。



趣味の作品展は階段手前を左に入った小ホールで、入口にはすべて直接手書きの案内板があった。会員の方が書いたのだろうが、捨ててしまうのはもったいない出来だ。



撮影は許可されていたが、無断で写真を載せるのもためらわれるので、一つだけにする。
書道のコーナーで、紐がまっすぐ垂れている二幅の絵があった。



右下に虫眼鏡がぶら下がっている。近づいて良く見ると、



ごく小さな字で般若心経を書いたものだった。



その他、油絵、水墨画、写真、手芸など多彩な作品が並んでいた。長年の修練を示す驚くほど巧みな作品も、いかにも楽しげなそれなりの作品もあった。芸術的な美術展も良いが、親しみやすく見ている方も楽しくなるこのような作品展も良いものだ。

出展の条件、特徴が、
1.巧拙を問わない(賞を設けない)
2.ジャンルを問わない(創作したものであれば何でも良い)
3.個人はもちろん、グループ出展も奨励している  などだ。
というのもなかなか良い。



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絵画を見る楽しみ

2009年02月28日 | 美術

勤めていたころ、会社から夜遅く帰ってきて、あわただしく食事し、新聞、TVをざっと見て、そして後は明日に備え寝るだけの生活が続いた。
ベッドに横になっても、上司の嫌味、会議での失敗、山積みの仕事などストレスがあれもこれもと襲ってくる。くよくよ考えないように鍛えているつもりだが、一度考え出すと止まらない。
珍しく順調なときでも、「ああしたらどうか、いや、こうしたら良いのでは」と少しでも良い手を思いつくと眠れなくなる。枕元にはメモを置いて、思いついたことをざっと書いて、「さあ、これで安心」と思うのだが、「いや、まてよ」「さらに、こんなことだって」と頭が休まらない。

こんなときは、好きな絵をぼんやりと見る。カレンダーから切り抜いたピサロやシスレーなどお気に入りの1枚をなんともなしに眺める。寝る前は静かで空が開けた風景画が良い。そのうちに落ち着いてきて眠る体勢に入れる。

大好きなマネの画集を取り出してパラパラと2、3枚めくることもある。初期の絵は細部まできちんと描いており、それはそれで良いのだが、後期の絵の、そのまま絵の具をポンと置いたような荒いタッチの絵が好きだ。石畳の道路に、ゴニョゴニョと筆の跡そのままに絵の具が置いてあるだけなのに、ちょっと離れてみると、確かに動き出しそうな人に見えたりする。

すべて完璧に描ききり、わずかな乱れもないサロン風の絵を越えた、印象派の荒い大胆なタッチが好きだ。マネは黒色を使ったし、印象派展には出品しなかったので、印象派に属するとは言えないのだが、それでも新時代を開いた印象派はマネを基点として始まったことは確かだ。それにもかかわらず、マネは旧来のサロンにあこがれ続けたというから、不思議で、ちょっぴり哀しい。


休日で時間のあるときは、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなど後期印象派と呼ばれる画家の絵を楽しむ。好きな絵を眺めていると、小さな絵の中に入り込み、その向こうの空間が奥まで見え、目の前の両開きの扉を開くように絵の世界が大きく広がっていく。



印刷された絵を見るのも良いものだが、たまには美術館へ行き、実物を見るのも必要だ。何と言っても、実物の油絵は印刷物では味わえない艶やかな照りがある。何百年も経っていても未だに輝きを失わない。ちょっといじましいが、この輝きをしっかり目に留めておいて家に帰り、印刷された絵をじっとみると、輝きが戻ってくるような気さえしてくる。



絵画を見る楽しみは、極上のものだ。着物の柄と同じで、自分の気に入った絵画は理屈なしにただ見ているだけでも心が明るくなりゆったりと豊かになる。
しかし、絵画の解説本で、その画家の波乱の人生や、その絵画が画家のどのような事情のもとで描かれたか、どんな絵画動向の中に位置づけられるか、などの背景を知ると、もっと多面的に絵画を楽しめるようになる。一枚の絵画に秘められた謎、優れた絵画ほど深い謎が隠れていることが多い。また、ゴッホにみられるように一途に突き詰める天才画家の生涯はドラマチックだ。彼らの伝記を読んだあとでは、その絵を描いている彼らの姿が浮かび、絵の向こう側が見え、深みが増す。音や風、匂いまで感じられることもある。

絵画は「ただ見るだけで良し、知るとなお良し」である。


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北澤美術館新館

2008年12月10日 | 美術
諏訪湖畔にあり、ガレ、ドーム、ラリックの三大作家のガラス工芸品の企画展示が行われる北澤美術館新館に行った。同館にはガラス作品を作っている工房を見学できるほか、広いガラスショップがある。



入口を入ると、諏訪大社の勇壮なお祭り、御柱大祭で使われた綱が展示されていた。



ガレの作品
ガラス作品を芸術の域に高め、同時に産業としても成り立たせた。しかし、製作年限は短く、家族、弟子が継いだ。何層も重ねるなどガラスの扱いに優れている。

花形ランプ(1902年-1904年、ガレ)
傘状に下向きに花が開く園芸植物のアプチロンをかたどった電気スタンド。



クレマチス文ランプ(1894年-1931年、ガレ工房)
ガレの銘が入っている。





フランスの薔薇(1902年頃、ガレ)
ガレはフランス東部のナンシーで生まれた。1870年の普仏戦争でフランスはドイツに敗れ、ナンシーも含めたアルザス・ロレーヌ地方がドイツに割譲された。
ガレは語る。「“フランスの薔薇”は、ロレーヌのサン・カンタン山でしか流血を象徴するような赤い花を咲かせません」そして、この花がドイツ領となったサン・カンタン山でも赤い花を咲かせ続けたことを訴えて、この「フランスの薔薇」という作品を作った。



蝶文ランプ(1900年-1910年、ガレ)
なんと複雑な文様。



ドーム兄弟の作品
ガレに刺激されて美術作品を作成し始めた同郷のドーム兄弟は、繊細で可憐な作品が多く、色使いに特徴がある。

菫(スミレ)文ランプ(1909年頃、ドーム)



ロレーヌ十時文香水瓶(1895年、ドーム)
香水瓶にしては大きいが、ガラスもこんな色になるのだ。



ラリックの作品
置時計 二人の人物(1926年、ラリック)
ラリックはアール・デコと呼ばれる装飾美術の巨匠で、洗練されたデザインの透明なガラスが特徴。透明なガラスの表面は平らなままで、裏側を掘って、エッチングしてやわらかな白色にしている。



ワルターの作品
松笠文鉢(1920年代、ワルター)
色ガラスの粉を石膏の型に詰め、型ごと窯に入れる。






新館付属のガラスショップで、北川宏幸という人の作品展・販売会をやっていた。なかなか手の込んだ陶器で、複雑な色合いだ。いつもお茶を飲むぐい飲みを新しいものに替えたかったので、8400円なりでご購入。手の中へのおさまりも良く、ご機嫌。



奥さまはショップの中を、ガレ風のランプを求めて見て回ったが、本物を見たあとではどれもチャチで結局何もご購入にならず。なんかまずい雰囲気。

帰り道、せめてもと、奥さまの好きな平山郁夫の絵がある平山郁夫シルクロード美術館へ寄った。小淵沢ICで降りて、甲斐小泉駅に隣接する場所にある。平山郁夫の新作とガンダーラの仏像、古代の金貨などが展示されている。
平山郁夫の作品は、夜は必ず満月が、日中の砂漠には夕陽が輝き、まとめてみると飽きてしまう。

激しい雨の中央高速を120kmから130kmと安定した走行で東京へ帰った。


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北澤美術館の喫茶室の窓から

2008年12月09日 | 美術
北澤美術館2階の現代日本画30点ほどを見た。東山魁夷、山本丘人、上村松篁、山口華楊など著名な画家の作品が並ぶ。



好きな作家を2点だけ。
東山魁夷の「月影」



母が好きだった山本丘人の「青い海」



喫茶室で一休み。大きなガラス窓の外は雨。イチョウの葉はすっかり落ちて、くねる生垣を一面に覆っている。





道路の向こう側は土手になっていて、その向こうに諏訪湖が見える。
かすむ諏訪湖、風にゆれる柳、まばらに立つ木々、枯葉が敷き詰められた土手、雨で光る道。なんでもない風景だが、まったり見ていると、絵になりそう。
しかし、僕には絵筆がない。絵を描く腕もない。心を打つ文章も書けない。ただ、デジカメがあるだけだ。そこでパチリ。



この景色がすばらしいというより、見ている私の心がそぎ落とされて、寂しげな初冬のこの景色がしみわたるのだろう。
心地良い作品、絵を見た後で、賞を受賞したという美味しいチーズケーキ、薄めのエスプレッソ、そしてガレを見てご満悦の奥様を目の前にすれば、幾分寂しげなこの景色が、涼しく、透き通り、私の原風景とも思え、少しずつすがすがしい満足感が満ちてきた。




隣にあるサンリツ服部美術館にも寄ろうと思ったら、展示替えのため休館だった。
次回は北澤美術館新館。

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北澤美術館

2008年12月08日 | 美術

諏訪湖畔の北澤美術館を訪ねた。

エミール・ガレに代表されるフランス・アール・ヌーヴォー期のガラス工芸700点と、現代日本画200点を持つ美術館で、車で10分程度離れたところに北澤美術館新館がある。



暗い部屋でフラッシュ禁止だったが、写真撮影可能だったので、まずはいくつかご覧あれ。

エントランスホールに面したブロンズの扉を押し開けると、オレンジ色の光を放つエミール・ガレの代表作「ひとよ茸ランプ」がある。お土産やで小さな模造品を売っているが、実物は高さ83cmとけっこう大きなものだ。実際はもっとあざやかなオレンジ色だ。



1階の部屋の中には、照明を落とした暗がりの中に、壁沿いの展示ケースと、中央部のガラスケースにガレの作品を中心として常時40点前後が展示されている。



矢車文花瓶(1895年-1900年、ガレ製作)
実物を見ているだけで心がおだやかになっていく。



かまきり文エマイユ彩月光色鉢(1884年-1904年、ガレ製作)
月光色ガラスと銘銘された鉢に菊とカマキリを描いてある。



トンボの絵のある淡い色のランプ。実際はもっとほのかで甘くやわらかい。



石楠花文ランプ(1918年-1931年、ガレ製作)
ガレ工房作の大量販売用作品で、派手すぎる。お土産屋にあるのはこの手の作品の粗悪なコピーが多い。



蜻蛉文鶴頸霜瓶(1889年頃、ガレ製作)
水面に落ちていくトンボ。ガレはなぜか、死にゆく昆虫や枯れた花を描くことが多い。



双魚形花瓶(1890年頃、ガレ製作)
鯉は葛飾北斎の北斎漫画からの引用。



ガレはガラス作品のデザイナーで、ガラス工房の経営者でもあった。彼自身がガラスを製造することはなかったという。ガレ自身がデザインした作品の製作期間は数年に過ぎず、技術を継承した工房や、弟子の作品にもガレの名前がつけられ、ガレ・ブランドで大量に作品が販売されている。
多くの署名は以下で、



中には縦書きのものもある。




長くなったので、2階の現代日本画、喫茶店は次回。



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新国立美術館で横山大観展を見る

2008年02月07日 | 美術

昨年1月21日にオープンした新国立美術館は、行列に1時間並んだなどの話を聞いて、「しばらくは」といって1年ほど、様子を見ていた。
奥様が、「200円高いけど、待たないで入れる時間指定チケットがあるし、大観の「無我」が2月11日までの展示で、「屈原」に展示替えしてしまう」とのひとり言、実質ご下命で、あわててインターネットでチケット購入して、翌日、新国立美術館の横山大観展へ出かけた。

しかし、待ち時間0で、そのまま入場できて、200円の丸損。当日は週日でしかも雪がぱらつく天気だったせいで、いつもはいまだ長い行列と信じたいが、どうもそうでもなさそうだ。

新国立美術館は昨年10月に亡くなった黒川紀章氏設計による建物で、波打つガラスの外壁が、上下にも丸みを帯びていて、さすがに建築費が高そうな黒川さんの設計だ。




六本木から歩いて来ると正面入口に入ることになり、千代田線乃木坂駅から上に登り、そのまま屋根の下を歩けば雨に濡れないで西入口に入れる。



中に入ると、片側が広い展示室3ブロックで、




反対側は天井までガラスの窓でカフェとスペースになっている。




食事もできるカフェは地下と2階にあり、上にいくほど高価になる。さらに、3階に上がれば本格的レストランがあるが、さらに値段も上がる。40年以上ミシュランの三ツ星を獲得し続けているポール・ボキューズ氏が初めてフランス・リヨン以外に出店した「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」とある。ミシュラン東京ではどうなっているのだろうか?
もちろん私たちの昼飯は地下で、3階には近づいてもいない。

入口を入ると、まず「無我」。奥様も私めも、大観作品の中で一番のお気に入り。小さな子がぶかぶかの着物を着てただ立っているだけの絵だが、孤独な無心の境地が表れているような気がする。
以下ズラズラと大観作品が並ぶ。各地の美術館、企業からよく集めたものだ。さすが常設作品を持たず企画展、公募展専門の新国立美術館だ。人寄せの名品を一点豪華主義で持つ地方の美術館も、リピータが少ないので経営が苦しいのだろう。最近は企画展が増加して、他の美術館から絵画を借りる金額が高騰しているとの記事を読んだことがある。

とくに呼び物は、全長40mの巻物、「生々流転」。広さを誇る新国立美術館でないとできない技だ。ただし、観客が巻物に沿ってゆっくり進んでいくので、途中誰かがじっと眺めると、列全体が止まってしまう。

大きな屏風絵の「夜桜」と「紅葉」もあでやかだ。「秋色」が尾形光琳の屏風と比較して並べてあったが、影響されていると言われれば、そうかなと思う。キュレーターの人も何か主張しないといけないのでご苦労さんと言った感じ。

日本画の特長ともいえる線を消してしまった朦朧体(もうろうたい)も好きだ。「雨霽る(あめはる)」は、雨の後で、霧が晴れてゆく山山と、彼方にかすかに顔をだす富士が神々しい。

大観といえば、私が子供のころ、飯は食べずに酒だけ飲んでいる怪物との印象があった。その大観が没後50年とは!
大観は、絵がずば抜けて上手いとはいえないと思う。しかし、コンセプト、構成力が優れていて、エネルギッシュでたくましい日本人離れした巨人だ。


別会場で開催していた公募展の「新槐樹社展」もざっと見たが、最近の作家には女性が多いと改めて思った。

2階で「第11回 文化庁メディア芸術祭11th Japan Media Arts Festival 」を開催していた。



協賛展の「先端技術ショーケース’08」では新しいコミュニケーションを可能にするという触れ込みの展示が行われていた。
一次盛んだったMITのメディアラボのような、本質でなく見せ方だけに工夫を凝らす、単に目新しさを競うフェイクのような気がしてこの種のものはのめりこむ気にはなれない。かつて、モナリザにウインクさせて学会を喝采させた原島博東大教授が研究総括だそうだが、硬直した私の頭では、この種のものは、才能の無駄使いだと思うのだが。

芸術祭の受賞作品紹介では、アート部門のほかに、エンターテイメント部門で「Wii Sports」が受賞し、アニメーション部門やマンガ部門が大きなスペースを占めていたし、フィギュアーも多かった。

大観のたくましさは見る影もない。時代は変わった。いや、新しい形のたくましさと思わねば。



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自薦の版画年賀状

2008年01月05日 | 美術
昨日、「版画の年賀状」について書き、何枚も紹介したが、調べてみたら一昨年2006年12月24日にも、「年賀状を彫り、刷り、書く」に同じようなことを書いていた。
 

自作の版画の年賀状で、手元に残っていた21枚のうち、自薦の第一位から第六位までをご紹介。

第一位は、1996年製の沖縄の正装の女性。どこかの本から写したものだが、黒一色なのにあでやかな感じがして自分で気に入っている。



第二位は、1985年の丑年のもの。初期のものだが、簡潔な表現がシャレていてお気に入り。



第三位は、2002年の東山魁夷の絵を真似て簡易化したもの。青が美しい。



第四位は、初めて詩を彫りこんだ2004年の作。三好達二の、私の大好きな詩「甃(いし)のうへ」は、以下。

あはれ花びらながれ        をみなごに花びらながれ
をみなごしめやかに語らひあゆみ  うららかの跫音(あしおと)空にながれ
をりふしに瞳をあげて       翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺の甍(いらか)みどりにうるほひ 廂(ひさし)々に風鐸(ふうたく)のすがたしづかなれば
ひとりなるわが身の影をあゆまする  甃(いし)のうへ



第五位は、2007年の三渓園の聴秋閣。2006年12月8日の2番目の横浜・三渓園へ紅葉狩りににある写真から写したものであることはバレバレ。
 



第六位は、元自宅の二階の窓から見た東京湾。土日の朝、遅く起きると、一面の釣り船が見えることがあった。釣り好きは大変だなと思ったものだ。




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